アテネ旅行記6 図書館の亀、聖なる行進

2017年3月5日 アテネ
ハドリアヌスの図書館

本日は、冬季の第一日曜日。アテネの遺跡無料デー!

朝一番で古代アゴラをぐるっと回り、古代アゴラから出てきた我々の目の前には、ハドリアヌスの図書館。

このような、コリント式の優美な柱が立ち並ぶ遺跡である。3年前のアテネ滞在の「遺跡無料サンデー」の日に、時間切れで入場できなかった場所である。そのため、今回は、絶対に入りたい!と意気込んでいた図書館だ。

私は、コリント式の柱が好きだ。世界史は苦手だったが、古代ギリシャの柱は好きだった。世界史の授業中、先生の説明はロクに聞かず、図説の古代ギリシャの柱の写真を眺めていた。

世界史で習う古代ギリシャの柱は3つで、装飾のない力強いドーリア式、渦巻き模様がかわいいイオニア式、植物模様の繊細な装飾が優美なコリント式だ。

現在でも残っている古代ギリシャ遺跡の多くは、ドーリア式の柱である。ドーリア式の柱は男性的で、かわいらしいイオニア式、エレガントなコリント式に比べると、やや無骨だ。イオニア式・コリント式の柱は、希少性も加わることで、出会うと私の心をウキウキさせてしまう。

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青空に映えるコリント式の柱。しかし、「ハドリアヌスの」図書館という名称からわかるように、この図書館は、ローマ時代、ハドリアヌス帝の時代に建てられたものだ。

なので、この柱は、時代に正確に言えば、古代ギリシャの柱ではなく、古代ローマの柱である。しかし、場所的に正確に言えば、古代ギリシャの柱。要するに。「古代ローマ時代のギリシャ」ってのが、イマイチ私にはピンとこないのだ。

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ハドリアヌスの図書館には、フレスコ画のような跡が残っているのが気になる。このフレスコ画に関する説明書きがないか探してみたが、みつからなかった。

古代ギリシャの建築遺跡は、「青空に真っ白な柱」というイメージが強いが、実は、当時は彩色されていたというから驚きだ。この跡は、その彩色の名残りなのかもしれない。

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この辺りは、本を閲覧するコーナーだったらしい。ついつい、プラトンとか、アリストテレスの「読書なう」みたいな姿を想像してしまうが、何度もいうが、この図書館はローマ時代のもの。

実は、ハドリアヌスの図書館の、コリント式の柱が立ち並ぶ辺りは、入場しなくても、外から見えている。入場したら、もっとたくさんのコリント式柱を見れるのではないかと思っていた私であったが、入場エリアはほとんど「遺跡」という雰囲気で、コリント式柱はなかった。

代わりに、観光客の関心を一心に集めている存在があった。

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みんな何を見ていたのかと言うと…

か、亀さん…。どうして、図書館跡に亀さんがいるのだ。しかも、2匹もいた。

観光客も、別に古代図書館跡で、亀なんか追っかけなくても、自分のホームタウンにも亀くらいいるだろうに、なぜだか皆、こういうものを追っかけてしまうのである。

私も、帰国してからカメラのデータを見て、ハドリアヌス図書館跡の写真をあまり撮影していないことに、自分で驚いたが、こういう亀さんの写真なら積極的に撮っているんだぜ…。

旅から帰ってきて冷静に考えると、どうして遺跡をじっくり見ずに、亀さんを追いかけ回してしまったのが、自分で自分がわからないのである。そもそも、私は亀って好きじゃないのに。

亀が好きって人、あの憎々しげな顔を、一度しっかり凝視してみてごらんよ。それでも亀が好きなら、私とは審美眼が違うのだ。握手して、この話は終わりにしよう。

この図書館には、明らかに観光客に見つかりたくないタイプのトイレがあった。

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この壁の表示は、非常に見つけづらいが、トイレはこっちだという表示である。

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非常にわかりづらい場所に、非常に薄い色で描かれているが、トイレキラーの私の目はごまかせない。

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見つけたぞ…!トイレ!それで隠れていたつもりか!

この、「見つかりたくないトイレ」は、入り口を背にして、左側の方にある建物の影に隠れている。そちらの方を見やると、行き止まりに見えてしまうのだが、その建物を左折し、行き止まりの方へ歩くと、左手の方にトイレが発見されるのだ。

もちろん、「見つかりたくないトイレ」なので、ほとんど使用した跡はなく、キレイだった。

それだけでもおすすめのトイレなのだが、何と、このトイレの中には遺跡があった!

トイレを発見できた者だけが発見できる遺跡。求めよ、さらば与えられん。

ハドリアヌスの図書館

トイレの話ばっかりしたところで、かわいい猫ちゃんの写真でもドウゾ。ハドリアヌスの図書館も猫ちゃんばっかり。ここの猫ちゃんは、結構カワイイ子が多かった。

さて、図書館を出たら、そろそろお昼の時間となった。当然のようにタナシスへと向かう我々。我々はタナシスのギロピタが好きすぎである。タナシスのギロピタが美味しすぎてツライ。

タナシスはテイクアウトの方が安いという、タナシス中級者の知識をつけた我々は、ギロピタをテイクアウトにして、どこかに座って食べよう、と、歩き始めた。

すると!「パッパカパーン!」みたいな、華やかな音楽が流れてきた。えっ?何?アテネの大聖堂ミトロポレオス大聖堂の方角からだよ!

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な、何か、来たー!!!

宗教行事のパレードだろうか。イコンを掲げながら歩いている。

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かわいらしい女の子たち!民族衣装かな?いやー、かわいいなあ。

位の高い聖職者だと思われる人々が着ている、豪華な衣装も目を楽しませてくれた。

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行列の最後尾を歩いていた、この金色の衣装の人が、一番偉い人ではなかろうか。威厳たっぷりのヒゲといい、いかにもって感じである。この後ろには、一般人たちが、小さなイコンを手に歩いていた。

この行列、何だったんだろう。イコンを手にしていたことから、ギリシャ正教会のパレードなのだとは思うが、詳しくはわからなかった。

パレードを見送ってから、ミトロポレオス大聖堂前の広場のベンチに腰掛けて、テイクアウトしてきたタナシスのギロピタを食べた。ミトロポレオス大聖堂をぼんやりと見ながら食べていると、また、新しいパレードが!

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ギロピタを食べながら、横着にも、ベンチから立ち上がらずに撮影した写真なので、わかりづらいと思うが、今度は警察のパレードが始まった。

何だろうなあ。ギリシャの独立記念日は3月25日だから、まだ先だし。いずれにせよ、偶然にも、正午にミトロポレオス大聖堂近くにいたため、パレードに出くわしたようだ。一期一会だねえ。

ギロピタを食べたら、グリークヨーグルトが食べたくなった。グリークヨーグルトは正義である(美味しいしローカロリー)。

ミトロポレオス大聖堂近くに、「Chillbox」というヨーグルトバーがあるらしいのだが、探し出せなかったので、どうせ今からゼウス神殿跡に行くし、ゼウス神殿近くの有名なヨーグルトバー「Fresko」を目指すことにした。