3/18フェラーラ旅行記5 星座の通り道は神秘的

昨日のパドヴァ走り回りは、本当に疲れた。そのため、今日はゆっくりと起きて、朝ごはんは8時半くらいに食べに行った。スプレムータの炭酸水割りが出てきて新鮮だった。イタリアの炭酸水は、そんな使い方もするのね~。

フェラーラ

今日は1日、フェラーラに滞在して、フェラーラを堪能する日である。というか、イタリア旅行2017の最終観光日なのである。私は旅行が残り4日を切ってくるあたりから、「あと〇日だ…」とカウントダウンして落ち込むのだが、ついに姉に「カウントダウン禁止」を言い渡された。そりゃそうだ。今を楽しめ、今をっ!

で、フェラーラは今日で4日目なのだが、毎日、あっちこっち遠足に行っているせいで、まだ足を運んでいない見どころがたくさんある。今日は最終日ということもあり、「行きたい場所から先に行け!」ルールの発動である。行きたい場所、それは、スキファノイア宮殿。

スキファノイア宮殿は、占星術的な絵が多く描かれた、12か月のフレスコ画が有名だ。

4年前にボローニャを訪れた際、このスキファノイア宮殿見たさに、フェラーラまで行こうかという案があったのだが、当時フェラーラは地震の被害に見舞われ、スキファノイア宮殿は、地震後のメンテナンスのため閉鎖されていた。そのため、4年前はフェラーラ行きを断念したのだ。4年越しの夢、スキファノイア宮殿なのだ。

スキファノイア宮殿は、フェラーラの東の端に位置するので、地図を見ながらとことこ歩く。

フェラーラ

学生の町らしく、途中で古本屋に遭遇。

フェラーラ

その古本屋に衝撃的な表紙が…。な・何だコレ。えーと「GUINESS」…1994年のギネスブックですかね?なぜに小錦(まあギネスなのはわかる気がするが)?

フェラーラ

この古本屋さんとは別に、かわいらしい本屋さんもあった。イタリアの本屋さんって、結構オシャレなのよねー。今回忙しすぎて、こういう本屋さんでゆっくりできなかったのが心残りだった。反省したってば!次から驚くほどのゆったり旅程にするってば!

フェラーラ

スキファノイア宮殿を目指して歩いていくと、どんどん通りが静かになっていき、フェラーラの中心から端に向けて歩いているという実感が沸く。

スキファノイア宮殿

一度曲がる場所を間違えてしまったが、スキファノイア宮殿に無事到着。カテドラーレあたりから歩いて15分くらいだろうか。思っていたより近く感じた。

スキファノイア宮殿

お・おじゃましますよ…何か既に良い雰囲気なんですけど!

フェラーラ

ヤダコレ…めっちゃ素敵でありませんこと…!?

さて!スキファノイア宮殿の「12か月の間」は、入り口から入って右手の広い壁が1、2月(この部分はほとんど残っていない)、時計と反対周りに、突き当りが3~5月、左側の広い壁が6~9月、入り口のある側に10~12月(ここも保存状態はよくない)となっている。保存状態が最も良いのが3、4月である。

フェラーラ スキファノイア宮殿

3月。フレスコ画は三層になっていて、一番上が神々の世界、真ん中が黄道12星座、下が人間階の営み。いやー、これは素敵!3月は神々は知恵と戦の女神アテナ(ミネルヴァ)、星座はおひつじ座。

フェラーラ スキファノイア宮殿

おひつじ座のシンボル。羊の上に、空中で座っている女性が、異様にセクシーである。

フェラーラ

下の方の人間界では、3月の営みが行われている。ちょっとわかりにくいかもしれないが、下の方では、猟犬がウサギを追いかけている。

フェラーラ

動物たちがいきいきと描かれているのが印象的だ。馬に乗っている人々の表情も豊かで、まさに人間の世界、ルネサンス。

フェラーラ

4月。神の国は愛と美の女神アフロディーテ(ヴィーナス)、星座はおうし座。

フェラーラ

上の方は写真が撮りにくかったので、暗い画像で申し訳ないが、一番上のアフロディーテは、さすが女子力の高い馬車に乗っている。白鳥に馬車をひかせてますよ!その周りのうさちゃんたちは、多産を象徴しているのだと思われる。

フェラーラ

下の方に描かれた赤いドレスの女性と子どもは、アフロディーテと、その子供のエロス(クピド)かなあ?でも子どもの方は、弓矢や羽根を持っていないので、ちょっとわからず。しかし、赤いおそろいの衣装が際立つ絵である。

フェラーラ

これまたおうし座の上に、空中遊泳で座っている男性が神秘的。ちなみに、おひつじ座もおうし座もこの後に出てくる星座の多くも、お腹のところに太陽のようなものが光っているが、これは黄道を表しているのかなあ?

フェラーラ

人間界では、春の運動会が行われている。マッパに近い服装で走っている、現代から見ると変態がいるが、古代オリンピックで競技はほぼ裸で行われたらしいので、それのリスペクトだと思われる。

フェラーラ

だまし絵のように、絵の縁に腰かけている男性がいて、遊び心のある絵だ。

じゃれあいながら(ケンカ?)飛んでいる鳥たち。本当に動物たちの表現が豊かだ。その下の横側の男性がイケメン。私の好み。よく見ると、その左側で白馬に乗っている男性も、やや保存状態が悪いとは言えイケメン。

男の子の足を、「かまって~」とでも言うように、なれなれしく捕まえている猿の姿も。

5月は残念ながら、一番下の絵の保存状態がよくない。

5月の神々の世界は「太陽神アポロン(アポロ)」となっているけど、ぱっと見、双子の妹のアルテミスに見える(女性に見える)。手にアルテミスのシンボルである弓を持っているが、アポロも弓矢の名手なので、そこはおかしくない。それに、上半身は女性に見えても、下の洋服が男性用なので、まあ、アルテミスってオチはないだろう。

後ろの方には、アポロが司る音楽を奏でている女性たちが描かれている。そしてその前には、あまりにも多すぎる数の赤ちゃん。これも、妹のアルテミスが、出産を司る神なので、そこを想起してしまうのだが。

5月の星座はふたご座。双子の顔コワイ。このあたりの壁画を描いたのはフランチェスコ・デル・コッサというフェラーラの画家さんらしいが、画風が独特だなあ。しかし、5月がふたご座の月だと考えると、アポロンが司る場面に、双子の妹のアルテミスを思わせるものが描かれていてもおかしくないのかもしれない。

このへんで、星座好きの人はもうお気づきだと思うが、スキファノイア宮殿の星座と12か月は、現在言うところの星座と1ヶ月ずれている。これには、暦の変化とか、星の位置のズレとか、いろいろな原因があるらしい。ちなみに、現在の星占いも、実は少し実際の天体とはズレてしまっているそうだ。

スキファノイア宮殿

6月はかに座。かに座というよりザリガニ座。かに座なんてね、いつも適当に扱われるものなのよ(私はかに座)。この6月からは、入り口から見て左手の方に描かれていて、保存状態は3~5月より悪くなっている。

人間界には、傾いた塔と、運河を走っているらしきゴンドラが描かれている。ヴェネツィアかな?と思うが、昔はヴェネツィアだけでなく、北イタリアには運河の走っている町は多かったので、ヴェネツィアとは限らないだろう。

7月は獅子座。

人間界の後ろの方に何気なく描かれた風景。保存状態がよければ、なかなか素敵な絵だったんじゃないかと思う。

8月は乙女座。この乙女は、妙な迫力と色気があって、か弱い乙女というより、女の底力を感じさせるような乙女である。

8月の人間界にも猿が登場。猿だよね?犬じゃなくて。

9月はてんびん座。フレスコ画がそこそこ残っているのはここまでである。

9月はウルカヌスという、ちょっと地味な鍛冶の神様が描かれていて、ちょっと右の方に面白いものがあった。

男女のベッドシーン。まさか、妻のアフロディーテ(ヴィーナス)が、軍神マルスと不貞を働いたシーン!?と思ったが、調べてみると、この男性の方は確かに軍神マルスなのだが、さすがに女性はアフロディーテではなく、ローマの建国者と言われるロムルス・レムスの母親だそうだ。よく見ると、ウルカヌスの左の方に、雌狼の乳を飲むロムルス・レムスが描かれている。

スキファノイア宮殿

こちらはてんびん座。よーく見ると、神の見えざる手みたいな手が空間に急に現れて、天秤を持っている。

フレスコ画が残っているのはここまでで、残りの1~2月、10~12月の部分はほとんど残っていない。

このへんなんか、かろうじて、うお座のシンボルである双頭の魚がうっすらと見えるのだが、保存状態としてはこのくらいである。

いやー、それにしても楽しかった!半分近くの月が残っていないのは残念だが、そこまで残っていたら、我々は半端なくスキファノイア宮殿に居座ってしまっていたのではないか。結局1時間半くらい見てたよ!パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂と違って、ゆっくり堪能できるのが魅力だなあ。

これが見れたんだから、もうフェラーラに思い残すことはない!と思った私だが、この後も、フェラーラを欲張りに歩きつくす1日になるのである。まあ旅行最終日ってそんなものよね…。

3/18フェラーラ旅行記6 計画都市に中世の名残りへ続く