3/18フェラーラ旅行記9 女一人旅の成功の鍵はコミュ力に有り
フェラーラ最終日の午後。
姉はこれから、2日前に体調を崩して入り損ねたエステンセ城に入ると言う。私は既にエステンセ城には入場しているので、姉と別れて、どこかほっつき歩くことにした。どこ行こうかな。
エステンセ城から道路を挟んだところにあるカフェに、ボローニャの有名チョコレート店「マイアーニ」のチョコレートが置いてあった。とりあえず、友人用や自分用にマイアーニのチョコレートを買いたいので、このカフェでお買い物することにした。
チョコレートを物色していると、オヤジが寄ってきて「これが美味しいよ」「僕はコレが一番好きさ」「これは甘いよ(with投げキッス)」などと、勝手に接客を始めた。もちろんカフェのスタッフではない。
ホワイトチョコレートを指さして「コレは止めたほうがいい。カカオが少なくて砂糖が多いから、あまり身体によくないよ」と言う。まあ確かにオヤジの言うとおりなので、ホワイトはやめて、オヤジ推薦のチョコレートをいくつか選んだ。
最後にオヤジは、握手を求めてきて、投げキッスをして去って行ったが、イタリアでは女性一人歩きを始めた途端にコレなのである。イタリアを一人旅する女性は、三歩歩けばイタリア男が寄ってくることを覚悟した方がよい。「自分は大丈夫」なんて思ってはならない。私だって謙遜でも何でもなく、男性ホイホイなタイプではないのだ。
さて。これからどうしよう。
まだ入場していない場所で、一番興味があるのはエステンセ城の塔だが、もしかしたらエステンセ城を見学した後に、姉も上りたいと言うかもしれない。地図を広げると「ロメイの家」という、よくわからないものが観光名所として載っていて、そこそこ近かったので、このロメイの家とやらに行ってみることにした。
ロメイん家に向かう途中の町並み。フェラーラは赤煉瓦が目立つ町並みである。通りを自転車で走る地元の人が多く、北イタリアらしい活気がある。
「ロメイの家」は、15世紀の銀行家ジョヴァンニ・ロメイという人のお屋敷だそうだ。フェラーラカード「MyFE」で入場できる。
1階のお部屋にはフレスコ画が残っている。色合いがいささか地味だが、未完成ではなく、おそらく色落ちしているのではないかと思われる。しっかり残っていれば雰囲気よさそうなんだけどな。上の方の植物模様はカワイイ。
途中の中庭には、プリンみたいな井戸。
井戸の周りにお花が植えられているのがカワイイ。もう現在は、使っていない井戸なのだろうけど。井戸のしての役目は終えて、館の飾りとなっている。
もう一つ、さらに立派な井戸が、二層になった回廊の真ん中にある。
あまり保存状態がよくないが、上の階にはフレスコ画が少しだけ残っている。
よく見ると、ボタニカル柄がかわいらしい。私はボタニカル柄って好きだなあ。大人のおしゃれにも取り入れたいものだ。
このような美しい絵が残っている箇所もある。それにしても私のカメラは下手だな。まず第一に、カメラの枠線と水平に撮影できていない。第二にピントが合っていない。カメラが上手くなりたいんじゃなくて、フツウに取れるようになりたいよ。ワタシ、普通のカメラ撮りになりたぁいっ!
どこかの教会に飾られていたというライオン君たちも展示されていた。お行儀よく座っているかわいいライオン君たちであった。どういう経緯でここにあるのか、真ん中の看板に書いてあったが、ぼんやりと読んで、忘れた。ぜひ現地で確かめてきてね!(使えないブログ)
バスタブ。ロメイったらお風呂が趣味だったのね。1992年の発掘で見つかったものだそうな。フェラーラに残るバスシステムとしては、最も古いもの(1440年頃)だとか何とかかんとか。
ロメイの家は、フェラーラの観光地の中で特別人気があるわけでもないので、私の貸し切りなのではないかと考えていたが、結構観光客がいてビックリした。というか、フェラーラ自体が観光客が多い。
フェラーラは、評判のよいホテルや、お土産探しに便利なお店があまり見つからず、観光にやる気ないのかなあと感じたが、こんなに観光客が来るなら、もっといろいろ観光客を呼ぶ工夫ができそうだ。
最近、日本でも観光客の一極集中が問題になったりするが、イタリアはミラノ・ヴェネツィア・フィレンツェ・ローマの四大都市以外にも、魅力的な町は山ほどある。観光客が「行く時期」と「行く場所」が分散されれば、混雑が少しは緩和されるのだろうけど、なかなか難しい課題である。
ロメイの家を出たら、姉とエステンセ城の中(中庭は入場券なしで入れる)で待ち合わせしているので、エステンセ城の方へと戻った。
こうやって2階部分がせり出した建物を見ると、「中世チックだなあ~」と感じる。税金が1階の床面積に対してかけられていたので、2階部分をせり出した作りにすれば、節税になったという説がある。地震大国の日本人から見ると、何だか危なっかしい建物に見える。
ちなみに、このせり出しをもっと大きくして、地面部分から柱で支えれば、ポルティコ(柱廊)になる。
イタリアでは珍しい、お茶の専門店が途中にあったので、ついパチリ。抹茶道具が飾られているのがお分かりだろうか。右には和風な女の子の絵が描かれた箱もある。
こちらは、フェラーラのカテドラル前の広場に出るために、何度も通った通路である。何だか雰囲気のよい通りなのだが、この通りの雰囲気を作り出しているのは、右手に見えている「世界最古の居酒屋」と呼ばれているお店。お酒が好きだったら、一杯くらい飲んでみるところなのだが、私はゲコなので、残念だから何度も前を通るだけ。ゲコ。
カテドラル広場。相変わらず活気にあふれるフェラーラの町。滞在すればするほどフェラーラが好きになっていくが、フェラーラで残念だったのは、美味しいバール・カフェにありつけなかったことだ。お気に入りのバールが見つかっていれば、もっとフェラーラを好きになっていただろう。
バールに左右されるようになったら、私も立派なイタリアマニア。イヤ、立派は言い過ぎだな。フツウのイタリアマニア。
姉とは、エステンセ城のお堀にかかっている橋を渡った、お城の中庭で待ち合わせをしている。この中庭には、入場券なしで入ることができ、普通にフェラーラ市民が、通行のために使っていたりする。
姉は既に約束の場所で待っていた。姉「エステンセ城面白かったよ。スタッフと英語でお話ししたらブックマークをもらっちゃったよ」。さすがコミュ力の高い姉。
たくさんの貴族の紋章が並んでいる部屋で、姉が蜂の紋章を目にして、シチリアで見たことがある気がするなあと思い、「あれはシチリア島の貴族のものですか?」と、スタッフに(かなりあやしい)英語で質問したのだそうだ。
これは姉の勘違いで、実際はローマでバルベリーニ宮(国立絵画館)に入館した時に、蜂の紋章を目にしていたのだが、エステンセ城の(ヒマを持て余していた)スタッフは大騒ぎして、隣の部屋のスタッフも呼んできて、ああでもない、こうでもない、と大騒ぎをはじめたらしい。
結局よくわからず(当たり前だよな、バルベリーニ家はシチリアにゆかりなどないだろうし)、姉が「もういいですよ、いろいろありがとう」と立ち去ろうとすると、「待ってくれ!ぜひこれを記念に持って行ってくれ!」と、エステンセ城の紙のブックマーク(しおり)を渡してきたらしい。
うーむ。さすが姉。私が一人歩きでオヤジに絡まれている間、姉は自分からスタッフに絡んで、しかも気に入られて記念品をゲットしていた件。こういう姉みたいなタイプだったら、女性のイタリア一人歩きも何てことなさそうだな…。
さて。姉も私も、本当はこの後、エステンセ城の塔に上りたかったのだが、ここで問題が一つあった。「まだお土産を全然買えていない」。うむ。今日はフェラーラ最終日なだけではなく、イタリア旅行の最終観光日なのだ。
フェラーラの中心部のスーパーはあまり大きくなくて、めぼしいお土産をまだ見つけられずにいるし、我々のお土産探しの味方・自然派コスメのチェーン店「Bottega Verde」が、フェラーラの旧市街内にはない。
「Bottega verde」はパドヴァのラジョーネ宮近くにあったから、パドヴァで購入しようと思っていたのに、パドヴァは忙しくて、お土産を買う時間なんか・←これっぽっちもなかったんだ。
そういうわけで、「何となくフェラーラ市街の、上から見た風景は想像できるよね」というワケのわからない論理で塔を諦め、残りの時間はお土産探しに費やすことにした。