3/10レッチェ旅行記1 サンタ・クローチェ教会がまさかの…

ブリンディシからレッチェ駅に電車で到着した時には、もう14時を過ぎていた。

当初の計画では、この日のランチはレッチェで取るつもりだったのになー。あの悪船め…いや、あの悪船のことはもう忘れた!

レッチェでは、鉄道駅まで歩いて5~10分程度のB&Bを予約してある。もちろん歩いて行ける距離なのだけど、スーツケースがある、既に時間が押してるのでこれ以上タイムロスしたくない、私は風邪引きだから体力温存したい、などなどの理由で、近距離だけどタクシーを利用することにした。

レッチェ駅は、Freccia(特急列車)も停車する大きな駅である。駅を出ると、タクシー乗り場にタクシーは待機していた。正規のタクシーだったし、運転手さんも感じの良い若い男性だったので、値段も聞かずに乗り込んだ。

しかし、イタリア旅行では、乗車する前にタクシー代を聞くのは鉄則である。乗ってから、そう言えば聞くの忘れたなと思って、「だいたいいくらですか?」と聞くと、「10ユーロ。スーツケース2つあるから、合わせて12ユーロですね」。

じゅ、じゅうユーロっ!?

我々が宿泊するB&Bとレッチェ鉄道駅は、500メートル程度しか離れいない。今までのイタリアでのタクシー経験でも、このくらいの距離なら、高くても6~7ユーロだという感覚があった。ま、まさか、こんなに感じがいい運転手さんなのに、ぼ、ぼった…

…という言葉が頭をよぎった瞬間に、運転手さんは、こういう観光客の微妙な反応に慣れているらしく、「これがレッチェの法定タクシー料金ですよ」と、一覧表を見せてくれた。

すると、本当にレッチェのタクシーの初乗り料金は10ユーロだった。疑ってごめん、運転手さん。でも、こんなに初乗り料金が高いイタリアの町は初めてだ。「南イタリアのフィレンツェ」とも称される観光名所レッチェは、何もかもか観光地料金なのか、と、私の心の中を暗雲がよぎる(実際には高いのはタクシーだけだった)。

宿泊するB&Bは、バロックのお屋敷の何部屋かを、宿泊用に改造しているエレガントな建物である。シーズンオフなので、ツインで90ユーロくらいで宿泊できるが、夏のハイシーズンはかなり高いのではないかと思う。

レッチェのホテル

床のタイルがエレガント!

レッチェのホテル

窓からバロック教会が見えている。レッチェはエレガントなバロック都市なので、エレガントホテルに宿泊して正解だった。その町の雰囲気に合ったホテルに滞在するのが、最近の姉と私のこだわりである。

B&Bのオーナー女性も、部屋と同じようにエレガントな女性だった。フィレンツェ出身だという彼女は、「南イタリアのいいところは、人間が温かいところよ。人が倒れていたら、必ず助けるの。これが北部だと、倒れている人間をまたいで去っていくわね」と笑っていた。もちろんこれは大げさな言い方だ。私には、北部イタリアの人たちも、同じように親切に感じる。

オーナーの娘さんが、日本の「刀か何かのアニメ」にはまっていて、「クレイジーなのよ」と彼女は言った。私はこういうのにあまり詳しくないのだが、刀剣乱舞かな?その娘さんが、もうすぐ誕生日で、アクセサリーに名入れをするのだが、自分の名前を漢字で入れたいらしい。どういう漢字にすればいいかという相談に、しばらく姉と二人で頭をひねった。

レッチェは3泊を予定している。私は風邪ひきの真っただ中で、姉もどうにも調子がよくない。というのも、ギリシャでは、ギリシャ料理は安くて美味しいという理由で、あまり自炊をしなかった。そのせいか、胃袋が、何だかお疲れなのだ。

レッチェはキッチンつきの部屋にしてある。もー、3泊中、ずっと自炊でヨシ!シンプルな野菜を食べたいぜ!レッチェのあるプーリア州は、野菜が美味しいことで有名だ。そんなわけで、まずは3泊分の食料品の買い出しに出かけた。

サン・ビアージョ門から城壁を出たところにスーパーがあると、オーナーに教えてもらったので、行ってみたが、スーパーはやや小さめであった。それでも、野菜を調達できたのでヨシ。我々は、プーリア人に負けない野菜食らいなのである。

スーパーの近くには郵便局があったので、お金をおろした。その近くに停まっていた車に、こんな絵が描いてあり「ああ、イタリアに来たなあ」と実感。何を意味している絵なのかは意味不明。

そんなこんな事務作業をこなしていると、時間はあっという間に過ぎていく。今日は、じっくりレッチェ観光のハズだったのに、全部グ…いや、あんな悪い船のことは忘れるって決めたハズだ!私はどうしてこんなに意志が弱いのか。時間は既に夕刻近くなっていたが、せめて少しくらいは観光しようと、軽く町歩きをすることにした。

まずは何もする前からなぜかお腹がへったので、宿泊しているB&Bから近い円形闘技場近くにある、「Caffe Alvino」という老舗カフェで、レッチェ名物のお菓子・パスティチョットを食べることにした。

レッチェのカフェ

こちらが「Caffe Alvino」。地元の人たちがどんどん入店していく。お店の前はテラスカフェになっているが、中にはバールカウンターがあり、立ち飲みができる。

「Caffe Alvino」は、カフェの他に「Pasticceria(お菓子屋)」という看板も掲げているので、レッチェ名物のパスティチョットを看板商品として扱っている。パスティチョットは、店の奥の方で販売していた。レモン味やピスタチオ味など、いろいろな味が揃えてあったが、まずは基本のカスタード味から入ることにした。

パスティチョット

こちらがパスティチョット。

外側の記事はクッキー生地でサクサクしていて、中はカスタードクリームがぎっちり詰まっている重厚感のあるお菓子だが…美味しいっ!

ブリンディシでも食べたパスティチョットだけど、やっぱり本場レッチェは違うね!お腹にたまるお菓子なので、町歩きで腹ペコになった時に食べるのにちょうどいい!満腹になって、歩き回ってカロリー消費して、またパスティチョットを食べて…の繰り返しをすればいいね!実際、我々は3日のレッチェ滞在で、このお店のパスティチョットを全味制覇することになるのだ。

カウンター席で食べるなら、普通サイズのパスティチョットは1.3ユーロと、お値段もお手頃である。カロリーが気になる人は、ちびサイズ(0.9ユーロ)もあるよ!お腹空いてないけどパスティチョット食べたいという時にも、ちびサイズ便利だよ!(お腹空いてないなら食べるなよ…)

さて、レッチェは、「南のフィレンツェ」という異名を持つ。この名称は、バロック教会が彩る街並みが、フィレンツェ並みに美しいことに由来する。レッチェ以外にも、バロック教会が立ちならぶ町は、イタリアの中部~南部には多いのだが、その中でも特に、レッチェ・バロックは美しいというのだ。

そのレッチェのバロック教会の中で、押しも押されぬナンバーワン教会が、サンタ・クローチェ教会である。バロック建築は少々装飾過多と言われるが、サンタ・クローチェ教会はこれでもかと装飾されているにも関わらず、全体としての美しさがあると言われている。

そこで、まずは、最初のレッチェのバロック教会として、サンタ・クローチェ教会を見に行くことにした。円形闘技場のあるサントロンツォ広場からはすぐである。

やあ、こんにちは!ブウオナセーラ、サンタ・クローチェ教会っ!

レッチェのサンタ・クローチェ教会

……………。

じ、実は、数か月前にレッチェに行った方の旅行記で、サンタ・クローチェ教会が修復中だったことは確認してあった。しかし、なぜか我々は、「私たちが行く頃には終わっているだろう」と、何の根拠もない安易な確信で、ほいほいとレッチェに来てしまったのである。

あああああーっ!内部には入場できるが、サンタ・クローチェ教会の最大の見どころは、その正面の外観なのである!4回転ジャンプが1回転になった上にバランスを崩してしまったくらいの衝撃だぜ…(フィギュアスケートネタ)

レッチェのサンタ・クローチェ教会

中には入れたしさ、美しいんだけどさ、まさかの展開…いや、まさかってことはない、なぜか考えないようにしていたことを、事実として突き付けられただけだな…。

レッチェのサンタ・クローチェ教会

木製の天井も、すっごく美しいんだけどさ、本当にまさかだったよ…。

いや、気を取り直そう、レッチェは「南のフィレンツェ」なのだ。サンタ・クローチェ教会が閉まっていたところで、他にもたくさんの見どころがあるはずだ!フィレンツェだって、ドゥオモのクーポラが工事中だったとしても、他にも山ほど楽しめる場所があるではないか!

それにしても、風邪はひくし、サンタ・クローチェ教会は工事中だし、他にもグリ(悪い船のこと)とかギリシャで虫に刺されるとか、今年の旅行はイマイチついてないなあ。しかし、サンタ・クローチェ教会の修復中で、私の旅の悪運もようやく終わりかと思っていたら、まだ終局ではなかったのである…。

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