3/7フィレンツェ旅行記7 本日ミケランジェロ広場日和

この日のフィレンツェは、天気最高。昼からは、ミケランジェロ広場へ行くことになった。

ミケランジェロ広場とは、フィレンツェの町全体のパノラマを拝める、ちょっと高台にある広場である。ミケランジェロ広場に行くのは、私と母は2回目、姉は何と3回目。だが、誰一人、ミケランジェロ広場に行かなくてもよい、と考える者はいなかった。さすがミケ広!みんなのミケ広!

ミケランジェロ広場は、中心街からそれほどは遠くないのだが、坂道を上って行くため、母には少しキツイかな、と思い、バスで行くことにした。ミケランジェロ広場行きのバスは、13番線である。

駅からバスが出ているのだが、我々が宿泊しているレジデンス近くのサン・マルコ広場を通らずに、ミケランジェロ広場まで行ってしまうらしい。レジデンスから見て、駅とミケランジェロ広場は反対方向なので、駅まで歩くのは、わざわざミケランジェロ広場から遠ざかるようなものなので、ちょっともったいない。

姉が2年前に、一人でミケランジェロ広場までバスで行ったときに、サンタ・クローチェ教会近くからバスに乗れた、とのことだったので、サンタ・クローチェ教会近くのバス停まで行くことにした。

で、そのバス停まで行ってみた。………が、時刻表を見ると、14時台にしかバスがいない…。どういうこと?近くのレストランのおっちゃんに聞いてみると、グラツィエ橋を渡った、向こう岸のバス停ではないか、と言われたので、とりあえず、そっちのバス停まで行ってみた。

そっちのバス停も、やっぱり14時台しかバスがいない…。超有名観光地・ミケランジェロ広場行きのバスが、14時台しかいない、なんてことは、いくら何でも考えられない。

バス停に張り紙があり、「14時台以外の時間帯には、バスはこのバス停は通りません。最寄りのバス停は×××です」と、書いてあるように(私のつたないイタリア語力でかろうじて)読めるのだが、そんな場所わかんないよー!バス停に、見るからに頼りなさそうな地元のおばあちゃんがいたので、ダメ元で聞いてみたが、そもそも話そのものがかみ合わなかった。

…まあ、ジツは、グラツィエ橋まで来てしまっているなら、ミケランジェロ広場って、すぐソコだったりするのだよ。てわけで、歩いてしまうことにした。母、ごめんよ。2年ほど前に、フィレンツェ旧市街の交通規制が厳しくなったことで、バス路線の変更があったのだろう。

広場までは、結構な段数の階段を上るので、私は母のショルダーバッグを持ってあげることにした。が、母は、「お母さんは大丈夫だから!」と言ってなかなかショルダーバッグを渡さない。かなり激論の末、私は母のショルダーバッグを取り上げることに成功した。お互いにマジ切れ寸前であった。ほんの小さな荷物でも、手ぶらで階段を上るのとは格段に疲れが違うんだよ!

…しかし、我々のような我の強い者が結成する家族は、ハンターハンターの幻影旅団のルールを取り入れるべきかもしれん。「家族同士のマジ切れ禁止、モメたらコインで」。ハンター知らない人に説明すると、もめた時は、コインを投げて、裏表を当てた方の意見を採用する、というルールである。いや、これ、マジで来年から取り入れるべきだよ、我々。

というわけで、ミケランジェロ広場到着ー!まあ、こういった眺めの美しい場所には、苦労して上った方が、景色の美しさも身に染みるってものだね!(バスで行こうとしてたくせに…)

いやー、天気の良いミケランジェロ広場は、本当に最高っ!私が初めてミケランジェロ広場を訪問した時は、曇りがちの天気だったのだ。

ミケランジェロ広場から見たドゥオーモ

お天気最高で、ゴキゲンのドゥオーモくんとジョットの鐘楼ちゃん

ミケランジェロ広場から見たヴェッキオ橋

お天気最高で、ゴキゲンのヴェッキオ橋とアルノ川。

この最高の景色を眺めながら、中心街の「イ・フラテッリーニ」で買ってきたパニーノでお昼にすることにした。階段に腰かけて、ゼイタクな景色を前にパニーノをほおばる幸せ。周囲には、同じようにお昼ご飯を食べている、イタリア人の修学旅行生がたくさんいた。そんな修学旅行生と我々のパニーノの食べカスを狙い、集まってきたのは鳩。

ハトのパンくず争奪戦

ハトのパンくず争奪戦。パンくずをめぐる仁義なき戦い。時々スズメも参戦していた。体の小さいスズメを応援したくなるのは日本人のサガであろうか。このパンくず争いを撮影してくれ、と姉に頼むと、「何でこんなに素晴らしい景観のミケランジェロ広場で、ハトの戦いなんか撮らなきゃなんないのさ…」とぶつくさ言われた。…うん、姉が正しいね。

ミケランジェロ広場から見たベルヴェデーレ要塞

ミケランジェロ広場左手の方からは、ベルヴェデーレ要塞から続く城壁も見える。こちらの眺めも風情たっぷり。

ミケランジェロ広場は、いわずもがなの写真スポットなのだが、姉は何枚も何枚も、他の観光客に頼まれて写真を撮っていた。私に頼む無謀な観光客もいたが(私は写真ヘタクソ。これは謙遜ではない)、親切な私は「私は下手です。連れの方がうまいです」と姉を紹介した。本当に私って親切(その前に写真ヘタクソ)。

さて、ミケランジェロ広場に入ったら、ミケランジェロ広場だけで満足してはならない。その上の方にある、サン・ミニアート・アル・モンテ教会まで行ってこそ、正しい観光ってもんである。

そのサン・ミニアート・アル・モンテ教会に行く前に、我々はコイントイレ。ミケランジェロ広場近くには0.6ユーロで使えるコイントイレがある。何とこのコイントイレ、わざわざ0.6ユーロのトイレ代に、チケットを発行する。…何のために?このチケットを作るお金を節約すれば、トイレ代0.5ユーロにできると思うのだが、どうですかね?

よしっ!ではサン・ミニアート・アル・モンテ教会。ミケランジェロ広場から、ほんの少し上るだけである。行かないなんてモッタイナイっ!何せ無料教会っ!

こちらがサン・ミニアート・アル・モンテ教会。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会

外観からしてかわいいんだな、これが。

そんでもって、教会前からの、フィレンツェの眺めがまた、ミケランジェロ広場に劣らず美しいのである!

サン・ミニアート・アル・モンテ教会前広場からの眺め

もしかしたら、ミケランジェロ広場からの眺めよりも、ココからの眺めの方が私は好きかもしれない!ただ、ミケランジェロ広場と違って、ココからはアルノ川が見えないので、どちらが良いかはなかなか審判しかねるところである。

で、このサン・ミニアート・アル・モンテ教会は、内部も素敵なのである。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会 天井

まず、この天井のかわいらしさ。木製の天井に、細かく装飾がほどこされている。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会 モザイク

中央奥のモザイクも、何とも印象的。フィレンツェで、モザイク芸術が鑑賞できるのは、有名どころでは、サン・ジョヴァンニ洗礼堂と、この教会くらいしか記憶にない。

ちなみに、このモザイクは、通路の右端に、点灯するためのコインを入れる機械がある。点灯しなければ、暗くて細部が見えないので、ぜひ点灯すべし。この点灯マシンに気付かない人が多く、我々が点灯した後、誰も点灯してくれなかった。もう一度誰かに点灯して欲しかったので、他の観光客の前で、「この機械はいったい何だろうねえええ?」と、機械の前でわざとらしくうろうろするデモンストレーションをしてみたのだが、失敗に終わった。

このモザイクの前で、日本人の若い一人旅の男性に会った。母と姉は九州女らしく、男がつるんでいるのが嫌いなので(別に仲がいいだけだからいいじゃんよ、と私は思うのだが…)、一人旅の男性に好意的である。彼は、フィレンツェ市街からミケランジェロ広場に来るのに、道に迷って4時間くらい歩いたらしい。…よじかん?…フツーに歩けば、どんなに鈍足でも1時間弱で来れるだろうになあ…。

ていうか、ミケランジェロ広場は超有名観光地なので、標識も多く、迷う方が難しそうなんだけどなあ…。ま、旅における迷子って、結構後々、いい土産話になるんだけどね!

サン・ミニアート・アル・モンテ教会はロマネスク様式なので、私と姉が大好きな、わけのわからないロマネスク美術品も盛りだくさん。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会 ロマネスク美術

微妙な、ライオン、人、鷲が、ブレーメンの音楽隊状態になっている彫刻。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会 ロマネスク美術2

…うーん。これが何か、と聞かれると、やっぱり一番近いのは宇宙人、としか答えられない絵。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会 内部

まあ、どんなにファンキーなロマネスク美術があろうとも、全体として本当に美しいサン・ミニアート・アル・モンテ教会。この日は本当に天気が良かったので、小さな窓から光が差し込み、石造りの教会でもなかなか内部が明るく感じた。以前くもりの日に訪問した時とは、内部の明るさは段違いだった。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会 床の十二星座

床の装飾も本当に素敵。これは、十二星座をモチーフにしている。

サン・ミニアート・アル・モンテ教会 かに座

これは、私の星座のかに座。何ともラブリーなかにさん。

ミケランジェロ広場とサン・ミニアート・アル・モンテ教会でお腹いっぱいになったところで、旧市街の方へ帰ることにした。今度こそバスで帰ろう、と思ったのだが、来たバスに「旧市街のサンタ・クローチェ教会近くまで行きますか?」と聞いてみると、駅にしか行かず、旧市街は通らない、と言う。

その旨を姉に伝えると、「ええ?行かないわけないじゃん?聞き方が悪いんじゃないの?」などと言われたため、「地図を見ながら聞いてるんだから、運転手さんが正しいに決まってるでしょ!」と軽くケンカ状態に。まー、姉とケンカするの毎年のことだからなー。でも、来年からは絶対コインを導入すべきね。

実はこのバスについて、帰国してから調べたのだが、やっぱり交通規制のためか、バス路線は大幅に変更したようだ。12番と13番が、駅とミケランジェロ広場を、旧市街を迂回するような形で、逆回りに巡回している。12番が時計回りで、13番が反時計回り。

どちらを使うにしても、旧市街、特にシニョリーア広場くらいからミケランジェロ広場に行くなら、歩いて行く方が速いのではないかと思う(実際使ってないからわからないが、バスだと遠回りになるので)。駅から行くなら、バスを使うメリットもあるかもしれない。

帰ってきましたアルノ川

で、とことこ戻ってきました、中心街。ただいま、アルノ川くん。

グラツィエ橋の近くに、人気のジェラート屋さんがあるので、行ってみた。その名もジェラテリア・デイ・ネーリ(Gelateria dei Neri)。フィレンツェはジェラート激戦区なのだが、その中で、最近特にいろんな雑誌で紹介されていて、TripAdvisor (トリップアドバイザー)での評価もとても高い。

個人的には、今、フィレンツェで最もホットなジェラート屋さんと感じているので(ジェラートにホットってのは何かおかしいな)、ぜひ行ってみたかったのだ。もちろん母と姉に異存はなかったよ!

Gelateria dei Neri

で、行ってみたらスゴイ行列!ほー!結構中心からは外れているのに、スゴイねえ!一番小さいサイズで1.8ユーロと、まずはフィレンツェのジェラート屋さんの中では、値段が安め。フレーバーの数もかなり多く、慎重に選ぶとかなり時間がかかってしまう。

さて、お味の方は。口どけがよく、さっぱりしていて美味しいっ!でも、いろんなジェラートを食べてみたけど、個人的には、オルサンミケーレ教会近くのペルケノが一番かなあ。ただ、ペルケノは一番小さいサイズで2ユーロなので、こちらのお店の方が値段はお得。だけど、まだ私の脳内フィレンツェジェラート屋ランキングの1位はペルケノ!ペルケノの防衛戦成功、と言ったところだろう。

お店の中でジェラートを食べていると、ただでさえ混んでいる店内に、かなり人数が多い日本人団体ツアーが入ってきた。

我々にジェラートを作ってくれた、童顔の店員君が、「ブオンジョルノ(=朝~午後2、3時くらいまでのあいさつ)」とこの団体に呼びかけてみたのだが、反応はシーン…。時間的に3時ごろだったので、店員くんは気を取り直して「ブオナセーラ(=午後2、3時~夕方までのあいさつ)」と言い換えて呼びかけてみた。が、やはりシーン…。

ここでなすすべのなくなった店員君は、頭をかきかきしたのだが、この瞬間に我々とバッチリ目が合ってしまい可笑しかった。「ブオナセーラ」がわからないツアー参加者はともかく、添乗員さんは「ブオナセーラ」と返してあげればいいのに、何せツアー参加者が多すぎて、添乗員さんは余裕なしだった。

このツアーのおばちゃんに私は足をドカっと踏まれて、つい日本語で「痛っ!」と叫んでしまったのだが、全然気が付いてないようだった。全体的に、余裕なしだな、こりゃ…。店内がかなり人だらけになってしまったので、我々は店を出て、外で食べることにした。

このジェラート屋さんの近くにサンタ・クローチェ教会があるので、立ち寄った。サンタ・クローチェ教会は、正面から見るとなかなか美しいのだが、実は、正面だけが厚化粧の教会である。

サンタ・クローチェ教会

こうやって、横から見ると、正面だけが白塗りで、側面はベージュで古い感じなのがわかる。2年前に入場観光した教会なので、今回はスルー。

この後は、お買い物タイムにあてることにした。私と姉は、イタリア旅行であまり高価な買い物をしないのだけど、母の鼻息が荒かったので、フィレンツェの手作り革工房のお店に連れて行った。ま、こんなお店に入るの、我々も初めてなんですけどね!

日本でも有名な「PAOLO CARANDINI」というお店に行ったのだが、確認してあった地図の場所に見当たらない。ウロウロしていると、他のお店のおじさんが、「日本人?もしかしてパオロのお店探してるかい?場所変わったんだよ」と、小さな地図を手渡してくれた。やっぱり日本人はよく行くお店なんだなー。

場所はBorgo Allegri通りに移転していた(正確な住所はBorgo Allegri 17/R)。職人さんのかわいいおじいちゃんがいて、私がイタリア語が少しわかると言うと、嬉しそうにいろいろ話しかけて来た。フィレンツェの前にどこに行ったのか、と聞かれたので、アルベロベッロとマテーラ、と答えると、マテーラという答えにとてもびっくりしていたので、日本では今かなり有名なんですよ、と答えた。

父、叔父、いとこのお姉ちゃんのおみやげに、名刺入れと小銭入れを買い、名前もその場で無料で入れてくれた。名前を入れてもらうと、かなりいい感じに仕上がった!5ユーロもまけてくれた、やさしいおじいちゃんであった。

この後も、途中で先に母を帰して、我々の行きつけのハーブ薬局・Spezierie Erboristerie Palazzo Vecchio(シニョーリア広場)や、ヴィオラショップで、知人用や自分用のおみやげを買った。

帰りはすっかり暗くなっちゃって、お星さまとサン・ジョヴァンニ洗礼堂のツーショットが見れた。

夜のサン・ジョヴァンニ洗礼堂

おやすみなさい、サン・ジョヴァンニ洗礼堂。

夜空に浮かぶ月もすっかり丸くなっていた。アルベロベッロで見た月は三日月だったのになあ。月日は流れるものだよ、しみじみ。

さて。明日は3月8日。フィレンツェ滞在で一番大切な日である。なぜか…は、次回!
3/8フィレンツェ旅行記8 祝!ダヴィデ像一番乗り!へ続く