3/13ミラノ旅行記6 気になるあのコの名前はルシオ!
さて、この日の夜は、ミラノでの最大のイベント、チャンピオンズリーグ観戦である。
ミラノでチャンピオンズリーグ観戦。このブログを読んでいただいてる方で、サッカーに詳しい方は、あれ?と思われるかもしれない。このブログの作者は、ローマとフィオレンティーナが好きなはずなのに、なぜミラノでチャンピオンズリーグ観戦?と。
なぜかと言いますとですね、母が、NA‐GA‐TO‐MOを見たいと言ったわけですよ。そのためにミラノに来たようなものですよ!イエイっ!
ちなみに、私は、ローマやフィオレンティーナのような中堅どころのファンにはありがちなことだが、ユヴェントス、ミラン、インテルの、イタリア北部の3つのビッグクラブのことを、「悪の三強」と呼んで、悪者扱いしている。
何で「悪」かと言うと、ユヴェントスは、イタリアサッカーの凋落を招いた2006年発覚の八百長事件の親玉だし、ミランは、あのベルルスコーニが会長である時点で悪役決定である(日本プロ野球でいうところの巨人みたいなもの)。
ではインテルは?と言うと、別にインテルは何も悪いことしていない。単にお金持ちのおぼっちゃまオーナーが、お金の使い方を間違えつつ運営しているだけのチーム。じゃあ、なんで「悪の三強」なのかと言うと、インテルはついでだから、ひとくくりにしちゃっただけなわけですよ。イエイっ!
念のために書いておくが、この3チームのファンの方、気を悪くなさらないでくださいね。ローマやフィオレンティーナのようなチームを応援する時は、この3チームを悪者にしてしまった方が、面白くシーズンを過ごすことができるわけですよ。何ていうか、平幕力士が横綱に勝った時に、座布団を投げたくなる気持ちと一緒なわけですよ。ご理解くださいませ!
というわけで、インテルも、私にとっては敵役なのだが、今夜見に行く試合は、セリエAの試合ではなく、チャンピオンズリーグの試合であることがポイントである。セリエAの試合では、いつも三強の相手側を応援している私だが、チャンピオンズリーグでは、つねにイタリアのチームを応援している。
サッカー知らない方のために簡単に補足しておくと、セリエAはイタリアの国内リーグ戦、チャンピオンズリーグは、ヨーロッパのサッカークラブが集まるトーナメント方式の大会。つまり、今日の試合は、心置きなくインテルの応援ができる試合なのである。NA‐GA‐TO‐MOだって応援しちゃうよ!
私と姉は、インテルのホームスタジアムであるサン・シーロに行くのは二度目である。3年前、インテル対ローマの試合を見に行ったのだ。その時、ドゥオーモ広場からトラムを使ってサン・シーロまで行ったので、同じ行き方がわかりやすいだろう、と、ドゥオーモからトラムに乗ることにした。
夜が遅くなるので、スタジアムに行く前に、ドゥオーモ近くの「アウトグリル」という、有名なセルフサービス方式のカジュアルレストランで夕食を済ませた。味は可もなく不可もなく、アメリカーンって感じのレストランであった。
夕焼け小焼けのドゥオーモさん。では、サン・シーロに行ってまいりまする!
ドゥオーモからサン・シーロへと行くトラムは16番。どうせ、トラム乗り場へ行けば、インテルファンがたくさんいるだろうから、すぐわかるだろうと思っていたのだが………インテルファンがぜんぜん見当たらないっ!一応、16番トラムが停まる、と書いてある停留所で待つことにしたのだが、待てども待てどもトラムは来ない…。
不安になって、近くの人に、サン・シーロへの行き方を聞いてみると、地下鉄で行けばいい、と言われた。確かに、地下鉄でもサン・シーロに行けるらしいのだけど、地下鉄の駅からスタジアムは結構歩くんじゃなかったかなあ…。迷ったのだが、やはり、一度使ったことのあるトラムで行った方がわかりやすいだろう、と考え、16番トラムを待つことにした。
15分以上待って、ようやく16番トラムはやってきた。この時点で、試合開始の20時45分まで、あと1時間ちょっとくらいだったが、まあ、30分くらいでスタジアムには着くはずだし、試合開始30分前にスタジアムに入れれば大丈夫だろう。
それにしても、トラムに乗っているインテルファンはほとんどいない…。最後尾にインテルのマフラーを身に着けた男性二人がいたので、「私たちもサン・シーロに行きたいのですが、ついて行ってもよいですか?」とお願いすると、快く頷いてくれた。この男性二人組の近くに、パパと若い女の子の親子が座っていた。インテルのグッズは身に着けていなかったが、サッカーチケットを手に持っていたので、この親子もサン・シーロへ行くのだろう。
しかし、3年前にこのトラムを使ってサン・シーロに行ったときは、そんなに遠く感じなかったのだが、結構時間がかかり、私と姉は時計を気にし始めた。サン・シーロってこんなに遠かったっけ…!?男性二人組が、「次の停留所で降りて、バスに乗り換えだよ」と教えてくれた。この後、バスにも乗り換えるのか…。ま、間に合うかなあ…!?
この男性達に続いて、トラムを降り、その後から、近くのチケットを持っている親子も降りてきた。…が、男性達が、「ごめん!この次だっ!急いでトラムに戻ろうっ!」と言い、慌てて、男性達、私たち、親子は、トラムに舞い戻った。何とかセーフ~…。
我々に続いてトラムを降りた親子は、どうやらフランス人で、マルセイユの応援に来ているみたいだぞ…。それで、このインテルファンの男性達に直接助けを求めることができなくて、近くで動向を見守っていたのだね。日本人は、日本人=長友=インテルファンだと思われるので、こういう時は助けてもらえて楽ちんだね!
で、その次の停留所はこのトラムの終点で、ここでバスに乗り換えた。トラムの終点は地下鉄のDe Angeli駅で、地下鉄から降りてきた人もバスに乗ってきた。しかし、思っていた以上に、サン・シーロまでは時間がかかる。余裕のあるスケジュールにしたはずなのに、サン・シーロに到着した時は、もう試合開始20分前であった。
だが、チケットは、フィレンツェのミラノ銀行で購入してあるし、20分もあれば余裕で席にたどり着けるだろう…と思っていたのだが、甘かったっ!!!何と、スタジアム入口が大混雑していて、なかなか入場できないのである!
イヤね、確かに、今までのイタリアでのサッカー観戦で、入場に時間がかかったことはありますよ(ローマとかナポリとか。あとブレシアは本当に酷かった)。
でもね、インテルと言えば、イタリアのみならず、ヨーロッパを代表するようなビッグクラブの一つ。しかもここは北イタリアで、ミラノだし、まさか、ローマとかナポリみたいなカオスってことはないだろう、ちゃんとスムーズにスタジアム運営できているだろうと、思っていたのだが、本当に甘かった。
何でスタジアムの中に入るだけなのに、15分も時間がかかるのか、日本人には本当に理解できないよ!入口の数が少なすぎるのだろうか。とにかく、20分前にスタジアムには着いたのに、入場に15分かかってしまい、試合開始まであと5分!
係員の人に教えてもらって、自分たちの席へ行こうとすると、若い女の子たちに占拠されていた。「そこは私たちの席なんですけど!」と身振りで伝えると、彼女たちのすぐ後ろの席が3つ空いていて、「ココに座ってくれる?」とのお返事。
私は、席を替えてくれ、と言われてるのかの思い、すでに、チャンピオンズリーグのアンセム(試合開始前に流れる音楽)が、「ちゃーんぴおーーーーん」と流れ始めていたので、席替えでゴタゴタ動くのも難しいだろう、と思い、まあすぐ後ろの席だったので、言われた席へと座った。
あんなに余裕のない状況で、どうやって撮影したのか、姉が撮った、試合前のスタジアムの雰囲気。
ふーーー。何とか試合に間に合ったー(←ギリギリ)。余裕を持ってスタジアムに向かったはずだったのに、こんなにギリギリになるとは!
今回のミラノ旅行で思ったことは、やっぱりミラノに不慣れな者には、ミラノでトラムを使いこなすのは難しい、ということだった。
以前と比べると、地下鉄の治安が改善されているように感じたので、なるべく地下鉄を使うようにした方が、移動はスムーズかもしれない。地下鉄の方が乗り場がわかりやすいし、何より本数が多い。今回も地下鉄を使えば、余裕で間に合ってたんじゃないかなあ。まあ、それでもトラムの方が地下鉄より楽しいし、ミラノをトラムで制覇する夢はなかなか捨てきれない。
で、一息つこう…と思ったら、通路の方から、我々が座っている席が、自分たちの席だ、とアピールしている人たちがいる。えーっ!?女の子たちは、この席のチケットを持っているんじゃないのか!?
…そこで、前に座っている女の子たちに、我々のチケットを見せて、「私たち、自分たちの席に戻らなきゃいけないみたいなんだけど」と言うと、女の子たちは諦めて、席を立って行った。…どうやら、もっともっと後ろの方の席のチケットを持っているので、前の方に来たくて、勝手に空いてる席に座っていただけらしい…。
い、一件落着…。
それにしても、我々が座ってる席、何だか良い席だね。バックスタンド側だが、ほぼど真ん中だし、何より、椅子がフカフカしていて大変に座りやすい。わざわざインテルのカバーがかけてあり、座る部分にはクッションが入れてあるのだ。
こんな椅子。ミランの試合の時は、赤いカバーに変えるのだろうか。「TRIBUNA ONORE ARANCIO」というクラスの座席で、バックスタンドの中では一番高い席なのだが、メインスタンドの席よりはずっと安いし、座り心地が最高で、インテルの試合を見に行く方には、ぜひおすすめしたい席である。
だが、こんなにど真ん中の席が取れたのは、やはり前売りチケットを早めに購入したからかもしれない。イタリアでサッカーを観戦する場合は、当日券が購入できないなんてことはほとんどないけど、良い席で見たいなら、チケットは早めに購入しておいた方がよい。
てなわけで、このフカフカのお椅子で、余裕で観戦だよっ!フカフカ最高っ!この椅子のおかげで、インテルの高感度がだいぶアップしたよ(単純な私)!
ええと、椅子の話ばっかりしてないで、試合、試合。我々が観戦している試合は、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントの1回戦で、ホーム&アウェイ方式の2戦目である。1戦目は、マルセイユのホームスタジアムで行われ、インテルは、ロスタイムに失点して、0-1で負けてしまった。要するに、この2戦目で、インテルは2点差以上で勝たなければ、次のステージに進めないのである。
(サッカーを知らない方のために細かく説明すると、アウェイゴールが適用されるため、両チームのスコアが2戦合計で同点となった場合、相手側のホームスタジアムで、より多く点を取った方の勝ちとなる。
たとえば、この2戦目を、インテルが2-1で勝ち、トータルのスコアが2-2になったとすると、ここで相手の側のホームスタジアムで取ったゴール数を比較することになる。インテルはマルセイユホームで0得点、マルセイユはインテルホームで1得点なので、マルセイユが勝ち上がることになるのだ。
なぜこんなルールがあるかと言うと、簡単に言えば、攻撃型サッカーの方が麗しいと言われる風潮があるため。相手側のホームスタジアムで、アウェイチームが守備的なサッカーをするのを防ぐためである。)
母は長友目当てだが、私がインテルで好きな選手は、スナイデル、ミリート、スタンコビッチである。モウリーニョ時代のスナイデルは本当にスゴカッタ。同じオランダの選手で言えば、ロッベンが流川(突進ドリブル型)なら、スナイデルが仙道(他を活かせるパサー)って感じだ。
…二人とも全然顔が違うじゃん、なんていじわるを言ってはいけませんよ。二人とも全盛期はすごかったけど、何せケガが多いんだよなあ…。ちなみに、姉はキャプテンのサネッティのファンである。
で、1戦目を落とし、ビハインドを背負っている状態のインテルは、前半のうちからどんどん攻めるのだが、なかなか点を決めきれない。この試合が引き分けでもOKのマルセイユが、リスクを冒して攻めてくることはなく、自陣でガッチリ守りに入っていることも影響しているかもしれない。
だが、いくら相手が守りに入っているとはいえ、インテルは、つい2年前にはチャンピオンズリーグで優勝しているチーム。相手のマルセイユは、フランスの強豪チームではあるけれど、チャンピオンズリーグの上位に入ってくる常連チームという程ではなく、単純にチーム力を比べればインテルが上である。ぶっちゃけ、インテルにとっては、「勝たなければならない相手」なのだ。
…だけど、たった2年で、モウリーニョ監督が去っただけであまり中心選手は変わっていないのに、インテルの力強さ、勝負強さは、モウリーニョ監督と共に消えてしまった。どうして、2年前の優勝チームが、決勝トーナメントの1回戦で、こんなに手こずってるんだろう…。サッカーにおける、監督の重要性ってのが、つくづく思い知らされる。
試合中の電光掲示板。
サネッティファンの姉が撮影していた、試合中のサネッティの写真。
結局前半は0-0のまま終了した。
ハーフタイム中は、インテルファンがさまざまな旗を振り続けていて、キレイな光景だった。それにしても、インテリスタ(インテルファン)は、全体としておとなしいなあ、という印象だった。
ハーフタイム中に、近くのお客さんと試合について熱く談義を始めるフィオレンティーナのファンや、試合中に体をめいっぱい使って怒号を飛ばすローマのファン、ましてやカオスの一言のナポリのファンなどと比べて、インテルファンはお行儀がよくておとなしい。
この試合も、このまま引き分ければOKのマルセイユの選手たちは、ちょっとしたことですぐ倒れて時間稼ぎをしているのがミエミエだったが、そんなシーンで、インテリスタが飛ばすヤジやブーイングも、それほどの激しさはない。ミラノ人は都会っ子でクールなのかなあ。ミランのファンはどうなんだろ。
そんなおとなしいインテルファンだったが、ゴール裏では、ほんの少しだが、発煙筒を焚いている人もいた。発煙筒は、近くで見れば危ないのかもしれないが、夜の試合で遠くから見る分は、なかなか雰囲気があって綺麗である。
さて、後半が始まると、マルセイユの守備意識はさらに高くなり、インテルのチャンスは前半よりも少なくなってきた。うーん。決定力が無いなあ。私の好きなスナイデルは、コンディション不良のためか、後半13分で交代してしまったし、前線のミリートとフォルランがイマイチ噛み合ってないようにも思える。
それにしても、冬場のサン・シーロでのサッカー観戦は寒いことで有名で、私と姉が3年前に観戦した時は、本当に歯がガチガチ言うほど寒かったが、この日は夜になっても気温が下がらず、非常に観戦しやすい気候だった。フカフカの椅子のせいか、温かい、とまで感じる。
我々の前に座っていたおっちゃんも、暑くなってしまったらしく、何度か迷っていたが、ついに上着を脱いだ。何で迷っていたかというと、上着の下にインテルのユニフォームを着ていて、背中には、もう既にインテルにいない、エトーの背番号と名前をプリントしていたのだ。エトーね。懐かしいね。あの頃のインテル(モウリーニョ時代)は本当に強かったよ…。
スタジアムのインテルファンは、この日ベンチスタートのカンビアッソを出してほしい、という雰囲気が高まってきた。もうそろそろ後半30分になるし、何とかしなければならない。そのファンの気持ちが伝わったかのように、ようやく後半29分にカンビアッソが投入された。
カンビアッソが投入された直後、コーナーキックからのこぼれ球がミリートの前に転がり、ミリートが冷静にゴールに流し込み、ようやく、ようやくインテルが先制っ!あー、この1点を取るまでが長かったっ!カンビアッソが何かしたわけではないのだけれど、選手交代というのは、それだけで流れを変えてしまうこともサッカーでは時々あることだ。
インテルが先制したことを示す電光掲示板。点が入ったとき、インテルファンは、「ミランのク○ッタレ」みたいな歌を歌って、大いに盛り上がっていた。いや、ミランは関係ないだろ…。
この先制点で、ガゼン元気になったのは、インテルのセンターバックのルシオ。このままだと2試合合計のスコアが同点のままなので、インテルは勝ち抜くためには、失点せずにもう1点取らなければならない。それで、もう1点を取るために、ルシオがドカドカ前線に上がってくるようになったのである。
ルシオとは。センターバック(守りの要のポジション)にも関わらず、バッファローのような迫力のあるドリブルで、ゴリゴリ前の方まで上がってくるセンターバックとしてあまりにも有名な選手である。ちなみに、太い眉毛もド迫力である。
長友ファンの母も、サネッティファンの姉も、スタンコビッチファンの私も、気付くと、自分がルシオばっかり見ていることに気付いた。どうしてルシオのドリブルは、こんなにも人の心を打つのだろうか。ルシオの精一杯の前線への上がりは、功を奏し、ゴール前のいい位置にいたルシオに、パスが入った…!と思ったら、ルシオは豪快に足を滑らせて、コケタ。
めげずに、もう一度前線まで上がってきたルシオ。ペナルティエリアラインのギリギリのところで、ルシオの足元にパスが入った…!…が、こんな所でボールをもらっても、ルシオに何ができようよ。ルシオは躊躇った。躊躇っているうちに、相手にボールを取られてしまった。ルシオ…。大好きだよ…。何かもう理屈じゃないよ。
ルシオは本来の守備だけではなく攻撃でも頑張っているが、前線のミリートは、全く守備をしない。もう少し前線からプレスをかけに行って、ボールを奪いに行けばいいのになあ。
だが、モウリーニョ時代のミリートは、必要な試合ではしっかり守備もする選手だったので(バルセロナ戦で、そこいらのディフェンダーより上手な守備を披露したのを覚えている)、これはミリートのせいではなく、戦術の違い、なんだろうなあ。
何ていうか、モウリーニョが率いていたインテルってのは、指の先までモウリーニョの神経が通っているみたいなチームだった。プランデッリが率いていた頃のフィオレンティーナもそうだったけど。そういうチームってのは、強いのだ。
後半はそろそろ終わりにさしかかり、ロスタイムに突入した。第1戦はロスタイムで失点したインテルだったので、気をつけなきゃね、と思ったその時、何が起こったのか、インテルゴール前で、マルセイユのフォワードが完全なフリー状態でボールを持っている!と思った瞬間には、そのボールはインテルゴールに吸い込まれていた。
終わった…。
インテルは、たとえ1点返して、トータルスコアを2-2にしたところで、アウェイゴールの差で敗退になるのだ。残り時間はもう2分ほどしかないし、その中で2点取るなんて、まず不可能。スラムダンクの安西先生は「諦めたらそこで試合終了ですよ」って言うけど、時間制スポーツには、時間の限界と言うものがあるのだ…。
マルセイユに得点が入った時、インテルファン一色のバックスタンドで、立ち上がって喜んでいる、命知らずのマルセイユファンが一人いた。こりゃまずい、ボコられるぞ…と思ったが、周りのインテルファンは、特別反応もしていなかった。やっぱりインテルファンはおとなしいなあ。
これと全く同じ場面を、2年前のフィオレンティーナ対バイエルン・ミュンヘンの試合で体験したのだが(バイエルン・ミュンヘンのファンが、バイエルンに得点が入った時に、フィオレンティーナのファンのど真ん中でこれ見よがしに喜んだ)、その時、フィオレンティーナファンは一斉に彼を指さして非難し、係員がこの挑発行為をしたバイエルン・ファンの所に、すぐ駆け付けたのであった。
この得点で、実質的に試合終了となったため、マルセイユは気が抜けてしまったのか、ロスタイムの残りの時間で、インテルに不用意なPKを与えた。ミリートが蹴るかなと思ったが、ミリートは敗戦処理をしたくないらしく、途中から入ったパッツィーニに蹴らせた。ミリートって王子様気質だな…。
パッツィーニのPKが決まったところで、試合終了。イタリアでチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを見るのはこれで3回目だけど、3回連続「試合には勝ったのに、アウェイゴールの差でイタリアのチームの敗退が決まった」試合となった。
…私、イタリアのサッカー界にとって、厄病女神になっていやしないか………?来年からチャンピオンズリーグの試合を見に行くのは自重すべきだろうか。いや、しないよ(こんなことを気にする私だと思ったら大間違い)。
ふとピッチに目をやると、キャプテンのサネッティが、ファンに対して「応援ありがとう」の拍手を送りながら、それは丁寧に丁寧に、グラウンドを一周して、全てのインテルファンに挨拶をしていた。この光景はちょっと感動した。
サネッティって昔から人格者キャプテンとして有名だが、何だかそのキャラが定着した上に、さらに磨きがかかっている。聖サネッティって感じだ。もうインテルの守護聖人はサネッティでいいよ。
帰りに撮影したサン・シーロ。
さて。3年前は、トラムでドゥオーモまで行き、そこからタクシーでホテルまで帰った。今年も同じルートで帰る予定だったのだが、スタジアム近くにはバスしか待機していない。バスの運転手さんに聞くと、ドゥオーモに行くためにも、バスを使い、途中で地下鉄に乗り換えるように、とのことだった。バスは、地下鉄のDe Angeli駅が終点だった。
ドゥオーモまで行かずに、このDe Angeli駅からタクシーで帰ろうと考えたのだが、タクシー乗り場に人は並んでいるが、全くタクシーが来る気配はない。10分ほど待ったのだが、人の流れがあるうちに、地下鉄で帰った方が早いかもしれない、と考え、結局地下鉄で帰ることにした。
宿泊しているレジデンスは中央駅の近くなので、Cadrna駅でM2線に乗り換える形となる。ちょうど同じルートで帰る日本人男性のグループがいたので、近くにいさせてもらった(母は席まで譲って頂いた。ありがとうございました!)。
それにしても、人も多く、車内も駅も明るくて、地下鉄は全然危険を感じなかった。これからは、サン・シーロに行く時も地下鉄を使うべきだなあ。
というわけで、ギリギリ日付が変わらないうちに、何とかレジデンスにたどりついた。インテルは負けてしまったけど、フカフカの椅子に座れてよかったよ(私が本物のインテルファンでないことがよくわかる一文)。とにかく今日は、ゆっくり寝よう。お疲れさんした~!