3/15エピローグ ミヤトビッチさんって誰?

さて、21泊の今年のイタリア旅行も、ついに帰国の日となった。この日は、頭の中で、朝起きた時から、ずっと「蛍の光」が流れている。完全にお別れ気分である。日本人は、なぜ「蛍の光」を、閉店の時や、会の終わりなどに流す風習があるのだろうか。

とにもかくにも、脳内BGM「蛍の光」で、ズルズル、ズルズル、と重い足取りで、スーツケースを引いて、ミラノ中央駅へと向かう私。別に日本が嫌いなわけじゃないんだよ。日本の超絶ハイテクビューティフルトイレは最高だよ。ただ、旅が終わるのがカナシイんだよ。

ミラノ中央駅から、マルペンサ空港に向かうのだが、中央駅からマルペンサ空港行きの鉄道が、新しく開通したらしい。その新しい鉄道くんにぜひ乗ってみたかったのだが、宿泊しているレジデンスが、空港への高速バス乗り場に近かったので、高速バスを使うことにした。一人7.5ユーロ。

イタリアのバスでは珍しく、乗る前にドライバーから切符を買うことができる。イタリアでバスに乗るときは、タバッキなどでバス切符を購入しておかないと、車内では購入できない場合が多いのだ。

バスはとことこ、とことこと、空港へ向かって進む。私の脳内では、「蛍の光」が鳴りっぱなし。マルペンサ空港は、市街地から遠く、バスだと混雑具合にもよるが、1時間~1時間半くらいかかる。ただ、成田空港と比べると、それでも市街地から行きやすい距離である。

バスは1時間ほど走って、空港らしき建物の前で停まった。だが、2、3人が降りるだけで、ほとんどの乗客は降りない。おそらく、このまま乗っていればいいんだろうと、頭の中で「蛍の光」が流れている私は、旅行に対する真剣味が足りなくなっていた。姉が、運転手さんに聞きに行ってくれて、このまま乗っていればよいことがわかった。

姉はエライ。たとえ、最終日だろうが、頭の中で「蛍の光」が流れていようが、イタリア旅行では、あれ?と思った時には、ちゃんと聞かないと、後で大変なことになる場合もあるのだ。家に帰りつくまでが遠足…じゃなかった、イタリア旅行。私はどうも、この心構えに問題がある。早急に克服せねばならない。自らの課題を見つめる感心な私(課題って、見つめるだけでは何にも意味がないのだけれどもね!)

で、3年ぶりのマルペンサ空港。マルちゃん、元気だったかい?マルペンサ空港のチェックインカウンターは3階だった。ちなみに、イタリアの3階は、「2階」と表示されるので注意が必要である。日本での1階にあたる部分はイタリアでは、「Pianoterra(訳すと地上階?)」と呼ばれ、日本での2階に当たる部分から1階、2階、とカウントする。

往路と同じで、帰国もスイス航空を使い、チューリッヒ経由となる。チューリッヒ航空のカウンターで、eチケットを渡し、航空券を受け取った。経由便なので、航空券はミラノ→チューリッヒのもの、チューリッヒ→成田のもの、と、一人につき2枚になるので、3人分を一度に受け取ると、結構かさばった。

荷物を預けてから、椅子に座って、ゆっくり、「ハイ、これがお母さんの。これがお姉ちゃんの」と分けていると、航空券が一枚余った。…えっ!?何でっ!?

よくよく見ると、ベオグラード(セルビアの首都)行きの航空券がある!えっ!?私たち今からバルカン半島に行くのっ!?…と、さらにその航空券をよくよく見ると、搭乗する人の名前がミヤトビッチさんだった。

もう一度、スイス航空のカウンターに戻り、「あのー、コレ、私たちの航空券じゃないと思われますよ」とスタッフさんに返した。

いやー、違う人の航空券を渡されるなんて、今まで心配したこともなかったけど、こんなことが起きるのも、イ・タ・リ・ア!スイス航空と言えども、マルペンサ空港のスタッフはイタリア人ですからね!皆さん、航空券を受け取ったら、自分の航空券かどうか、しっかり確認しましょうね!(いや、マジで。)

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この発着案内の画面で、自分たちが乗る飛行機の、出発ゲートを確認。遅れなどが出ていないかも、確認しましょうっ!
とりあえず荷物チェックのゲートを早めに通って、出国検査も済ませた。飛行機の時間にはまだ余裕があったので、免税店などをぶらぶらした。母は最後の最後までしぶとくおみやげを買っていた。

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明るい雰囲気の、マルペンサ空港の免税店エリア。

めざとく「Venchi(北イタリアで有名なベンキという名前のチョコレート兼ジェラート屋さん。おいしいよ。店名に漢字を当てるようなことはしてはいけないよ。大人になるよ)」を発見した我々は、「最後にベンキ!」と言い合って、ベンキのジェラートを買った。

待合室の椅子に座って、ベンキのジェラートを食べた。美味しかった。何気なくレシートを見ると、…あいやー、3ユーロほど多く取られてるよ。買ってすぐだったので、我々の会計をした店員の女性に、「コレ、計算おかしくないすか?」と持っていくと、「あら、ごめんなさい」と、すぐ3ユーロ返してくれた。イタリア…最後の最後まで、他人の航空券を渡したり、ジェラートの計算を間違ったり…。

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こちら、マルペンサ空港の待合室。

今回は、チューリッヒでの乗り換え時間が50分と短い。少しでも飛行機が遅れたりしたら、乗り換えができなくなりそうだなと、ちょっとだけ不安ではあったのだが、飛行機は無事に定刻通り出発した。ちなみに、チューリッヒ空港が定めている、最短乗り換え時間は45分で、これより多い乗り換え時間の航空券を買っておけば、万が一乗り換えに失敗した際は、航空券は無効にならず、航空会社が他の便に振り替えてくれるそうだ。

バイバイ、イタリア。また、来年っ!来年こそは、ここ2年間スルーしてしまったローマに行くのが、ローマに対する義理ってもんだろう(そんな義理、世界中から観光客が集結してくるローマには、全く不要)。

ミラノからチューリッヒまでは、わずか1時間。本当に「あっ」と言う間に着いた。50分という短い乗り換え時間だったが、チューリッヒでは荷物検査も出国検査もなく、ただターミナルを、表示に従って移動するだけだった。途中で、地下鉄のような乗り物でターミナル間を移動するが、これも迷うことなく、サクサク進んだ。結局、10分くらいで成田行きの搭乗ゲートにたどり着き、余裕であった。余裕ってカッコイイ。

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明るくて清潔なチューリッヒ空港。マルペンサ空港と比べちゃいけませんよ(マルちゃんはイタリアの空港ではがんばってる方だ)!人はそれぞれだ。空港もそれぞれだ。

ココはもうイタリアじゃないんだなあ…と感じたのが、チューリッヒ空港は、エスカレーターが故障で止まってしまっている所があったのだが、係員さんがスムーズに空港客を誘導し、また、修理や確認のために、テキパキと連携を取り合っていた。テキパキ。イタリアではほとんど見ることのできない光景である。いいんだよ。テキパキを見るためにイタリアに行ってるわけじゃあないのさ。

というわけで、21日泊にわたる、with母のイタリア旅行も、これにて閉幕~。おつかれさんしたー!プーリア州からロンバルディア州までの、大旅行であった(日本で言えば、九州北部~東北までって感じだ)。来年はどこ行こうかね。義理でローマ、リベンジでシエナ、ニューフェイスでアマルフィ、ポンペイ、チンクェテッレ。パレルモにも行ってみたいんだけど、シチリア島はまだ私のレヴェルでは難しいかなあ。

…また来年も行くのか?もっちろん、また来年も行きます、イタリアっ!次こそ、イタリアのサッカーチームがチャンピオンズリーグを勝ち抜く試合を見たいよー!
(イタリア旅行2012完)