3/3ローマ旅行記17 満開の桜、カモノハシ

明日、アマルフィに向けて出発するので、今日は実質最後のローマ観光日である。

3日間が有効期限のローマパスも昨日で期限切れ。というわけなので、本日は、ローマパスで割引される美術館や博物館の類には入らない。テヴェレ川沿いを散歩しながら、ローマの無料スポットで楽しんじゃおうゼ!ということになった。

ヨーロッパの川は、日本の川と違って川幅が広く、ゆったりと流れるので、なかなか素敵な風景を作ってくれることが多い。そういうわけで、イタリアの川沿いを散歩するのはなかなか好きだ。ちなみに、今まで行ったイタリアの町の中で、一番美しい川沿いの風景は、ヴェローナのアディジェ川沿いである。

テヴェレ川沿い

おはよう、テヴェレ川っ!

テヴェレ川沿いには、ずーっと、木の枝が川の方向に垂れ下がっているような木が植えられていて、この枝越しに川を眺めるのは、なかなかいい感じである。

美味しい空気を吸いながら、テヴェレ川沿いをぼーっと歩いていると、あるものに遭遇した!

テヴェレ川沿い

そう!清掃車両である!

へー!イタリアも!公共機関が掃除するんだ!どうりで、今日は散歩コースを歩いている割には、ワンちゃんの落し物が少ないと思ったよ!これは感動した!

テヴェレ川沿い

途中で、向こう岸にサン・ピエトロ大聖堂のクーポラが見えた。薄水色が美しい。この水色は、空、つまり天上の天国を意識した色なのだろうか。イタリア語で水色は「celeste」で、水色という意味と、天界という意味がある。ローマを本拠地とするラツィオのチームカラーも「celeste」で、非常に美しい水色だ。サン・ピエトロ大聖堂のクーポラの色を意識してるのかなあ。

テヴェレ川沿い

川沿いには、ずーっとこの木が植えられている。

テヴェレ川沿い

この木に、鳥がたくさん集まってきていて、鳥の巣がいっぱいあり、鳥たちのさえずりが耳に心地よい。

テヴェレ川沿いに、サワヤカな演出をもたらしている木だが、実はこの木の根っこの上に、直にアスファルトが被せられているため、根っこが成長して持ち上がり、アスファルトが割れて、道はぼこぼこになっている。信じられぬ。日本だと街路樹を植える場合は、必ず土の部分を設けてそこに植え、木の根っこをアスファルトで埋めちゃうようなことはまずない。ない、ですよね?私が住んでる地域だけじゃないですよねっ?

いやー、イタリアは5回目だが、まだまだ驚かされることばかりだ。驚きは精神のリフレッシュをもたらす。旅ってスバラシイ。
テヴェレ側には一つだけ中州がある。…中州って何?島とどう違うの?

中州:中州(中洲、なかす)とは、川の中において、上流から供給された土砂などが堆積し、陸地となっている地形のことである。川中島(かわなかじま)ともいう。(wikipediaより転載)

…要するに、島ってことでOKね?(OKじゃねえよBy中州)

そのテヴェレ川唯一の中州は「ティベリーナ島」と呼ばれている。このティベリーナ島に、母が行ってみたいと言うので、橋を渡って行ってみることにした。

ティベリーナ島

これがティベリーナ島。カモノハシにそっくりだと思うのだが。ティベリーナ島の向こう側に映っている帽子みたいな屋根をかぶった建物は、ユダヤ教会である。

ティベリーナ島

ティベリーナ島は、もともと医学の守護神の神殿が建てられていた場所だそうだ。そのルーツのためか、昔から病院がこの島にあり、今でも大きな病院が建てられている。この写真に写っているオレンジ色の建物が病院である。ちなみに、左側に映っている橋は、ファブリチオ橋という名前の橋なのだが、なんと、紀元前62年に完成し、現在までほとんど修復されずに残っているのだそうだ。古代のロマンっ!(いや、ロマンとはちょっと違うだろ)

ティベリーナ島

こちらが、そのファブリチオ橋から見たテヴェレ川。ファブリチオ橋周辺は、そんなに観光客がいるわけでもないのだが、この橋には物乞いの人が二人ほどいた。病院に来る地元の人を目当てにしているのかなあ。

橋を渡りきると、ちょっとした広場があり、病院と教会が並んでいた。ここがティベリーナ島の中心、てとこかな。本当に小さな島だなあ。カモノハシだと考えると大きいけど(意味不明)。

この広場を抜けた所に、下に降りる階段を見つけたので、とことこと降りてみた。

ティベリーナ島

あちら側の河川敷は、ランニングやサイクリング、犬の散歩などに利用されていた。イタリアは特にサイクリングマンが多い。普段ママチャリのような、4ケタで買える自転車に乗っている私には、サイクリングの楽しさってイマイチわからない。自転車って移動手段じゃないの?

ティベリーナ島

釣りをしている人たちもいる。何が釣れるんだろうねえ。また、カメラの撮影の仕方講習会を開いているグループがあって、大きいカメラを首から下げた若者たちが、先生の説明を熱心に聞いていた。いいなあ。私も参加したいよ。私はカメラ激下手だが、うまくなりたいという気持ちはあるのだ。気持ち大事。最初の0歩。(つまり全然前に進んでないってことですね?)

ティベリーナ島

病院の続きなのか、何だかよくわからない家があり、そのお庭には、満開の桜が咲いていた。ちなみにこのお宅は、テヴェレ川の水位が上がったら、常に浸水の危険があるのか、入口には大量の土嚢が用意されていた。

ティベリーナ島

それにしてもこの満開の桜はキレイだね。イタリアで見る桜は、実にショボイ桜が多く、日本人がいかに桜を大事にしているかがわかるのだが、珍しくこの桜はキレイだ。3月上旬では、日本では桜の季節には少しだけ早いが、イタリアでは満開だ。ここ数年、常にこの時期はイタリアにいるが、イタリアは日本より、春の訪れが少しだけ早いような気がする。

追記:もしかしたら、この桜、桜じゃなくてアーモンドの花かも。アーモンドの花は、2~3月が開花時期になる。

ティベリーナ島

青空と桜とカモメ。何だか一句詠みたくなるね。……青空や 桜とカモメ カモノハシ………最低の出来だね。俳句文化を何と心得るね。だが、昔から、私、俳句とかポエムって、作るの苦手だったのだ(学校の宿題とかで作らされたりしませんですか?)。しょうがないから姉に即興で作ってもらった……テヴェレ川 ローマの春に 何思ふ……。おーっ!こっちは俳句っぽいね!やっぱり私が下手すぎるんだね!俳句とかポエムじゃなくて、歌詞なら書けるんですけどね。あっ、しまった、中二病的趣味を暴露してしまった。全力疾走で忘れて下さい!

というわけで、かなりぼんやり過ごしたティベリーナ島。そろそろ上に上がろうぜ。

ローマの陸に戻って、ぽちぽちと南下した。すると、何だか急に観光客が増えてきたよ!おねーさーん!なぜー(姉はローマ詳しい)?姉「真実の口の近くだからだよ」。

真実の口。あいつ、ぶっちゃけタダのマンホールのフタである。言い伝え自体は面白いのだが、何せ人が並び過ぎである。「嘘つきは手をかまれる」ということ自体が嘘だったら、いったいコレはどういうことになるのか。ええと、どういうことになりますっけ?何だか哲学的に深く見える問いですが、今深く考えることではありませんね。

ちなみに、この真実の口のあるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の外観自体は、なかなか風情がある。特に遠くからでも見える鐘楼は、何となく東洋チックな雰囲気を醸し出していておもしろい。

真実の口の近くには、実はちょこちょこっと保存状態の良い遺跡があり、なかなか見どころがある。

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これはヴェスタの神殿と呼ばれる遺跡。保存状態もよく、まあるいのがカワイイ。まるいものってカワイイですよね。「なにもなにも、まるきものはみなカワイイ」(枕草子のパクリ)。

おもしろかったのは、このヴェスタの神殿の屋根に、大量のカモメと、大量のハトがとまっていたのだが、カモメとハトは混じりあわず、左にハト、右にカモメが集まり、その真ん中にはデッドラインが敷かれ、お互いににらみ合い緊張感が漂っている。母に、ハトとカモメのどちらの味方か聞いてみた。

母「お母さんはハトは嫌いなのよ。夏場にハトの声を聴くと、さらに暑くなる感じがして本当にウンザリする。カモメはね、性格が悪いから嫌い」。

…だそうです、ハト、カモメ…。つまり、母は中立ってことで!永世中立母!

さて。我々は、なぜこんなにひたすら南下しているかというと、アヴェンティーノの丘に向かっているのである。アヴェンティーノの丘には、私が非常に楽しみにしている教会があるのだ。真実の口を通り過ぎて、坂道を上り始めた我々。疲れないように、ゆっくりゆっくり上る。上っている途中で、眼下にどこかで見た風景が広がった。

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私「この緑の場所、昔カラカラ浴場に行くときに通った、犬多すぎの場所だよね?」

姉「うん、そうだよ。チルコ・マッシモだよ」。チルコ・マッシモ?何それ?地球の歩き方を見てみると、もともとは古代ローマにて馬車の徒競走が行われた大闘技場らしい。へー。今では犬の散歩場と化してるけどねえ。

で、そのチルコ・マッシモの向こうに広がっている、カッコイイ遺跡は何?姉「パラティーノの丘だよ」。

母がズイと身を乗り出した。「パラティーノの丘って、フォロ・ロマーノからつながっている丘?お母さんは、前フォロ・ロマーノに行った時、何とも思わなかったんだけど、こっちから見るとカッコいいねえ!」。うん、確かに、こちら側から見るパラティーノの丘は雄大でカッコイイ。パラティーノの丘のベストショットかもしれない。

母はだいぶこのチルコ・マッシモ側から見たパラティーノの丘に惚れ込んで、姉に頼んで、一緒に映るベストショットを探し始めた。…うん、このパラティーノの丘は確かにカッコイイけどさ、私は既にアヴェンティーノの丘気分になっていた。早く行かないと、午前中で教会が閉まって、じっくり堪能できないかもしれない…。「ごめん、私、先にアヴェンティーノの丘に行くから、ゆっくり来ていいよ」と母と姉に言い残し、私は坂を上り始めた。