3/6ポジターノ旅行記 荒れ狂うセイレーンの海

本日は、アマルフィから、ポジターノへ遠足に行く。

が、朝から、天気はどんよりとしていた。詳しい天気予報を知りたかったのだが、ここアマルフィのホテルのテレビは、英語やドイツ語の放送局は映るくせに、イタリアのテレビチャンネルが映らないという、不思議なテレビだったため、イタリアの天気予報を知ることができない。スマホで見ろよ、と皆さん言いたくなるだろうが、我々母娘3人は、誰一人スマホユーザーではない。慎ましきガラケー母娘っ!常に時代の一歩後を行く母娘っ!

というわけで、この後天気が良くなるか悪くなるかはわからない。アマルフィもポジターノも景色を楽しむ町なので、ポジターノに行ってもアマルフィに残っても同じことだね、と、ポジターノ行きは決行された。

バスの切符売り場では、昨日ラヴェッロに行くのに使った、2.4ユーロの45分券ではポジターノには行けない、と言われた。片道は3.6ユーロの90分券となるが、どうせ往復するので、7.2ユーロの一日券を買った。一日券は、90分券の往復と同額なので、90分券を往復で買うよりは、どこかで途中下車しようと思えばできる一日券を買った方が融通が利く。

ラヴェッロに行くバスは、バスターミナルの、海を背にして右側のバス停から発着するが、ポジターノ行き(終点はソレント)は、バスターミナルの真ん中、バスがいっぱい停車しているエリアから適当に出るようだ。そう、適当に。アマルフィ海岸のバスは本当に適当である。私は真の適当とは何かと尋ねられたら、躊躇なくアマルフィ海岸のバスと答えるであろう。

それにしてもさ。

荒れるアマルフィの海

波、高くね?海、荒れすぎじゃね?

アマルフィのバスターミナルは海に面しているのだが、ざっぱーん、ざぱぱぱーんと、演歌を歌いたくなるような荒波が、堤防にぶつかる音が鳴り響いている。まあ、船で行くわけじゃないしね。それにしても、今日カプリ島の青の洞窟に行く予定だった人たちは、かわいそうに、確実にアウトだろうな。と、この時は他人の心配をして、余裕をかましていた私だった。

ソレント行きのバスは、当然のように遅れて出発した。アマルフィは始発になるのだが、バス停も何もなく、停車していたバスが、「さあ行くよ」的な雰囲気を出したら、電光提示版の行き先がソレント行きであることを確かめて、乗る。サレルノからアマルフィまで乗ったバスは激混みだったので心配したが、悪天候のためか、このバスはけっこうすいていた。

アマルフィ海岸のバスには、既にアマルフィ初日にさんざんな目にあわされてコリゴリなのだが、海岸に面したガケに張りついた狭い道路を、遊園地のアトラクションのようにすれすれで走るのはやはり楽しい。そして、窓の外の景色も、やはり最高なのだ。

アマルフィ海岸

岬の先っぽにある城塞があったり。何か道が見えるんだけど、あの先まで行けるのだろうか。行ってみたいよ!うずうずするよ!

アマルフィ海岸

エメラルド色の海と、崖の織り成す風景は最高だし!悪天候の日でさえこんなに美しいのだから、晴れていればさぞかし素晴らしい風景だろう。

さて、ポジターノは、アマルフィと違って、観光スポットの中心近くにはバスは停まらない。アマルフィ側の「スポンダ」というバス停か、ソレント側の「キエーザ・ヌオヴァ」というバス停か、どちらかで降りなければならない。どちらとも町の中心までは1キロほど歩かなければならず、「スポンダ」からは緩やかな下りの坂道、「キエーザ・ヌオヴァ」からは急な階段を降りなければならないらしい。

情報では、ポジターノと言えば「キエーザ・ヌオヴァ」を指すことが多いが、「スポンダ」の方が、緩やかな坂なので、行きも帰りも「スポンダ」を使った方がよい、と複数人の証言があった。私は結構全力で、「キエーザ・ヌオヴァ」と「スポンダ」の正確な位置を知ろうと試みたが、わからなかった。そもそも、ポジターノは有名観光地なのに、あまりどのガイド本にも地図が載ってないのだ。地図などなくても歩ける小さい町だ、ということなのだろうが。

唯一使いやすそうなポジターノの地図が載っていたのは、アマルフィ&カプリ島 とっておきの散歩道 (地球の歩き方GEM STONE)という本。

この本の地図には、ムリーニ広場という広場近くに、バス停が一つ記してあるのだが、このバス停が、「キエーザ・ヌオヴァ」なのか、「スポンダ」なのかがわからない。だが、「スポンダの塔」という名前の塔が、このバス停とは全然違う場所にあり、しかもアマルフィ寄りの方にあるので、「この地図に載っているバス停はスポンダではなくキエーザ・ヌオヴァだ」と、90%くらいの確信を持って判断した。(この判断は大間違いだった)

このバス停が書いてあるムリーニ広場から、中心の方へ降りていくムリーニ通りが、ブーゲンビリヤのトンネルなどがある、リゾート地の華やかさのある通りらしい。どうせならこの界隈も歩きたい。「キエーザ・ヌオヴァ」は急な階段で中心部とつながっていると言うが、行きはその階段は下るだけなので、おそらく何とかなるのではないか。「キエーザ・ヌオヴァ」で降りて、帰りは「スポンダ」から帰るのが、いろんな場所が歩けて効率もよかろう、というファイナルアンサーが出た。

そういうわけで、我々は運転手さんに、「ポジターノのキエーザ・ヌオヴァの方で降りたいので、着いたら教えて下さい」とお願いしておいた。アマルフィからは45分くらいで到着し、運転手さんに教えてもらって、我々は無事に降車した。

さあっ!ポジターノの中心に行こうっ!このバス停付近はガケって感じで、まだまだ海の気配はないね!さあ、レッツだ、ゴー!

………どうやって中心に行けばいいの…?

大丈夫、だーいじょうぶっ!地図かあるからさあ!バス停のあるココはムリーニ広場でしょ?だから、正面に大きな教会があるはず…なんだが…ナイっ………。

たぶん、ひたすら降りれば中心に着くはずなのだが、何だか地図と周囲の道や建物の関係がしっくり来ない。仕方がないので、地元の女性が通りかかったので、地図を見せて「私たちはこの地図だと、今どこにいるんですか?中心の方へ行きたいのですが」と聞いてみると、彼女は親切に地図を見てくれたが、首をひねった。どうやらちんぷんかんぷんのようだ。どういうこと!?

この女性は、次に通りかかった男性を引き留めて、「この地図よくわからないわ。ちょっと見てもらえる?」と尋ねてくれた。この男性は英語が堪能で、地図を見てから英語で「…あー!ここはね、この地図の外だよ!乗ってないよ!」と言う。えええー?「ここはムリーニ広場ではないんですか?」と聞くと、「ムリーニ広場はずーっとずーっと下の方だよ。僕もちょうど今から行くから、ついておいでよ」とのことだった。

ムリーニ広場はずーっとずーっと下???キツネにつままれたような我々だが、とにもかくにも一緒に行ってくれるというのだから、彼の後をついていく(しかない)。彼は、道路の脇から階段の道へと入り、このメチャメチャ急な階段を、スイスイと降りて行く。どんどん降りて行く。ちょっと待ってー!どうやったら、そんなに速くこの急な階段を降りれると言うのだ!おそらく、いつも通り慣れている階段なのだろう。

…ゼエゼエ。しかし、この男性イイ人で、我々が遅れると、足を止めて待ってくれた。それにしても、スゴイ角度で階段はどんどん下に伸びている。コレ、下りだからいいけど、上りにこの階段を上るのは、まず不可能だと思った。この急な階段の途中には、普通に民家がいくつもあった。アマルフィ海岸に、ガケに貼りついているように見える家は、こうやって急斜面の途中に建てられている家なのだな。こんなところに住んだら、この階段をオノレの足で上り下りせざるを得ないので、イヤでも体が鍛えられるだろう。

ゼエゼエの状態で、この男性とお話しをすると、彼はタクシーの運転手だそうだ。それで、このあたりの地図はほとんど頭に入っているのだそうだ。「君たちどうして、スポンダの方で降りなかったのさ?そっちのほうが中心街にはずっと行きやすいんだよ」と教えてくれた。…ええ、ええ、帰りはスポンダを使いますともさ!まさか、キエーザ・ヌオヴァのバス停が、こおおーんなに困難な道のりとは思わなかったのだよ!

このタクシードライバーの彼は、日本に行ったことがあるそうだ。本当に今回のイタリアでは、日本に行ったことのあるイタリア人にたくさん遭遇した。そして皆、「東京は美しかった!!!」と言うのだ。東京に普段住んでいる身としては、美しい町などと感じたこともないので、いつも「えー、どこがー?」と聞いてしまうのだが、この彼の回答は、「だって、東京にはカワイイ女の子がたくさんいるから!」と、イタリア人男性としては100点満点だった。

さて、永遠に続くかと思われた階段をようやく下り切ると、彼は「ここがムリーニ広場だよ」と言った。えーーーっ?どういうこと?何でバス停とムリーニ広場がこんなにもこんなにも遠いのだ!?アマルフィ&カプリ島 とっておきの散歩道 (地球の歩き方GEM STONE)というガイドブックの地図に載ってる、ムリーニ広場近くのバス停はいったい何だと言うの!?

探してみると、ムリーニ広場に確かにバス停はあった。しかし、よくよく時刻表を見てみると、ここに停まるバスは、ポジターノの市内バスであり、他の町から来るバスが停まるバス停ではないらしい。なんだよー!ダマされたー!いや、ダマされてはいないな。地図には「バス停」と書いてあるだけなのだから、嘘ではない。

というわけで、これからポジターノに行かれる皆さーん!ポジターノに行くなら、「キエーザ・ヌオヴァ」ではなく、「スポンダ」で降りてくださいまし!

でもね、大変だったけど、「キエーザ・ヌオヴァ」からスサマジク急な階段をずーっと降りていくのは、実は楽しかったっす。ポジターノの「ガケっぽさ」を体感したい方は、「キエーザ・ヌオヴァ」からの怒涛の下り階段体験も悪くはないぞ!だけど、ヒザなどが悪い方や、暑い季節にはおすすめしないし、案内人がいなければ自力で降りるのは難しいかもしれないぞ!

男性は、ここムリーニ広場から、スポンダのバス停への行き方も教えてくれた。ここムリーニ広場から、海を正面に見た時に、左の方へ延びている道をずっと行けば、バス停にたどりつくらしい。「帰りは絶対にスポンダを使うんだよ」と念を押された。上りですからね。いくら何でもあの怒涛の階段は上れませんね。いやー、本当に助かりました。ありがとうっ!

さてっ。ここからようやく本格的にポジターノ歩きである。このムリーニ広場から、海へと続くムリーニ通りは、華やかなリゾート感あふれる町らしいのだが…

…シーン………。名物のブーゲンビリアはまっっったく咲いてなく、店という店は閉まっていた。つまり。

シーズンオフっ!

…シーズンオフ上等っ!人が少なくて歩きやすくてラッキーだよ、へへーんだ(強がり丸出し)。とにもかくにもさ、ポジターノ唯一の入場スポットの、サンタ・マリア・アッスンタ教会が目の前だから入ろうぜ。

ポジターノ サンタ・マリア・アッスンタ教会

サンタ・マリア・アッスンタ教会。

教会も当然貸し切り。この教会には、有名な伝説をもつ聖母子像がある。

むかしむかし、聖母子像を積んでいた船が、この近くを通りかかったとき、急に風が止まり、船が全く動けなくなってしまった。そしてどこかからか「ポーザ、ポーザ(置いて行け~)!」という声が聞こえてきた。そこで、聖母子像をその地に降ろすと、また元通りに風が吹いて航海できるようになった。聖母子像をおろした場所には、この聖母子像を祀るための聖堂が作られ、この地は「ポーザ」にちなんで「ポジターノ」と呼ばれるようになったとさ、ちゃんちゃん。

ポジターノ

その伝説の聖母子像がこちら。このサンタ・マリア・アッスンタ聖堂こそが、この聖母子像を祀るために作られた教会なのである。

ポジターノ サンタ・マリア・アッスンタ教会

教会の海側の窓からは、海が見える。海の町の教会って感じでいいんだけどね、何だか海の荒れ具合が半端じゃないね!ポーザ、ポーザって感じだよ(意味不明)。

教会の正面入り口には、観光客用のタッチパネルがあって、日本語でも操作できた。ポジターノがんばってるね。でも、操作してみたけど、見れる情報はただ一つ、「主な行事」だけだった。「主な行事」って…。観光客より地元の人の方が関係ある情報だと思うんだけどね。どうかな?

ポジターノ サンタ・マリア・アッスンタ教会

教会前の広場。変な絵が描いてあるね。ちなみにこのへん、犬のウンコ多かったよ。たまたまかもしれないし、たまたまじゃないかもしれないよ。

ポジターノ

変な浮き彫り。変なドラゴンの周りを泳いでいる変な魚。「変な」ばっかり言いすぎだよ。それにしても、この教会、ポジターノ唯一の入場スポットなのに、教会内も広場もシーン。ホラ、シーズンオフだからさ!しかも、雨までポツリポツリと降り始めた。そういえば、さっき怒涛の階段下りをしたから、母は疲れてるかもしれぬな。雨も降ってきたことだし、一服しようぜ。

ええと。シーズンオフのポジターノ、いろんなお店を調べておいたのだけれども、ほとんどのお店が閉まっていて、選択肢はほぼ無し。海の方に出てみたら…。

ポジターノ

どっぱーん!!!…ちょっ、ちょっと!コレ、冗談抜きで、波高すぎ、海荒れすぎだよ!

本来だったらビーチが広がっているはずなのだが、波が高いせいなのか、かなり海が浜を侵食してきていて、だいぶだいぶ砂浜部分が狭いっ!私が「ポジターノナンバーワン」として調べてあった、砂浜にテントを立てて営業する感じのレストランがある場所として地図に印をつけている場所は、コレ、確実にもう今は海になってしまってるよ!

実は、私がポジターノで一番楽しみにしていたのは、ギリシャ神話に出てくるセイレーンという、船乗りを美しい歌声で海に誘い込むという怪物が住んだという伝説の島、リ・ガッリなのだが、

ポジターノ

雨と波で霧がかっているのか、ようやくうっすらと見える有様。

ポジターノ

ざっぱーん!どっぱーん!!!セイレーン達は、今日はハードロックを歌っているようだね…。

この波が迫り狂っている砂浜に、有名な「Buca di Bacco」というレストランがあり、観光客向けのレストランという印象は強いのだが、何せここしか開いていなかったので、入って休むことにした。ツーリスト御用達なので、値段が高いかもしれないと思ったが、コーヒーをオーダーすると、良心的なお値段で、スタッフの感じもよくて安心した。「カフェコンパンナを砂糖抜きでお願いします」と、ちょっとナマイキにイタリア人ぽくわがままオーダーしてみたが、快く対応してくれた。

何せ、大きな窓ガラスがぐるっと四方を囲んでいて、しっかりビーチやポジターノの街並みがガラス越しに見えるのがありがたい。雨やどりにはもってこいの場所である。

ポジターノ

ガラス越しに、しっかりポジターノの風景が見れるのである。ここで、のんびり町並みとか海とか眺めながら、雨が止むのを待とうぜ!

ぼけーっとガラスの外を眺める我々。結構、波はすぐそこまで押し寄せていて、このレストランも店じまいするんじゃないかと少し心配したが、従業員さんたちは、この荒れ狂う海を見ても、へっちゃらな様子だった。このくらいはよくあることなのだろう。

ポジターノ

この荒れ狂う天気の中、カモさんが三羽、のん気に砂浜を歩いているぞ!カモって海にいるものだっけ?とりあえずヒマだった我々は、カモさんたちに名前を付けた。

ポジターノ

メスが「ポッコ」と「ジッコ」、オスが「ターノ」。ポジターノにちなんだ素晴らしいネーミングセンスである。

…それにしても、雨は全然やむ気配がない。やむどころか、海の向こうから次々に雨雲がやってきて、しかも、ポジターノの山頂に集まっている!

ポジターノ

ほら!ポジターノの周りに黒い雲がおどろおどろしく群がっていて、何だか邪悪なポジターノだよ。

こんな時は、雨が止むように、超常的な力を借りるしかない。そうである。母が、てるてるぼうずを作ることを思い立ったのである。母は手先が器用なコソクラーである。ちなみに、姉も私もコソクラーを世襲していない。

ポジターノ

「雨、やめっ!」

母は言った。「本当はてるてるぼうずは吊るさなきゃいけないのよねえ…」。母の言う通り、吊るす場所がなくて吊るさなかったせいか、てるてるぼうずはまるで無力であった。何だか風も強くなってきて、プチ嵐の様相まで呈してきた。

あ。またポッコたちが来た。

ポジターノ

ターノはわかるんだけど、ポッコとジッコはどっちがどっちだかわからなくなった。雨は激しく、ポッコたちは、そこらへんにできた水たまりで泳ぎ始めてしまった…。

…1時間近く雨宿りをしていたら、レストランはランチタイムの準備を始めた。アマルフィに帰るにしても、ここポジターノのバス停は結構中心街から歩くから、この風雨の中歩きたくないし、このままここでお昼ごはんを食べてしまうことにした。1時間お茶した後、同じ場所でそのままランチって…。私たち、ポジターノで何してるんだろ…。

ポジターノ

海の町だからね。海鮮料理食べたよ。このロケーションでの割には、値段も良心的で、味もなかなか美味しかったよ!

このレストランのトイレは、外にあり、カードキーを借りて行く形式だった。公衆トイレと共通のトイレで、その中の1つの個室だけが、このレストラン専用で、カードキーでカギを開ける仕組みだった。が、センサーがうまく働かなかった。イタリアではよくあることだから気にしないよ!というわけで、公衆トイレの方使っちゃったけど、公衆トイレもキレイだった。

で、トイレに行くのに外に出たら、「アラ、波の激しさほどは雨は激しくないね」ということに気付いた。ので、さすがにもうレストランを出て、アマルフィに帰ることにした。えへへ。ポジターノの思ひ出は、レストランに引き籠ったこと!イエイっ!

もちろん帰りは、スポンダのバス停から帰るよ!ムリーニ広場まで上がる道の途中にある、「Sapori e profumi di Positano」というお土産屋さんで、レモンキャンディを買った。このキャンディは美味しかった。ポジターノの思ひ出。

スポンダのバス停までの道は、海沿いを緩やかに上る坂道だった。海沿いだから、雨風が激しく、傘を差しても、雨が差し込んできた。しかし、予想以上に眺めの良い道だった。スポンダのバス停までの道が、こんなに絶景スポットだなんて知らなかったので、嬉しい驚き!

ポジターノ

サンタ・マリア・アッスンタ聖堂の派手なクーポラ。

ポジターノ

天気が悪いおかげで、あまりにも幻想的かつ邪悪に浮かび上がるセイレーンの島、リ・ガッリ。

ポジターノ

そしてこの、最高の景色!やっぱり、こんな悪天候でもポジターノはキレイな町だなあ!晴れた日は、どんなにか楽園に見えることだろうか。でも、こんなに荒れ狂った幻想的なポジターノは、これはこれで貴重なものを見たかもしれない。

バス停には地元の人や、観光客が待っていた。この荒れ狂う風雨の中、バスはもちろん時間通りに来なかった。皆で濡れそぼりながら、バスを待った。途中で、日本人ツアーのバスが通り、バスの中の人達は、我々日本人がいるのを見て手を振ってきた。笑顔で手を振り返したけどさ、…同情するなら乗せてくれ!

それにしても風雨は強かった。「こんな天気の中、私たちいったい何をしてるんだろ…(まあバスを待っているわけだが)」と私がつぶやくと、母が「『坊や、いったい、何を……考えているの?』って歌があったよねえ」と言う。………イヤイヤ、「坊や、いったい何を教わってきたの?」じゃないですか?山口百恵さんの歌ですよね。何を考えているのって言われてもねえ。坊やの勝手だよ。

さて、15分くらい遅れてバスはやってきたが、このバス停で雨風にさらされながらバスを待ち続けたのは、マジでつらかった。実際、この後、私は軽い風邪をひいてしまった。というわけで、ポジターノ遠足は踏んだり蹴ったりだったわけだが、あの嵐の中のポジターノは、なんだかんだ言って結構忘れられない体験となったのだ。

ポジターノ

バスを待ち続けたバス停。坊や、いったい、何を考えているの?