3/15ピストイア旅行記 何もかもイチ↓のせい

本日は、ピストイアとプラートに日帰り旅行を予定している。まずは、フィレンツェから遠いピストイアの方へ行き、帰りにプラートで下車する予定である。

ピストイアには、行きたい行きたいと思っていて、しかも近くまで来たこともあるのに、いまだ行ったことがない。イタリアにはそんな町が、たくさんある。代表的なのはパドヴァ、フェッラーラ、レッチェあたり(何の代表だよ)。あ、その中でも一番はやっぱりペルージャだね!ペルージャ行きたあいっ!(行けよ)

ピストイアへは、フィレンツェから電車で40分弱である。まずは、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅へと向かった。
駅の切符売り場は、とぐろのような行列ができていた。イタリアの大きな駅の切符売り場は、進みの遅い行列ができていることがよくある。この行列を避ける方法は、自動券売機で切符を買うことである。長距離の高額切符であれば窓口で買いたいけれど、たかだか40分乗車の近距離切符くらい自動券売機で買ってみるべ!と券売機にトライしてみることにした。

が…券売機の周りには、ジプシーと思われる女性がウロウロしている。ジプシーっぽい格好はしていないが、何となく雰囲気でジプシーだとわかった。普通の服装をして、人を油断させる仮面ジプシーである。お釣りを奪い取る算段なのか、券売機の使い方を教えて手数料を要求するつもりなのか…。私一人だったら絶対に尻込みするところだが、強い姉は「お金要求されても払わなければいいだけだから」と、ずんずんと券売機に向かっていった。

仮面ジプシーは、姉と私が券売機を操作している間も、「次はココだ、次はココだ」と手を出してきて、ウルサイ。「ノーグラツィエ(結構です)」と追い払っても、シツコイ。そして、やっぱりお金を要求されたが、無視するとそれ以上寄ってこなかった。姉の言う通り、何を言われても払わなければいいだけの話なのだが、こういうジプシーと関わるのも嫌だという場合は、やはり時間がかかっても窓口で購入した方が安全だろう。

ピストイアに行く電車は、ピストイアが終点であった(どこで降りればよいかそわそわしなくて済む)。しかも、結構最新式の電車だった!

ピストイア

車内に、次の停車駅をお知らせする電光掲示板が備え付けてあるよーっ!これが無いがために、今まで、どこで降りればいいかがわからず(車内アナウンスがないため)、どれだけ苦労してきたことか!切符の刻印機もハイテク(っぽく)になってたし、トレンイタリアは生まれ変わりつつあるのか!?

というわけで、電光掲示板もあるし、終点だしで、ピストイア行きは、よっゆうー♪

ピストイア

ピストイアが近くなってくると、車窓から延々と、植木鉢を作っているビニールハウスのようなものが、続いた。調べてみると、ピストイア周辺では植木栽培がさかんなのだそうだ。

ピストイア

余裕でたどりついたピストイア駅は、ホームが複数あり、意外と大きな駅であった。勝手にピストイアは、小さな中世の町を想像していたので、驚いた。

トスカーナ州やウンブリア州の町では、旧市街が町から離れた丘の上にあり、駅からバスを利用しなければならない町も多いが、ピストイアは平地にあり、駅からの距離も比較的近い。駅からの道を真っ直ぐ、10分弱ほど進めば旧市街に辿り着く。

で、最初に表れるのが、美しい縞模様のサン・ジョヴァンニ・フオルチヴィタス教会のはずなのだが…

ピストイア

おおおおおっ…!イチ↓(=観光したい建物を隠してしまう主に衣類市)が開かれていて、全体像が見えないよっ…!

…オチツケ。イチ↓はいつまでも開かれているわけではない。だいたい午前中で終わるものなのだ。後から帰るときにでもここを通って、全体像を拝めばいいではないか…。とっ、とりあえず、教会内部はイチ↓とは関係なく鑑賞できるので、内部から先に見ようぜっ!

ピストイア

あの縞々の内部は、こんな風に、暗くて細長くて静かな空間なのである。教会の中に入ってしまえば、イチ↓の喧騒は全く聞こえてこない。石造りの建物の防音性ってスゴイ。

私がこの教会の内部で楽しみにしていたのは…

ピストイア

ルーカ・デッラ・ロッビア作「聖母のエリザベツ訪問」。イエスを身ごもったマリアが、高齢になってから精霊の力で懐妊した(処女懐胎ではない)いとこのエリザベツを訪問する場面である。ちなみに、エリザベツが産むのは、洗礼者ヨハネである。イエスと洗礼者ヨハネは親戚どうしなのだ。この作品は、ガラスで保護されているため、どうしてもガラスにステンドグラスの光が映ってしまうが、それはそれで一興である。

ピストイア

ルーカ・デッラ・ロッビア作のマリアって、本当に清純でかわいらしいのだ。私は、三次元の像より、二次元の絵画の方が基本的には好きなのだけど、ルーカ・デッラ・ロッビアの作る像は、大の好みである。

サン・ジョヴァンニ・フオルチヴィタス教会には、外観を見るために、後から戻るとして、とりあえず、次は、ドゥオーモに行こ!ドゥオーモに!

ドゥオーモ広場に行くと、しましま模様のかわいい(ハズの)洗礼堂は、工事中のため全然見れなかった。フィレンツェのサン・ジョヴァンニ洗礼堂も工事中だし、今の時期は洗礼堂の工事が流行っておるのかね。

で、ドゥオーモの方は…
ピストイア

ちょっ…これは…どういうこと!?ドゥオーモを覆う形で、イチ↓が元気よく開かれているよ!ピストイアってそんなに観光客が少ない町なのか?観光客のためにドゥオーモの前だけは空けといてやろう、とか、そういうのはナイのか!…ナイんだよね、うん。観光客より、イチ↓を楽しむ地元の人優先ですよね。そらそうだ。ピストイアはピストイア人のものさね。

ドゥオーモ ピストイア

イチ↓が画面に入らないように撮影した写真。左手に見えている鐘楼さんも素敵なんだけどさ、………何てったってイチ↓だよ。
ホラ、ドゥオーモだってさ、イチ↓が終われば外観が綺麗に見えるはずさ。先に内部に入ろうよね。

ピストイア

こんにちは、ピストイアのドゥオーモっ!(ちょっと投げやりな挨拶)

ピストイア

誰かのお墓で、それは悲しそうに泣いている子供とか

ピストイア

授業を受けながら、「えーわかんなーい」とでも言うかのように、指をくわえている生徒さんとか、何だかかわいいものが多いドゥオーモ。

このドゥオーモは、ピサ・ロマネスク様式と言われるが(ピサの聖堂しましまじゃないじゃんと思ったが、しましまではなく、正面の、柱が何層も重ねられたデザインがピサ式らしい)、いま残っているものの前に、古い建物があったらしく、その遺構が遺された区画があった。

ピストイア

古ーいフレスコ画が残っている。

ドゥオーモの中には、「聖ヤコブの祭壇飾り」という銀細工があり、これだけは鑑賞が有料である。たかだか1.5ユーロなので、姉と母に「見てみない?」と聞いてみると、「別に」とのお答え。テンション低。私もそれ以上の情熱はなかった。何もかもイチ↓のせいだ。

お昼ご飯を食べているうちに、イチ↓も終わるだろうと、先にランチにすることにした。ドゥオーモ近くのトラットリアを調べてあったので、行って見ると、まだ準備中で、「あと15分待って」と言われた。

15分待ってもよかったのだが、次のプラート行きもあるので、もう一つ調べてあった、ドゥオーモ近くのBracciolini通りにあるレストランに入った。す・る・と!………美味しくなかったのだ!えー。トリップアドバイザーのランキングもよかったのにー。

トリップアドバイザーは、口コミサイトなのだが、時々、驚くようなクオリティのホテルやレストランが上位にいることがある。まあ、それは、口コミサイトの宿命と言うか、大人の事情というか、トリップアドバイザーにも落とし穴があるのだ。このレストラン、地元の人が全然入っていなかったのが気になったと言えばなったのだよねー。レストラン選びの時は、トリップアドバイザーの評価と、地元民の客入りの感じの両方で判断せねばならぬ。

ご飯を食べ終わると、イチ↓が終了していて、ドゥオーモの全体像を見ることができた…が、イチ↓の片付けでガヤガヤしてるし、イチ↓の後のゴミも散乱しているドゥオーモ広場であった。終ってもなお、観光客を苦しめるイチッ↓(い、いや、イチ↓はあっていいんだ!ピストイアはピストイア人のものッ!)

気を取り直して、ピストイアで楽しみしていたものの一つ、ロッビア工房の、よく見る青地に白でなく、カラフルに彩色されたテラコッタの飾りが残っているというチェッポ病院にいくぞー!ドゥオーモからは、地図で見るよりはやや遠く感じた。
で、たどりついたチェッポ病院は…

ピストイア

せっ…盛大なる工事中…!ロッビアの最初の子音のRの字すらないよッ!…もーいやだ。

ピストイア

そのチェッポ病院の近くに、こんな通りの名前が…。和訳すると「我慢しなさい」通り。………ソレって、私たちに向かって言っているのかね…?

ピストイア

こちらはチェッポ病院よりもう少し先の方にあるサンタンドレア教会。ピストイアもねー、イチ↓とか工事中とかなければねー、こういうしましま教会が多くてかわいいのにさー。イチ↓も工事も必要なことなんだぜ。観光客よ、我慢しなさいッ!

ピストイア

内部は、石造りの柱が作る細長い空間に、木製の天井がマッチしていて、アラ素敵。

ピストイア

古そーなオルガンもアラ素敵。

ピストイア

主祭壇の、古そーな壁画もアラ素敵。石造りの、光のあまり入らない暗いロマネスク教会って、独特の雰囲気がある。

こんな端っこにある割には、なかなか素敵な教会だったのだが、この日はこの後にプラートにも行く予定なので、教会を後にすることにした。やっぱり一日でピストイアとプラートに行くのは、(我々の鈍足には)忙しかったかなー。

帰るころにはイチ↓は終わっていて、帰路途中にサン・ジョヴァンニ・フオルチヴィタス教会のしましまをしっかり見ることができた。

ピストイア

でもねー。イチ↓は終わっていても、イチ↓の残り香…つまり、野暮ったくて生活感あふれる、市の売り物などが入っていた段ボールなどの紙ゴミ!…などが、道に散らばっていて、雰囲気を台無しにしてしまうわけですよ。うぐ…地球の歩き方のピストイアに対するキャッチコピーである、「中世の忘れ物」というより、「イチ↓の忘れ物」じゃないのよーッ!

ピストイア

教会の隣にある、美しいフレスコ画があることで知られる、お菓子屋さんの「Valiani」も閉まってるしさあ!何もかもイチ↓のせいだッ!(八つ当たり)

…というわけで、我々との相性がよくなかったピストイア。町自体は、しましま教会が多く、(イチ↓が行われていない)静かな時に訪問すれば、なかなか雰囲気がよく楽しめるのではないかと思う。念のため言っておきますが、私はイチ↓を憎んでなどおりませんからね!

それにしても、イチ↓で売っている洋服って、本当に安いのよねえ…。ちょっとのぞいて…みたりするもんかっ!(しつこいようでが、イチ↓を憎んでなどおりませぬ)