3/9リパリ島からカターニアへ帰る やさしいコワモテシェフ

(前回を読んでない方のための補足:カターニアのホテルに大きな荷物を置いたままリパリ島に一泊したので、これからカターニアに帰るんだよ)

さて。リゾートホテルをチェックアウトして、港へ行くために坂を下った。リパリ島から、シチリア本島に帰るための高速船に乗らなければならない。

カターニアまで戻るには、リパリ島からメッシーナまで行く高速船に乗るのが一番手っ取り早いのだが、冬季はこの便は一日一便しかいなくて、朝7時くらいに出てしまう。何で、一日一便しかいないものが、早朝に行ってしまうのかは不明なのだが、仕事で使っている人がいるのかもしれない。

そのため、ミラッツォ行きの高速船に乗らなければならない。というか、冬季はミラッツォ行き以外の船はほとんどいない。で、ミラッツォからメッシーナまでバスで行って、メッシーナからカターニアまで電車で戻る。距離の割には、結構な長旅である。

リパリ島

こちらがリパリ島の港である。左にあるちょこんとした建物が、切符売り場である。リパリ島からミラッツォまでは、税込みで一人14.7ユーロであった。

リパリ島からミラッツォまでの高速船は、冬季でもUSTICA linesと、SIREMAR社の二社が運航しているので、そこそこ便数がある。所要時間は1時間強くらい。我々は12時15分のUSTICA linesの高速船で帰ることにした。

ちなみに、SIREMAR社は大型フェリーの運航もある。高速船の揺れが苦手な人や、車がある人、ゆったり景色を見ながら乗りたい人などは、高速船より時間がかかるが、大型フェリーを利用するのがよいと思う。私も、もっと時間があれば、フェリーの方に乗りたかった!火山島を海から眺めたいよー!

リパリ島

我々が乗る高速船がやってきましたぜ。

リパリ島

これに乗って、シチリア本島まで帰りまーす!バイバイ、リパリ島!リパリ島に住むという風の神様、2日目は雨雲を吹き飛ばしてくれてアリガトウっ!

リパリ島からシチリア島に行く船は、途中のヴルカーノ島に立ち寄る。リパリ島から10分ほどの場所にある。火山島で、温泉が沸いていて、硫黄臭い島らしい。

リパリ島

窓からちょこっとだけ見えたヴルカーノ島。大型フェリーだったら、こういうのを甲板から見ることができて楽しいんだろうなー。

エオリア諸島

こちらは、姉が撮影した、噴火しているどこかの島。私は、この島を見ていない。というのも、往路と同じように、高速船苦手な私は、酔い止め薬を飲んで、眠りこけていたのだ。酔い止め薬、マジ眠くなるよ!私は基本、いつでも眠たいネムネムマンなのだが、酔い止め薬を飲むと、尋常ではない暴力的な眠さが襲ってくるよ!

というわけで、眠りこけているうちに、あっという間にミラッツォについていた。船旅を眠って終わらせてしまうのってもったいないのだけど、船酔いするよりはやっぱりマシだよなー。カプリ島と種子島の教訓である。

ミラッツォ

ミラッツォ港は、こんな感じでやんす。何か、また天気が悪くなってきたな…。風の神様とは完全に我々はお別れしてしまったようだ。ちなみにミラッツォ港にはトイレがありますぜ。まあ、何とか使えるレベルのトイレですぜ。

さーて。これからカターニアに帰るだけなんだが、時間は、だいたい1時過ぎ。ミラッツォからメッシーナまで行くバスは、準太バス(Giunta Bus)という、「おおきく振りかぶって」の読者ならば、「モーション盗まれるんじゃないか…?」と心配したくなるバスである。バスがモーション盗まれたらどうなるのかは不明。

ミラッツォ

これが準太バス(Giunta Bus)。

で、その準太バスは、港前のターミナルから、14時発の便があることをインターネットで調べてあった。バスを待つ間に、ちゃっとお昼ご飯を食べてしまおうぜ、ということになった。港周辺に、美味しいものが食べられそうなお店が見つからなかったので(冬季だからか?)、港の中にあるバールで、かんたんに済ませた。

食べながら、港の中からバスターミナルを見ていると、バスターミナルに待機していたメッシーナ行きの準太バスが、45分くらいに、ぶっぶーと出発して行くのが見えた。一瞬、ボーっと見送ってしまったが、…え?どういうこと?14時発じゃないの?

ターミナルまで出てみると、時刻表を見つけた。準太バスの公式サイトで調べておいた時刻表とは、違った。

ミラッツォ

何だよー。次は14時30分だよー。まあね、こんなことくらいでへこたれませんよ。あと30分待つだけじゃありませんか。むしろ準太バスの公式サイトを信じた自分たちが、ちょっと浅はかだったと思うくらいですよ。いやー、イタリアを旅行していると、確実にメンタルが鍛えられるね。

というわけで、大人しく14時30分のバスに乗った。今から、あのいまいましいメッシーナに行くのか。そんな我々の気分に応じるように、どんどん天気は悪くなっていった。さすがメッシーナ。雨まで降ってさ!(そんなことまでメッシーナのせいにするのは八つ当たりである)

ミラッツォからメッシーナまでは、45分くらいかかった。我々と相性の悪いメッシーナを、一秒でも早く離れたかったのだが、ちょうど15分後くらいに出るIC(インテルシティ=ちょっとした特急電車。「ちょっとした」だよ)がいた。切符売り場もそれほど並んでいなかったので、おーよかった!と思った。

切符売り場には、我々の前に2人並んでいた。…5分が経過した。窓口は2つあるのだが、どちらのお客さんも、なかなか用事が終わらない。さらに数分経過したところで、先頭に並んでいたおじさんは、しびれを切らして自動券売機の方へ行ってしまった。

うー。メッシーナっ!またもや、ここでも我々の邪魔をしようというのだね!我々も自動券売機に切り替えるべきか…だけど、自動券売機の方も人が少し並んでいるし…その時、一つの窓口がようやく開いて、我々の前に並んでいた女性が、「あなたたち5分後のICに乗るんでしょう?先に買っていいですよ」と譲ってくれた。おおおっ!メッシーナにも天使がいたッ!

窓口で、つい早口で「ドゥエビギェッティペルカターニアインテルシティペルファヴォーレッ!!!(要約:切符くれ)」と叫ぶと、スタッフさんに、何語しゃべってんだ、この東洋人は?という顔をされた。そこで、超ゆっくり、ドゥエ、ビーギェッティ…と、単語ごとに区切って、無事に切符をゲットした。私のような、ダサいイタリア語力の旅人は、「急がば回れ」なのである。

切符をゲットすると、順番を譲ってくれた女性が、「×番ホームよ!もう電車が来たから急いで!」と、教えてくれた。本当にありがとうございました!で、ホームまで走って行って、電車に飛び乗ったのだが(注意!イタリアでは駆け込み乗車はスリに狙われることがあるので、本当はやっちゃいけないんだよ!)、乗ってから、電車はなかなか出発しない。…まあ、人生とはこういうものだよね。

…そんなこんなで、お昼にリパリ島を出発してから、カターニアに到着する頃には、もう夕方の5時頃であった。本当は、もう少し早くカターニアに帰ってきて、少しだけカターニアの町歩きをするつもりだったのだけど、甘かった。甘々だった。

この日、カターニアでできたことと言えば、カターニア滞在中に通ったお菓子屋さんで、カッサータを買って食べたことくらいであった。そういえば、このお菓子屋さん、まだ紹介していなかったので、紹介しておこう。

カターニア

カターニアのドゥオーモの裏手の方にある「I dolci di NONNA VINCENZA」という名前のお菓子屋さん。

カターニア

カンノーロやカッサータをはじめとした、シチリア特産のお菓子がたくさん!上品で甘すぎず、毎日のようにここのお菓子を食べてしまった。店内もかわいらしく、店員さんたちも皆親切であった。珍しいのは、リコッタチーズを包んでいる外側の生地を、揚げていないカンノーロがあったこと(この画像では、一番手前、左から2番目のお菓子がノンフライのカンノーロ)!カロリーが気になる人には、おすすめである。

カターニア

そういえば、ドゥオーモ前広場の、カターニアのシンボルであるゾウ君も紹介していなかったなー。カターニア滞在中に、このゾウ君の前は何度も通ったのだが、なかなか毎日遠足に出かける身は忙しく、このゾウ君と、語らう時間がなかったのだよ。このゾウ君は、目が白目なので、遠くから見た方がカワイイ。

カターニアは、一週間も滞在したのに、毎日のように遠足だったので、カターニア観光がゆっくりできなかったのが残念であった。遠足が半日で終わった時などに見て回ればいいやと思っていたのだが、やはりシチリア、諸々の事情で、諸々の移動に時間がかかったため、思うように時間が取れなかった。ベッリーニ劇場とか、古代オデオンとか鑑賞できなかったのが残念。カターニアという町の観光は、少なくとも1日半、できれば2日くらいは必要かもしれない。

カターニア最後の夜は、宿泊したレジデンスのオーナーが、魚市場のすぐ近くにある「MM Tratoria」という魚料理のトラットリアを紹介してくれたので、行ってみた。やはりカターニアでは、魚を食べなきゃ、である。

長身で、黒い長髪の、コワモテシェフが出てきて、メニュー選びを手伝ってくれた。すごいコワモテなのに、赤色のポップなエプロンとバンダナを巻いていて…に、似合ってナイ…。たぶん、コワモテを軽減しようと思って、ポップな恰好をしているのだと思うのだが、あまりにも容姿と服装にギャップがありすぎて、かえってコワモテが目立ってしまってますぜ…。

カターニア

前菜は、コワモテ風タコのボイル。これ美味しかった!オリーブオイルとレモンが、すっごくタコとマッチしてた!

カターニア

プリモ(第一の皿)は、コワモテ風何か魚の卵のパスタ。なんだろね。でも、これも美味しかったー!地中海料理の海の幸編は、やっぱり日本人の舌に合う気がする。こちらもオリーブオイルがたっぷりとかかっていて、こんなに油を食べていいのかなーと不安になるが、オリーブオイルはいい油なんだそうだ(テキトー)。

カターニア

セコンド(第二の皿)は、コワモテ風マグロのグリル。全ての皿を、姉とシェアしたので、このマグロを半分に切ろうとしたら、コワモテシェフが出てきて、このように食べやすく切り分けてくれた。コワモテだけど優しいシェフ。人を外見で判断してはならねえのだ。

料理三皿と、お水、コーヒー、テーブル代でトータル45ユーロ。新鮮なお魚料理が食べれて幸せであった。

トラットリアの外に出ると、結構強い雨が降っていた。今日でカターニア滞在は終わりだが、カラッと晴れていたのは初日だけで、初日以外はエトナ山がしっかり見えなかったのが心残りであった。

シチリア第二の都市ということで、最初はおっかなびっくり過ごしていたカターニアであるが、まあ、何もなかったから言えることかもしれないが、イタリア本土の都市と比べて、特別不安を感じることは無かった。だが、他のイタリアの大きな都市と同じように、スリなどの被害はやはりないわけではないらしいので、旅行者として、ある程度の警戒は必要だろう。

ちょっと天気と観光が物足りなく、後ろ髪惹かれる感じで後にするカターニアだが、もしかしたら、また再訪することもあるかもしれない。今回は、寒くて、あまりジェラートが食べられなかったのも心残りなので、次に来る機会があれば、カターニアの美味しいジェラート屋さんを発掘したいものである。