3/10モディカ旅行記2 モディカおっきいの?ちっちゃいの?

モディカに着くなり、モディカチョコばかりを(試食で)むさぼり食っている我々。チョコばっかり食べていないで、町並みも見て歩くよ!

前回ご紹介した、モディカチョコの老舗「ボナユート」の正面には、モディカのバッサ(下の町)のドゥオーモにあたる、サン・ピエトロ教会がある。

モディカ

いかにもバロックと言う感じの正面部分。シチリアの南東部には、17世紀の大地震で大きな被害を受けた町が多い。その町を再建する際、バロック様式で統一した計画都市として再建され、独特の景観としてユネスコの世界遺産に登録されている。

だが、ここモディカに限って言えば、この町の美しさは「バロック」よりも、独特の地形によって作り出された景観に拠るところが多いように思う。確かに、このバロック式教会は美しい。しかし、この教会自体というよりも、周りの景観と併せた風景の美しさの方が心に残る。

このサン・ピエトロ教会は、その名の通り、12使徒のリーダーである聖ペテロ(のイタリア語読みがピエトロ)を祀った教会ということもあり、教会まで上る階段を12使徒の銅像が飾っている。そして、教会のお向かいには、すり鉢状になっている町の景観が迫っている。

モディカ

モディカ

そのため、こうやって、12使徒が町を見守っているように見えるのだ。この視線の先にはね、先程紹介した、老舗モディカチョコ屋のボナユートがあるので、チョコ食いたいな~と、チョコ屋を見ているようにも見えるけどね!

モディカ

こちらは12使徒のイケメン枠、聖ヨハネ。「モディカチョコにかんぱーい!」と、杯を上げているね(違います)。

先程、私は、モディカの魅力はバロックより景観と書いたばかりなのだが、もしかしたら、この景観をうまく利用して、景観と建築が一体となった美しさを、一種の劇場効果、視覚効果を狙って意図的に作るのが「バロック的」と言うならば、やはりモディカの美しさの源はバロックなのかもしれない。

「百聞は一見に如かず」というのは、本当に真理を突いた故事成語で、人間をたやすく感動させる感覚は、やはり「視覚」なのだろう。バロック芸術には、当時、台頭していたプロテスタントに対する、カトリックの巻き返し策として、信者をより多く取り込むために、教会を「わかりやすいビックリ装置」で飾るという側面があるが、なかなか上手な作戦だと思う。

サン・ピエトロ教会は、お昼休みのためか、扉が閉まっていて、中に入れなかった。後で夕方に出直したら入れるかな~?

このサン・ピエトロ教会の近くには、貴族の友人(注:モディカで宿泊しているホテルのことです)がオススメだと言っていた、ビザンチン時代の教会があるので、行ってみることにした。

モディカ

モディカの町並み素敵。

…なのだが、非常に地図が見にくい町であった。迷宮状というほどのことはないのだが、全体像がつかみづらく、本当に大きいんだか小さいんだか、わからない。モディカの旅行記を書いている方々の感想も、「モディカは大きい」「モディカは小さい」と、感想がマチマチであったが、その理由が、実際に来てみてわかる気がする。地図で見ると近く感じる場所が、予想以上に遠かったり、逆に遠く感じる場所に、意外なほど早く到達してしまったりするのである。モディカ・ワンダーランド。

で、目指しているビザンチン教会も、地図で見ながら自力で見つけることができず、地元の人に教えてもらった。モディカは、穏やかで人懐こくて親切な人が多く、旅人にやさしい町である。

モディカ

こちらが、ビザンチン時代に建てられたという「Chiesa Rupestre di S.Nicolo Inferiore」という教会。日本語だと、ルペストレ・ディ・サン・ニコロ・インフェリオーレ教会教会かな?だが、残念ながら閉まっていた。朝9時から13時までしか開いていないらしい。明日はラグーザに行くから、この教会を訪問するのは無理かもな…。

そろそろホテルの部屋の準備ができる頃なので、アルタの方向へ上って行くことにした。アルタからバッサに降りる時は、遠く感じて、モディカ広い町だなーと思ったのだが、ショートカットの階段を使えば、「え?もうココ?」という場所に、あっと言う間に着いてしまい、「やっぱモディカ狭い」と感じる。モディカがイマイチつかみづらい町なのは、蛇行するくねくね道を使うか、階段を使うかで、目的地への所要時間がかなり変わってしまうせいかもしれない。

モディカ

おっ!何だかイーイ感じの階段じゃありませんこと?ちょっと上ってみよう!…と上ってみると…

モディカ

アルタの方のドゥオーモ、サン・ジョルジョ教会に出ちゃったよ!階段を使えば、本当にあっという間に着くんだなあ~。バッサのドゥオーモ、サン・ピエトロ教会と比べて、曲線が特徴的なドゥオーモである。どちらがお好き?

モディカ

で、このサン・ジョルジョ教会前からの眺めがね、最高なんだよー!家々が折り重なっている町の景観が、教会前に大きく広がっている。サン・ジョルジョ教会もバロック式(=派手なショー型)の教会であることを考えると、この景観を考慮して、この場所に教会を建てようと決めたのかもしれない。

ちなみに、この教会前の景観も、写真を見ると「それで?」と思われるかもしれないが、実際の眺めは、写真よりもずっと圧巻であった。写真よりも実物の方がずっとよい観光地っていくつかあるが、モディカもその一つだと思う。

モディカ

このサン・ジョルジョ教会も、バッサのサン・ピエトロ教会と同じように、階段の上に建っている教会である。ノート渓谷のバロック教会の特徴は、この、まるで舞台のような階段だと思った。教会は、ステージの上に立つ、主役のような存在感を放っている。見て下さい、この階段。地形のせいかもしれないけど、微妙に外側にカーブして、中央がせり出しているのだ。本当に、観客を意識した舞台みたい。

モディカ

そして、その階段に、猫があらわるーーー!!!(姉も私も猫大好き)

モディカ

こんにちは、モディカの猫ちゃん。モディカはチョコレートで有名な町だけど、猫はチョコレート食べられないんだよね。せっかくモディカに住んでるのに残念だね。ちなみに、チョコレートは、猫に食べさせてはいけない代表的な食べ物だと最近知ったのだが、昔実家で飼っていた猫(ZASSYU)はグルメ野郎で、高級なチョコレートケーキなら、バクバク食べてたんだ。それで20年近く生きたんだ。ZASSYUは強いのだねー。(猫を飼ってる皆さん!うちのZASSYUが20年近く生きたからって、チョコレート食べさせちゃダメですよ!念のため!)

モディカ

ここはこの猫ちゃんの縄張りなのか、リラックスして座って、大あくびをする猫ちゃん。「あー、今日もモディカは平和だニャー。ヒマだニャー」。

モディカ

サン・ジョルジョ教会も、昼休みのためか閉まっていたので、内部は夕方に見学することにして、外観をじっくり見たが、やっぱりバロックなので、こういう、うつろで微妙な表情の天使とか羊とかで飾られている。バロック芸術における、こういうドローンとした溶けそうな表情のキャラたちは、いったい何なのだろうなー。こういうのが当時の人々の目を惹いたのだろうか。

さて、写真の空を見てもらうとわかると思うが、ここらへんで天気が怪しくなってきた。シチリアに来てからというものの、雨が降ったり晴れたりと、目まぐるしい天気の日ばかりが続く。急いで、ホテルまで帰ることにした。スーツケースを持っていた先程と違って、階段のショートカットの道を通れるので、Via Blandini という上の方にあるホテルに、ここサン・ジョルジョ教会からすぐに帰り着いた。

ちなみに宿泊した通称「貴族の友人」ホテルの正式名称は、「Palazzo Failla」である。

部屋のメイキングは完了していた。予約したのは、「DE LUXE BLUE ROOM」という、高い天井に絵が描いてある、いかにも「貴族の友人」…いや、この場合は「友人」はいらないね、いかにも貴族っ!という部屋である。

モディカ

まあっ…!何と貴族であることでしょう!どうしましょ。こんなお部屋に泊まれるなんてっ!床のタイルは、おそらくカルタジローネのタイルで、古いため、べこべこしているものもあったが、それがクラシカルってものですわよ!

モディカ

見て下さい!シャンデリアが下がっている、この天井っ!すごく高さのある天井なのでありますわよ。ベッドに寝転んで、天井を見上げるだけで貴族気分ですのよ!

これで一泊80ユーロ。おーほほほほほほっ!モディカでの宿泊、勝ーーー利ッ!(旅を勝ち負けで考えちゃいけませんよ!)

モディカ

貴族の友人部屋で勝利にはしゃぐ我々をよそに、窓の外の雨足は強くなっていた。写真では全然伝えられないが、何と、アラレまで窓に叩きつけられていた。

しかし、貴族の友人気分が高潮している我々の浮かれ気分を、雨やアラレごときで壊すことはできないのである。「ふーん。雨降ってんだ。止むまで、貴族の部屋にいればいいジャン」。

というわけで、この降雨タイムに、洗濯したり、明日ラグーザに行く計画を立てたり、とにもかくにも貴族の友人部屋で有意義に時間を使った。今まで私は、「ホテルなんて、清潔で設備が壊れてなくてオーナーがいい人であれば、ラグジュアリーである必要はナシ」と思っていたが、ラグジュアリーホテルの威力を思い知った。ラグジュアリーホテルって、浮かれるね!

だが、それを思い知ったところで、ラグジュアリーホテルは高いので、ホラ、「無い袖は振れぬ」のだよ。今後、ラグジュアリーホテルに、簡単に宿泊できるような見通しは、私の人生にはないよーッ(イケメンとお金に縁のない人生を送っている私。今ここでイケメンの話は関係ない)。そういうことなので、リーズナブルなお値段で宿泊できる、このモディカでの貴重な2泊を、噛み締めようと決意したのであった。