サントリーニ島旅行記7 見上げてごらんカルデラの島
さあ!前回の記事のことは忘れようっ!これからさわやかにランチを食べるわけですからね!決して前回の記事のイメージを引きずってはいけませんよっ!さあっ!ランチっ!
起死回生(?)のランチ場として選ばれたのは、フィラの安くて美味しいレストランと評判のニコラス。
お店に入ると、どこかで見た絵が飾ってあった。…って、バチカン美術館にある、かの有名なラファエロの「アテナイの学堂」だから。確かにギリシャがテーマの絵だから、脈絡ないわけじゃないから。
で、お店の内装自体は、その「アテナイの学堂」を始めとして、ギリシャにゆかりのある絵(のもちろんコピー)を飾って、なかなか小奇麗である。外国人観光客に慣れっこという感じの、親切なおじさんウェイターがやってきて、いろいろとメニューを説明してくれた。写真付きのメニューもあり、選びやすい。
ちなみにこのお店も、英語はバッチリ通じた。ま、問題は我々に英語がバッチリは通じないことですけどね!ホラ、旅行英会話は今年がんばるテーマだっていってるでしょう!これからガンバルから!
イアのレストランで食べた美味すぎる薬膳スープが忘れられない我々は、「スープはありませんか?」と聞いてみると、ウェイターさんは厨房に確認しに行ってくれて、「メニューにはないけど、6ユーロで豆スープなら作れるよ」とのお答えだった。サントリーニ島は確か豆が特産であるはずだから(うろ覚え)、オーダーすることにした。
これが、記念すべき、私たちのためだけに作ってもらった豆スープ。え?見た目が悪いって?いいんですよ、私たちのためだけに作ってもらったということが重要なんですから。え?で、味はどうだったのかって?…いいんですよ、私たちのためだけに作ってもらったものなんですからっ!
で、文章から察して頂きたい豆スープの味だったわけだが、豆スープ以外は、ここの料理は非常に美味しかったわけですっ!(あの、豆スープの味の件、語るに落ちてますよ…)
冗談抜きで美味しかったのが、お通しで出てきたパンにつけるペーストっ!コレ何なんだろ?長ネギとオリーブが添えてある。ギリシャ料理では、長ネギとかきゅうりとか、オレンジではなくてみかんとか、なかなか日本でもなじみのある野菜や果物が使われる。前も書いたが、本当にイタリアと比べて、時差1時間分日本に近いと感じるのだ。
それから、すっごく美味しかったのがコレ!コレは、キャベツで巻いた…えーと…キャベツで巻いた………何だったったけ?い、いいんですよ!美味しかったことは覚えているわけだから!料理にとって、それほど幸せなことはありませんよ!(そうか?)
こちらは、ウェイターのおじさんが、「これめっちゃ美味しいよ」とおすすめしてくれた、イカにトマトとかを詰めたもの。美味しかったけど、薄味好き一家の我々にはちょいと濃かったかな。ちなみに、このお皿、つけ合わせでライスが敷かれているが、ギリシャ料理は、こんなふうにお料理にお米がついてくることが多い。パンもお通しで出ることが多いので、あまり主食系はオーダーしなくてよいかもしれない。
ギリシャ料理はなかなか安くて美味しい。サントリーニ島では、ここニコラスが、やさしい味付けで、私は一番気に入ったレストランであった。
さて、お腹一杯になったらもう少しフィラの町歩きをしよう…と言っても…
オフシーズンのサントリーニ島、中心となるフィラの町だって、ご覧の通りオフシーズンで、どこもかしこも閉まってるから!
もはや私の天敵として認定されたロバしかいないから!
しかし、こうやって、けなげに人間の仕事の手伝いをしているロバを見ていると、ロバを憎むことも後ろめたくなってはくるのである。いや、ロバが悪いわけじゃないことはわかっているんだ…!ロバにとっては、タダの自然現象なのである。悪気なんかどこにもないのだ。それはわかっているんだ!わかっているんだ、ロバよ…!!!(もうこの話終わり)
話題を変えましょう。ええと、世界有数のリゾート地であるサントリーニ島の中心地フィラの名物として、海に面した飾り扉がありまーす。
本来は、おそらく海に面したレストランやホテルの、シャレた入口なのだと思う。シーズンオフには、何だかおもちゃみたいに、閉まったままの扉がかわいらしく並んでいる。
こういうの見てると、やっぱりサントリーニ島には夏に来るべきなのかなーとも思う。リゾートワンピース着て、麦わら帽子ってスタイルが似合う町なのだ(私にリゾートワンピースが似合うのかはまた別問題ですよ)。でも夏は人が多いだろうしな…やっぱやめとこ。それ以前に、ハイシーズンは旅費が高いので、旅の予算がミジンコの私には、現実として無理だよ(小声)。
さーて。これからどうしようかな。港へのケーブルカー乗り場の近くに、カトリック教会とかいうものがあり(ギリシャはギリシャ正教会が主流なのでカトリック教会は珍しい)、14時くらいから開いているという張り紙があったので、行ってみたが、よくよく見ると、その開いているという張り紙は、近くのお店のものだった。非常にまぬけな勘違いである。
母は、むしろケーブルカーの方に興味津々であった。「…乗ってみたいよねえ」。
母君。恐れながら申し上げますけど、ケーブルカーは、遊園地のアトラクションではありませんよ。あくまで移動手段であって、「どこかへ行く」ことが目的であって、「乗る」こと自体が目的の乗り物ではありませんよ。
………でも、よく考えると、どこもかしこも閉まっているフィラでやることもないし、ケーブルカーに乗ってみたいかも…。
ケーブルカー乗り場の張り紙を見てみると、ケーブルカーは午後は15時から16時まで稼働していると書いてある。…たった1時間?どういうことよ?…イヤ、そういうことだな。おそらくだが、夏季の旅行ハイシーズンには、もっとやる気出して動いているのではないかと思う。
で、時刻は14時半くらいだったので、港の方までカルデラを見ながら下る階段がありそうなので、そこを下って港まで降りて、ケーブルカーに乗って帰って来ようということになった。つまり、ケーブルカーに乗ることだけが目的の、始点と終点が全く同じという、生産性のない移動ってことだ!結果的に元の場所に戻るわけだからね!イエイ!い、いや、下に降りる途中で、カルデラを見たりする楽しみもきっとあるさ!
工事中だったこともあって、この下に降りる階段を探すのに手間取ったが、何とか見つかった。で、しゅくしゅくと降りた。
降りながら、やや我々は後悔した。コレ、思った以上に距離があるし、一段一段が結構大きい階段なので、ちょっと疲れるぞ…。行きもケーブルカー使えばよかったかな…。母、スマンっ!
しかも、この道は、港からロバに乗って上ってくる人のための道でもあるらしく、つまり、絶好調にロバさんのアレがある…。しかし、結構広い道なので、結構な量のアレがあっても、足場を見つけることは容易だったので、昼食前に歩いた、あの極悪非道の道に比べると、なんぼもマシであった。足場さえあればいいんだよ、足場さえ!
というわけで、わりと大変な道ではあったのだが、この階段を下りながら眺めたカルデラの風景は素晴らしかった。
カルデラの上に広がる白い街並みが、全体として迫力ある姿で見られるのは、もしかしたらこうして下から眺めた時だけかもしれない。このような風景が、サントリーニ島のリゾート地としての魅力以上のものを作り出しているのだ。
下っている途中に、ケーブルカーが稼働する時間になったらしく、下からケーブルカーが上がってきた。イヤー、これに乗って上に上がるために、我々は必死に階段を下っているわけですよね。上るために下るという、何というパラドクス!
ほー!絶景ー!気持ちの良いカルデラっぷりである。天気があまりよくないのが少々残念ではあるが、いかにも火山の島って感じの眺めである。
休み休みしながら、ゆっくり階段を下ること30分弱くらいで、ようやく港が見えてきた。この道は、サントリーニ島のカルデラっぷり(?)を体感するにはもってこいの道なのだが、結構歩幅の広い、足に負担がある階段なので、足腰に不安のある方にはあまりおすすめできない道である。下りだから平気だろうと思って、余裕かまして下りた我々だったが、結構長い道のりに感じたし、足も疲れた。
我々が下ったこの階段は、港からロバで上る時にも使うことがよくわかる標識があった。
コレ…よく見たら、ちょいとシュールだな…。ロバタクシーに乗って、得意そうにギリシャの旗を掲げているヒヨコ…。
ディズニーのキャラクターで、黒い犬(グーフィ)はミッキーの友だちで、人間みたいに洋服を着て二足歩行で言葉もしゃべるけど、黄色い犬(プルート)はミッキーのペットだから、首輪をしていて裸で四足歩行でしゃべらない…と初めて知った時の、あの気まずいような切ないような、あの微妙な感じに似ているなあ…。万民に受けることを狙っているはずのディズニーが、何でこんなシュールな設定をしちゃったんでしょうねえ…。
さて、完全にゴール地点の港までたどり着いた。バンザイっ!みんなよくガンバッタ!
ちなみにこの港は、観光用の小舟以外はあまり寄港しないらしく(もっと南の方に大きな港があるらしい)、オフシーズンということもあって静まり返っていた。ロバタクシーの看板はあるけど、この港からロバを使って、上まで上がる人っているのかなあ。
ちなみにロバに乗るのは、お尻は痛いし、揺れて気分が悪いしで、ネタとして以外に純粋に移動手段として使うのはあまりお勧めしない、と、いろんな情報で目にした。ぶっちゃけ、自分で歩いたほうが早くて疲れないらしい…。ただ、この港から、フィラまでオノレの足で階段を上がるのは、かなり健脚な人でないと大変だと思う。
つまりは、ロバでもオノレの足でもなく、ケーブルカーで上がれってことだね!
こちらがケーブルカー入口。
午後は15時から16時までの、たったの一時間しか稼働していないケーブルカー。最終のケーブルカーを逃してしまったら、下るだけでも大変だったあの階段を上らなければならないというまさかの事態に陥ってしまうので、我々は港に着くやいなや、このケーブルカー乗り場に行って、次の便の確認と、ケーブルカーの切符を買った。
次の便は10分後に出ると言われ、切符は、奥の方の事務所でお金を払って、レシートをもらっただけであった。一人片道5ユーロ。…高いと言えば高いよなあ。ただ、あんまり利用者がいないみたいなので(夏はいるのかな?)、そのくらい取らないと元が取れないのかもしれない。
ケーブルカーが来るまでは、のんびりと海を見たり、カルデラを見たりして過ごした。母は「こうやって、カルデラの上に町が乗っかっているのを、下からじっくり見たかったのよねえ」と言った。確かに、この港から見上げるカルデラとフィラの町の風景は、サントリーニ島らしさが存分に味わえる風景であった。大儀な道ではあったが、下に降りて正解だったと思う。
10分後の出発とは言われたが、この港に取り残されるわけにはいかないので、5分後にはケーブルカーの中でスタンバッておくことにした。
さあっ!これがケーブルカー!もはや、これ、観覧車にしか見えないのだが。完全にアトラクション気分の観光客たちである。
ゴンドラは全部で6個である。完全に我々の貸し切りだと思っていたのだが、出発直前に、男性一人と女性一人が、他のゴンドラにそれぞれ乗車してきた。へー。地元の人もまあまあ使ってるんだ。ちょっとびっくり。
念願のケーブルカー、スタートっ!
…なのに、母は父にメールを打っていて、全然外の景色とか見ていないっ!「ちょっと!お母さん!念願のケーブルカーなんだから、メールはやめて、ケーブルカーを楽しみなよ!」と忠告すると、「だよねー」と言って、ようやく景色を見て、「あらキレイ」とか、のたまう母。全く…。
こちらがケーブルカーの中から、適当にシャッターを切った写真でござる。(当然のことながら、適当にシャッターを切って撮影している写真の撮影者は姉ではなくて私である)
港も海も見る見る間に遠ざかって行き、側面のカルデラの風景も、かなりのスピードで移り変わって行き、ケーブルカーは本当にあっという間にフィラの町へと着いた。このスピードで到着してしまうと、30分くらいかけて苦労して下った我々の労力はいったい何なのだろうと思ってしまうね。いいんだよ。ケーブルカーに乗るために降りたんだからね。
というわけで、一瞬にして終わったケーブルカー体験であった。
だが、下から見上げるサントリーニ島の風景は、カルデラ好きの人の目には(世の中にはカルデラファンっているよね?)、サントリーニ島の最も魅力的な姿として映るのではないかと思われる。あの階段の上り下りはなかなか大変なので、ケーブルカーを上手く使いながら、時間のある方には、港まで降りてみることをおすすめしたい。