アテネからメテオラへ ピクリとも動かない日本人

2017年3月7日
アテネから鉄道でカランバカ(メテオラ)へ

本日は、4泊したアテネを発って、メテオラへ出発する。

メテオラは、ギリシャ中部の町だ。昨日アテネから日帰りしたデルフィは、だいたいアテネとメテオラの真ん中らへんにある。

それなら、昨日デルフィに宿泊して、デルフィからメテオラへ行くのが効率的ではないか?と思われるだろう。私も思ったさ。

しかし、観光客の思う通りには世界が構築されていないのが、ギリシャなのである。地図で見ると近いデルフィとメテオラだが、この2つの町を公共の交通機関を使って行こうと思うと、デルフィからメテオラ近郊の町カランバカまで行くのに、バスを2回乗り継がなければならず、バスの乗り継ぎ時間などを含めると、6~7時間以上かかってしまうらしい。

アテネからカランバカへは、直通の電車が出ていて、所要時間5時間である。私はバスが苦手なので、バスを何回も乗り継いで何時間も乗るより、電車に乗りっぱなしで行く方が断然よい。そういうわけで地図を見るともったいない移動になるけど、デルフィは日帰りにしていったんアテネに戻り、アテネからメテオラ(の近郊の町カランバカ)を目指すことにしたのだ。

アテネ発カランバカ行きの電車は、一日一本である。一日一善みたいな電車だが、この電車が、朝8時27分にアテネのラリッサ駅から出る。

このラリッサ駅だって、アテネの中心街からそう簡単には行けないのがギリシャなのだ。地下鉄を使って行けるのだが、朝のギリシャの地下鉄は混雑し、スリも多発するらしい。

それでもシンタグマ広場近くに宿泊したので、シンタグマ地下鉄駅から地下鉄で行く予定だったが、昨夜デルフィからの帰りが思いがけず遅くなった。

私の風邪の調子もよくないし、スーツケースを持って、混雑した地下鉄に乗るのはしんどいだろうと、今回は謙虚にタクシーを使うことにした。昨日のうちに地下鉄チケットも買ってあったのだが、こういうときは数ユーロの損より、体調管理の方が大事であろう。

シンタグマ広場へ行くと、タクシーは何台も客待ちをしている。昨日、デルフィ帰りにバスターミナルから利用したタクシーにはぼられそうになったので、ちょっと警戒しながら乗ったが、感じのよい運転手さんで、ラリッサ駅までは€5と言われた。

ここまでの印象だが、アテネのタクシーは、アテネの市街地で客待ちしているタクシーは普通に良心的だ。空港やバスターミナルなど、アテネ郊外で観光客をターゲットに客待ちしているタクシーが、ぼったくりをたくらんでいる感じだ。

ラリッサ駅

シンタグマ広場からの道は混雑していたが、10分もすればラリッサ駅が見えてきた。ギリシャで鉄道に乗るの初めてだなー。

シンタグマ広場からラリッサ駅までは、運転手さんが最初に言ったとおり、€5であった。電車の出発10分前、ちょっとギリギリに着いたが、この電車はすでに日本からオンライン予約してあるので、切符を買う必要がなく、問題ない。

ラリッサ駅電光掲示板

ギリシャの鉄道は発達していなくて、実に使い勝手が悪いと言われるが、きちんと英語の電光掲示板があり、ちょっとホッとする。

ラリッサ駅

し・しかし、駅のホームの電光掲示板には、なーんにも書いてないんだな、これが。

だが、困らない。ギリシャの電車は非常に非常に本数が少なく、8時27分あたりに出発する電車は、私たちが乗るカランバカ行きの電車しかない。電車がスタンバイしているホームは、ここしかないので、何の表示がなくても、間違いようがないのである。

ギリシャの電車

この電車に乗りますぜ。見てください、この駅の活気の無さ。もう少し鉄道が頑張ってくれると、ギリシャは個人旅行者にとって旅行しやすい国になるのだが。

外から見ると、何とも頼りない雰囲気の電車だったが、内部は意外ときれいだった。

ギリシャの電車

おそらく、内装は結構新しいのではないか。5時間もの旅なので、今回は一等車両を予約した。一等車両は片道€25.6だが、事前予約割引で€19.6で購入できた。二等車両は正規料金が€18.3で、事前予約割引で€14。この程度の値段の違いであれば、ゆったり座れる一等車両の方がおすすめである。

ギリシャの電車内

一等車両はコパートメントになっている。こちらは、通路の写真。ね?電車の外観を考えると、なかなか綺麗でありましょう?

すぐにトイレも視察に行ったが、トイレも広々としていて清潔である。ドアの開け方を少し迷ったが、ボタン式で、<>がドアを開けるボタン、><がドアを閉めるボタン。これだけマスターすれば、問題ない。

コパートメントを姉と二人で占領できれば楽だなあと思っていたが、我々のコパートメントは6席あり、その中の1席だけ予約が入っていて、大柄な男性が入ってきた。

気さくな男性で、英語も話せるので姉とは意気投合してしゃべっていたが、何せ私は風邪っぴきで、声が出ない。この男性や、姉に、狭いコパートメントで風邪をうつしてはいけないので、マスクをして、ダウンと大判スカーフをかぶって、私は安静体制に入った。

5時間もあるし、これはもうしっかり眠って、風邪を治すしかない。そう思って、目を閉じて固まった私。コパートメントに入ってきた男性は、時々私をちらっと見ていたが、「こっちの日本人女性はピクリとも動かないな…」と思っていただろう。

我々は、オンラインで予約し、プリントアウトしたバウチャーを持って乗車した。発車してすぐに、水谷豊似の車掌さんが検札にやってきたが、我々はスルーされた。オンライン予約してあれば、予約の入っている座席に乗客がいるかを視認するだけなのかもしれない。

検札も通り過ぎたので、私は目を閉じて、活動停止した。とにかく、早くこの風邪を治したい。

ギリシャの電車

時々目が覚めると、車窓にはのんびりとした風景がある。カランバカまでノンストップの電車に乗って本当によかった。風邪っぴきの身には、本当に休憩になる。アテネからカランバカにはバスで行く方法もあるが、バスだと「トリカラ」という、唐揚げ食べたくなるような名前の駅で乗り換えになってしまうのだ。

一等車両には、朝ごはんのサービスや、飲み物サービスがあるかもしれないと姉が言っていたが、そのようなサービスは来る気配がなかった。この電車には食堂車両があるので、お昼ご飯は食堂車で済ませることにした。

ギリシャの食堂車

食堂車もキレイである。本当に電車にしてヨカッタ!食堂車は居心地がいいため、特に2等車両の乗客の中には、長々と居座る乗客もいるらしいが、何かオーダーしないと、テーブルは利用できないと注意書きがあった。

夏場の観光ハイシーズンには、その場でオーダーしてから作ってくれるサンドイッチなどもあるらいしが、シーズンオフの3月には、出来合いの市販のサンドイッチしか置いていなかった。だが、暖かい飲み物は入れてもらえる。

ギリシャの食堂車

温かいコーヒーと、ほとんど選択肢がない状態で選んだサンドイッチ。風邪ひきだから、ビタミン取りたいんだけどなーと思ったが、仕方あるまい。だが、このサンドイッチ、見た目より美味しかった。ギリシャの食べ物ってのは、あなどれないのである。

簡単に食事を済ませて、また眠るべくコパートメントに戻る。私は、ほとんど眠っていて、その間に運んでもらっている感じだった。効率的な移動である。

しかし、電車は気がついたらよく停まっている。停まるたびに対抗電車が来るので、離合のために停車しているのだろう。

姉が、「この電車は遅延すると思った方がいいみたいだよ」と言う。「ギリシャの電車は1時間以上遅れると運賃の25%を返さなきゃいけないんだよ。だから、そうならないように、1時間以上は遅れないようにがんばるらしいから、まあ、大幅な遅れにはならないと思う」とのこと。

私は思うよ。はじめから、遅れる時間を見越して時刻表を作れば、遅延にならないのではないのかね?

まあ、1時間以上は遅れないようにがんばってくれるならヨシとするか。こういう電車の遅延に対しては、地中海あたりを旅行していると、だいぶ寛容になってくるのである。だが東京では、電車が5分遅れているだけでイライラしてしまう。東京でも地中海メンタルを持てるようにしたいところだ。イライラしてもどうにもならないしね。

トリカラ駅

電車は「トリカラ」に着いた。ここまで来たら、あともう少しである。

ギリシャの車窓

車窓から、奇妙な形の岩が見えてきた。メテオラが近づいてきたのかもしれない。

そして、アテネを出発してから5時間半、当初の予定より40分遅れで電車はカランバカ駅に到着した。1時間は遅れることを覚悟していたので、40分遅れは嬉しい誤算である。しかし、運賃の払い戻しがないように、本当にギリシャの電車は、1時間以上は遅れないように頑張るんだね。もうちょい頑張って、時間通りに着くようにすればいいのにね!

こちらがカランバカ駅。シーズンオフで静かだ。ほとんど寝てたせいで、5時間半も電車に乗っていた気がしないなあ。睡眠は偉大である。

ここはまだカランバカなので、メテオラは、まだ先である。メテオラには修道院しかなく、宿泊はできないので、メテオラ観光のためにここカランバカに宿泊する人もいるが、我々は、もう少しメテオラに近いカストラキという村にホテルを予約している。

というわけで、次なるミッションは、ここカランバカ駅から、カストラキへの移動だよ!