アテネ旅行記4 シュリーマンの夢の跡の跡

イリウ・メラトロン

2017年3月4日 アテネ
イリウ・メラトロン

上るときよりも、明らかに近道で、リカヴィトスの丘から降りてきた我々。5時閉店のマスティハ・ショップには、余裕で間に合った。

マスティハとは、ギリシャのヒオス島(いつか行きたい!)にのみ生息している植物から取れるハーブ成分で、最近は、日本でも「マスティック歯磨き粉」などの商品で名を知られるようになってきた。

マスティハ・ショップには、コスメや歯磨き粉、マスティハ入りのお菓子などが売られている。3年前に、このお店で購入したハンドクリームの使い心地が最高に良かったので、どうしても購入したかったのだ。

自分たち用や、お土産用など、ハンドクリームをたくさんカゴに入れて、どこかで「マスティック歯磨き粉」の噂を聞いたらしい母に頼まれた、マスティハ入り歯磨き粉を買って、ちょうど安売りしていたし、日本から持ってくるの忘れていたからUVカットクリームを買って…

いっぱい買い物しちゃったよ!ちなみに、ここにはハンドクリームはひとつしか映ってないが、お土産用も含めて、10個くらい買ってしまった…。

姉が、ギリシャに来てからずっと「喉の調子がイマイチ」というので、マスティハは殺菌効果があるため、マスティハキャンディが喉にいいんじゃないか、と、店員さんに聞いてみたが、マスティハキャンディは、喉の痛みを鎮静させる効果はないらしい。のど飴代わりにはならないかー。

閉店ギリギリまでマスティハ・ショップで買い物した後、マスティハ・ショップの少し北側に、シュリーマンが住んでいた家「イリウ・メラトロン」があるので、ちょっと足を運んでみた。

「イリウ・メラトロン」は、現在は貨幣博物館になっているそうだが、姉も私も、あまりコインには興味がないため、内部には入らず、外観のみを見学した。

イリウ・メラトロン

微妙なカーブを描いているらせん階段が、なかなか美しい。シュリーマンのやつ、いい家に住んでたわね。

イリウ・メラトロン

内部に入場しなくても、二つあるうちの片方の階段は上り下りすることができたので、上ったり下ったりして遊んだ。そんなことで遊べる自分が楽しい。

こうやって見ると、なかなか素敵な家だね!イリウ・メラトロンは、車がびゅんびゅん通る大通りに面しているのだが、庭に入ると、まるで別世界の、穏やかな雰囲気である。観光客もほとんどいなかった。

イリウ・メラトロン

大通りの方から見上げると、少しだけ内装が見える。内装もなかなか豪華。シュリーマンのやつ、金持ちだな(シュリーマンに対して他意はないですよ)。コインに興味なくても、内部入場しても楽しめたかもしれないなあ。

またマスティハ・ショップ方面に戻ると、マスティハ・ショップ周辺のお店は、軒並み5時で閉まっていた。しかし、アテネ一番の大通り・エルムー通りまで行くと、お店はほとんど開いていた。明日、明後日と、予定は忙しいため、今日のうちにお買い物を済ませておこうと、我々はショッピングモードに突入した。

何を買うかというと、まずはのど飴なんだ!姉が、いまいち、のどの調子がよろしくない。のど飴より、薬用ドロップのようなものがいいだろう、と、薬局に入ってみる。

アテネ

ギリシャの薬局は、緑色の聖十字が目印である。日用品も販売している日本のドラッグストアとは少し違い、簡単な薬品と、コスメ類を扱っている。

自分たちで探しても、薬用ドロップにたどり着けるとは思えなかったので、カウンターで薬剤師さんに聞いてみた。すんごいギリシャ美人って感じのおねえさんが、アピヴィータの薬用ドロップ缶を持ってきてくれた。

アピヴィータは、日本でも店舗を持っているギリシャのコスメブランドだが、薬用ドロップも作っているとは!黄色の缶と、青色の缶を持ってきてくれたが、咳が出ないのであれば黄色の缶がおすすめと言っていたので、黄色い方を購入した(しかし、後日、青も買うことになる)。

アテネ

こちらが、購入したドロップ缶。ハニー味。ビタミンCも入っている。これがまた、美味しかった。喉に効いたかどうかはわからないが、とにかく美味しかった。キャンディが硬くないので、口内炎もできにくくてグッドだよ!

それから今回、「ギリシャで買えばいいだろ」と、ボディクリームを持参してきていないので、コレスに入った。コレスは日本で買えるらしいが、日本で買おうとすると高い。

だが、ギリシャで購入すれば、関税がかからないためか、それほど高くなかった。オリーブのボディクリームの香りが気に入ったので、購入した。

アテネ

すると、フェイス用のクリームの試供品を付けてくれた。この試供品のクリームは使い心地が良く、しかも日本から持参してきた保湿液が少なめだったので、旅行中に使い切ってしまった。コレス、ありがとうっ!

まだ旅の前半なので、荷物が増えたらいけない、と、控えめにお買い物してしまったのだが、日本に帰ってから、やっぱりもっと買っておけばよかったなあと後悔した。「旅の前半に買い物をたくさんしない」というルールは、今後、検討の余地がありそうだ。

さて。今日はアパートでゆっくりと夜ご飯にする予定だが、サラダやスープは自分たち(正確には姉オンリー)で作るが、肉はタナシスからテイクアウトすることにした。

タナシスは、我々がアテネで食の拠り所にしている大衆食堂である。アテネ市民が持ち帰りしている姿をよく見かけていたので、今回、我々も真似っこすることにした。

タナシスのテイクアウトコーナーは、店の奥の方にある。ちゃんと英語で「TAKE AWAY」と書いてあるのでわかりやすい。

画像で見えているレジで先にお会計をし、右手の方のカウンターから注文品を受け取る。

タナシス

レジにはメニューが貼ってある。お店で食べる場合より、2割程度安い。

カウンターの奥では、いかにも「肉屋の男」という雰囲気の料理人たちが、忙しく料理をこしらえていた。この「肉屋の男」たちから、注文品を受け取り、ビニール袋を下げてアテネを歩くと、何となくアテネ人になった気がした。もちろん気のせいである。

アパートに帰って、食らったタナシス。タナシスはなぜこんなに美味しいのであろうか。しかも安いのである。このお肉、一人前で€2。

しかし、今回、タナシスでよくわからなかったのは、「ケバブ」と「スブラキ」の違いである。私は、ケバブは、削ぎ肉というイメージがあり、スブラキは、串刺し肉のイメージがあった。

画像の肉は、「ケバブ」と注文して出てきたものなのだが、翌日、「スブラキ」と注文して出てきたものと、同じものだった気がするのだ。

で、帰国してから調べると、「スブラキ」というのは、ギリシャで「ケバブ」を指す言葉なんだそうな。なるほどぅ。我々がイメージしている削ぎ肉は、ケバブの食べ方の一種にすぎないんであって、トルコとかギリシャでは、串刺し肉として食べる方が多いんだそうな。なるほどぅ。

もっと応用編まで突っ込むと、ギリシャ料理には「ギロ」ってのがあるが、我々がケバブと言ってイメージする、あの削ぎ肉を「ギロ」と呼ぶそうだ。なるほどぅ!

タナシスのおかげで、ちょっとだけ知識がついたよ。ありがとうタナシス。安くて美味しくて知識もつけてくれるタナシス。私はおとなしくタナシス信者になることに決めた。

さて。アパートでコンタクトを外したとき、またもや左目からコンタクトが出てこない騒ぎがあった(2014年サントリーニ島でも起きた事件)。

しかし、今回の私は冷静であった。なぜかというと、この日は一日中、モノが二重に見えていたのだ。「何となく疲れてたし、時差ボケか何かだろう」と、モノが二重に見えていたことを気にしていなかった私。要するに、左目にはコンタクトが入っていなかったのだ。

姉は言った。「何でモノが二重に見えている時点でオカシイって思わないのよ?」。いや、思ったんだけどさ、状況がオカシイんじゃなくて、自分がオカシイんだって思ってたんだよ…。謙虚な旅人なんだよ、私…。

だが、私は全然謙虚ではなかった。そのことが、明日、私の身へとふりかかってくるのである。フフフ…トラブルの予感…!