3/13レッチェからペスカーラへ イタリアの電車は何をか企む

本日は、3泊したレッチェを発つ日である。11時のフレッチャ(イタリアの特急電車)で北へと向かう。

今日は早起きして、最後のレッチェ歩きをしてもよかったのだが、風邪気味なので、朝はゆっくり起きた。それが功を奏したのか、風邪の症状はだいぶおさまってきた。

のんびり朝ご飯を食べた後、チェックアウトのために、B&Bのオーナー女性が住んでいる階に降りて、支払いを済ませた。

フィレンツェ出身のオシャレなオーナーは、「次にプーリア州に来るときは、5月か6月にいらっしゃいな。気候がいいわよ。逆に8月は40度近くになって暑すぎて歩けないし、観光客の数が多すぎるわ」と言った。

そうね。サンタ・クローチェ聖堂を見れなかったレッチェにも心残りがあるし、オスティーニ、カステル・デル・モンテ、ポリニャーノ・ア・マーレなど、プーリアには行きたい場所がまだまだある。しかし、5月や6月に旅行できるような、自由な身分になれるかどうかが問題だぜ。自由のために戦え、私(何と?)。

B&Bからレッチェ駅までは、歩いて5分強。スーツケースがあるけど、レッチェの初乗りタクシー代は€10(!)と高いことをレッチェ初日に思い知ったので、もちろん歩いた。

レッチェのスプレムータ

駅には早めに着いたので、駅のバールで一休み。南イタリアを離れるので、オレンジ生絞りジュース・スプレムータを飲んだ。スプレムータはイタリア中で飲めるのだが、やはり南の方が美味しい気がするのだ。このバールではブラッドオレンジのスプレムータが出てきた。イタリア旅行で、断然ブラッドオレンジが好きになってしまったよ!

レッチェ駅

我々が乗るのは、トリノ行きのフレッチャ。トリノ行きだけど、トリノまで行くわけではない(トリノも近いうちに行きたいっ!)。今回目指すのは、アブルッツォ州のペスカーラという町である。

レッチェ駅

こちらが乗車するフレッチャビアンカ。ビアンカというのは「白」という意味だが、そんなに白くない電車なのがミソである。4時間近い長旅なので、一等車を予約した。リッチなわけでは全然ない。フレッチャは、ものすごーく早く予約すると、一等車でも破格の値引き価格で購入できるのだ。それを狙ってものすごーく早く予約しただけである。

最近のTrenitaliaの車両は、だいぶキレイになってきた。イタリアは五輪招致でも狙っているのだろうか。

フレッチャ

椅子も一等車両だからということもあるけど、フカフカで座りやすい。姉いわく「新しい車両だからキレイなだけだよ。どうせメンテしないんだから、2年後にはボロボロになって元通りだよ」。…ソーカモナー。

レッチェ駅

バイバイ、レッチェ!きっと、またね!

フレッチャが発車してしばらくすると、「この車内にはバールがあり、エスプレッソやパニーニを販売しています。皆さま、どうぞバールにお越しください!」と車内放送が流れた。何となくエスプレッソ飲みたいなーと思っていたので、車内のバールまで行ってみた。

男性スタッフがいたので、「エスプレッソ2杯欲しいのですが」と言ってみると、「バールはまだ開いてないよ。バルレッタ(という町)を過ぎたら開けるから、その後に来て」と言われた。いやいや、バールに来てって言うから来たのにさあ!やっぱり車内はどんなにキレイになっても、イタリアなのである。

フレッチャの車窓

あー、コーヒー飲みたいなァ。車窓には、オリーブ畑と、地面に咲いている黄色い花の景色が延々と続いている。

ブリンディシ

最初に停まったのは、今回観光し損ねたブリンディシ駅。また来ることあるかなー。

トゥルッリ

ブリンディシ周辺では、こういう「ひっちゃぶれ」を、いくつも見ることができた。

「ひっちゃぶれ」とは、アルベロベッロという町を有名にしている、独特のとんがり屋根住居「トゥルッリ」の、出来の悪いのとか、崩れかけてるのとか、そういうもののこと(を勝手に我々姉妹が呼んでいる名称)である。

トゥルッリ

参考までにこれが、アルベロベッロのトゥルッリ。

ちなみに、「トゥルッリ」は、アルベロベッロで見るような、白壁+グレーの屋根の、メルヘンチックなものが有名だが、プーリア州全域と、その近くの州で、こういう「ひっちゃぶれ」を見ることができる。

「ひっちゃぶれ」の多くは、住居ではなく、農作業用の小屋だ。「ひっちゃぶれ」が点々と続く景色を見ていると、本当に「石の文化」なんだなあとしみじみ思う。ちなみに、見れば見るほど「ひっちゃぶれ」はカワイイ。立派なトゥルッリより、かわいく見えてくるのは、私の好みの問題なのだろうか。

バーリ駅

お次はバーリ駅。バーリも、何度か乗り換えのために立ち寄ったことはあるが、観光をしたことはない。バーリの旧市街は結構雰囲気がよさそうなのだ。ここもきっと、いつか!

レッチェの「Alvino」

バーリ駅でやや停車していたので、お昼ごはんにした。レッチェで、毎日お菓子のパスティチョットを食べに通った、サントロンツォ広場にあるカフェ「Alvino」で買ってきたパニーニ。「Alvino」は、お菓子だけでなく、こういうパニーニも美味しかった。

バルレッタ駅

お昼ごはんを食べ終わったあとくらいに到着したのが、バルレッタ駅。ミステリアスなフェデリコ2世のお城、カステル・デル・モンテに行くときに、足がかりとなる駅だ。

だが、今の我々にとって、バルレッタ=車内バールが開く合図の駅。ちょうどお昼ごはんを食べ終わったから、食後のコーヒーにちょうどいいじゃないの!今度は姉がバールまで行ってくれた。姉はイタリア語は話せないが、コミュニケーション力抜群なので、私は何も心配してない。姉妹なのにどうしてこんなに違うのか。いいのだ。多様性こそが世界を救うのだ(たぶん)。

フレッチャ

姉が買ってくれてくれたカプチーノ。€1.5程度で、普通の町中のバールと比べてべらぼーに高いということもなかった。これからは、鉄道の乗車時間が長いときは、車内のバールや食堂を積極的に使ってみよう。

ちなみに、右隣のお菓子は、レッチェのカフェ「Alvino」で買ってきたおやつ、パスティチョットである。あれだけ食べたくせに、まだ食べたりないのである。これが最後のパスティチョットだと思うと、とってもさびしいよ、パスティチョット!しかし、お菓子があるだけで、鉄道の旅はグッと楽しくなるのだぜ。お菓子大事。

フォッジャ駅

フォッジャ駅。ガルガーノ半島近くである。ガルガーノ半島も行ってみたいなあ。天使が舞い降りた町と言われる、モンテ・サンタンジェロに行ってみたい!8度もイタリアに足を運んでおいて、行きたい町がまだまだありすぎなのである。

4時間もの電車旅。多くの時間は、次に足を運ぶアブルッツォ州の町の予習にあてたが、だんだんヒマになってきたので、フレッチャのトイレウォッチに行くことにした。私はイタリアのトイレウォッチャー。

それがですね、イタリアの電車のトイレは立派になっていましたよ!

イタリアの電車のトイレ

ほらっ!何のためらいもなく使える清潔トイレ!上に上がっているのが便座なので、使いたい場合は、自分の体重で押さえて使うよ!

イタリアの電車のトイレ

トイレットペーパーだって、完備!ちょっとわかりにくいかもしれないが、花柄入りのペーパーだったのですわよ。

イタリアの電車のトイレ

感動したのは、この手洗い場!ハンドソープはあるわ、紙タオルはあるわ、ハンドドライヤーはあるわ。どうした、Trenitalia!何を企んているんだ?やっぱり五輪招致かなあ?それとも私がイタリアをなめてるだけで、ちょっと本気出せばこんなものなのだろうか。

イタリアの電車のトイレ

ひとつだけ難しかったのは、トイレの水を流すのが、足で踏むこのボタンだったこと。ちなみに手洗いの水も、同じように足で踏むボタンで水が出てくる。しかし、足で踏めばいいだけのこと。何ら苦しいことはない。

テルモリ駅

さて、電車はちゃくちゃくと北進し、モリーゼ州のテルモリで停車。

私が今から向かっているアブルッツォ州も、観光という意味ではマイナーな州だが、おそらくモリーゼ州は、イタリアの中でも一番知られざる州なのではないか。そもそも面積自体小さいのだ。私はまだまだ未踏の州がイタリアにあるけど、一番最後に残るのがこのモリーゼ州なのではないかと予想している。

ペスカーラ駅には7分遅れで到着。イタリアの電車の中で、「特急電車のフレッチャは遅れない」という都市伝説みたいな話があるが、最近は「フレッチャはそれほどは遅れない」が正しいと思っている。

ペスカーラ

こちらがペスカーラ駅。ガラス張りの、イタリアでは珍しい近代的な作りの町だ。ペスカーラの町自体、旧市街が第二次世界大戦で大きな被害を受けたこともあって、近代的な作りの都市になっている。

ペスカーラは、ペスカーラ観光のためというより、周辺の町を観光するために宿泊する。そのため、駅のすぐ近くのB&Bを予約してある。この後、すぐサン・ヴィートという別の町に行きたいので、やや早歩きでB&Bを目指した。

B&Bには、若いお兄さんスタッフが待っていて、慣れない日本人観光客に緊張している様子であった。地図を広げて、ペスカーラの説明を始める彼。ペスカーラ歩きはあまり予定してないんだけどな、と思ったのだが、イタリア人は地元愛が強い人が多いので、話をさえぎりにくい。

しかし、控えめな彼は、それほどお国自慢に走らず、また、2泊と短い滞在なので、キッチンは使わない予定なので、部屋の説明も簡単に済ませてもらった。

「それより…」という感じで彼は言った。「実は、来年あたり日本に行きたいと思っているのですが、おすすめの町はありますか?」と尋ねてきた。

最近、日本に行ってきたとか、これから行く予定だとかいうイタリア人に会うことが多いが、来日する外国人観光客が増えているということを、肌で感じる。私は国内旅行は、歳取ってからでも行けるから後回しなんて思っていて、あまり日本のあちこちに足を運んでいない。まだ日本海だって見たことがない。

そんな私だが、日本で一番好きな観光地は奈良である。仏像・古墳好きの私は断然京都より奈良なのである。だけど、やっぱり外国人観光客にとっては京都の方が華やかかなあ。

とりあえず、「ちょっと地味かもしれませんが、私は奈良が好きです。大きな仏像や古いお寺がありますよ(さすがに古墳は外国人観光客にとって面白くはないだろう)」と言うと、彼は奈良のことは知らなかった。今後は、こういう質問も増えてくるかもしれないから、もう少し日本のことも知っておいたほうがよさそうだなあ。

さて、彼とお話ししているうちに、サン・ヴィート行きの電車の時間がせまってきた。このB&Bについては、あとでゆっくりウォッチするとして、とりあえず、また駅に舞い戻ろう!

3/13サン・ヴィート海岸旅行記 哀愁漂う蜘蛛の化け物に続く

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