メテオラ旅行記3 メテオラでは人のいるところには猫がいる

2017年3月7日
アギオス・ステファノス修道院

本日、チャータータクシーでまわる最後の修道院は、アギオス・ステファノス修道院である。

アギオス・ステファノス修道院

こちらがアギノス・ステファノス修道院。メテオラの修道院は、細長い岩の上に、危なっかしく乗っているものが多いが、アギノス・ステファノス修道院は、大きな岩の上に、どどんと安定して乗っかっている感じである。

アギオス・ステファノス修道院

アギオス・ステファノス修道院が乗っかっている岩は、幅があって、周囲の車道と同じくらいの高さであるため、アギオス・ステファノス修道院には、タクシーでかなり近くまで行くことができる。

タクシーでメテオラを回った場合、タクシーを降りた後に階段を上る必要がないのは、このアギオス・ステファノス修道院だけであった。

アギオス・ステファノス修道院

小さな橋を渡ると、すぐ修道院内に入ることができる。

アギオス・ステファノス修道院

入り口のところですぐに出迎えてくれたのが、猫ちゃん!

アギオス・ステファノス修道院

こちらは、深刻なスパイドラマみたいなシチュエーションになっている猫ちゃんズ。2匹いるのがわかりますか?

メテオラも本当に猫が多い。修道院の中にもたくさんの猫がいる。ネズミ対策として飼っているのだろうか。

ミコノス島もかなり猫の多い島だったが、メテオラの猫ちゃんたちは、ミコノス島の猫ちゃんたちより綺麗にしている。やはり強い潮風に吹きさらされるのと、山奥でマイナスイオンを浴び続けるのでは、毛並みが違ってくるのだろう。

この修道院は、尼僧院だそうだ。それなら、観光客に義務つけられているロングスカート(パンツスタイルの人には腰巻きを貸してくれる)は要らないような気がするのだが、ここでも腰巻きのレンタルをしていた。

メテオラでのロングスカート着用は、男性の修道士の修業を、女性のセクシャルな雰囲気=足が、邪魔しないためのものだと思っていたが、尼僧院でも着用義務があるということは、厳粛な修行地では、性別を捨てなければならないという象徴なのだろうか。

そういえばギリシャには、女人禁制で修道生活を営むアトス山というものもある。世界遺産で、それなりの観光地らしいのだが、女人禁制のため、私には無縁の場所だ。

男性だけの世界、女性だけの世界というものが、なぜ修行と結びつくのだろうか…などと考えてしまうのは、私は世俗的誘惑・娯楽が多様化している現代に生きているからなのだろう。

おそらくもう少し昔の時代は、世俗的誘惑のほとんどが、異性からの誘いだったのだ。現代では、何かを極めようとしたときに、異性を斥けるだけでは足りず、本、漫画、映画、テレビやパソコン、スマホなど、様々な娯楽から距離を置かなければならない。

それとも、こんな時代に何かを極めたいと思うなら、そのような世俗的な娯楽と距離を置くのではなく、自分で自分を戒めながら、上手に付き合っていく必要があるのだろうか。

内部では修学旅行生とかち合って、修学旅行生の動きを読みながら、フレスコ画やイコンを見学した。

ここは尼僧院ということもあってか、お土産屋さんが充実していた。修道女さんたちが、メテオラの石に、手描きでメテオラの絵を描いたマグネットや、手作りで作ったポーチなどを販売している。

お土産屋さんの中では、まさに目の前で、修道女さんがせっせとポーチに刺繍をしていた。それほど高額でもなかったので、メテオラ記念に、自分たち用のマグネットと、母にポーチを買った。

アギオス・ステファノス修道院から出て、待ちぼうけしていたチャータータクシーに戻り、いくつかのメテオラのビューポイントに寄りながら、宿泊しているホテルに戻ることにした。

タクシーで、ビューポイントへ行くと、

メテオラの猫

すんごいヒマそうな猫ちゃんたちが待ちぼうけをしていた。

メテオラの猫

メテオラの猫ちゃんたちは、雄大な岩場を自由に走り回って、お腹がすいたら、人間が集まってくるビューポイントや修道院前に待機して、ご飯をもらう生活をしているようだ。

観光客がご飯をあげなくても、この猫ちゃんたちにご飯をあげるボランティアのような人たちがいるようで(いわゆる地域猫活動)、猫ちゃんたちのカリカリ(乾燥タイプの餌)が、いくつかの場所に置いてあった。

猫ちゃんたちと遊びたい気持ちもヤマヤマなんだけど、メテオラのビューを見ようっ!

メテオラのパノラマ

奇岩と、その下に広がる町並み!

メテオラのパノラマ

この、いかにも断崖絶壁の上にあるという外観なのが、今日2つめに訪問したアギア・トリアダ修道院。あんな場所に、さっきまでいたなんて、ちょっと驚きだなー。

メテオラのビュー

メテオラでしか見れない風景が、こんなパノラマだろう。右側に見えているのがルサヌ修道院。

メテオラのパノラマ

手前がルサヌ修道院で、奥がアギオス・ニコラオス修道院。

メテオラのパノラマ

真ん中の岩の上に作られているのが、今日、最初に訪問したヴァルラーム修道院。

奇岩の上、高い場所に作られた修道院には、天国、神の国に近い場所で、修行したいという気持ちも込められているのだろう。

メテオラの修道院は、そのような謙虚な気持ちで作られたのだと思うが、バベルの塔の神話よろしく、現代でも「高さ」を競うタワーが世界中で建てられている。

塔の「高さ」が誇らしげに掲げられる背景には、人類の文明が、さらに上を、さらに先を目指すことを賞賛する思想があるだろう。文明の進歩は確かに素晴らしい。だが、いつか人類の方が、文明に追いつかなくなる日、その扱い方がわからなくなる日が来るような気がする。

それは、私が生きている間の話ではないかもしれないけれど、いつかそんな時が来たら、メテオラのこの風景は、何かを人類に語りかけてくれるだろうか。そんな日のためにも、世界の絶景は、「世界遺産」として残さなければならないのだろうなーと、ぼんやりと思った。

メテオラのパノラマ

ヴァルラーム修道院のアップ。

メテオラのパノラマ

こちらは、メテオラの奇岩の上の修道院の中で、一番高さのない、小さな修道院、アギオス・ニコラオス修道院。

メテオラ滞在中は、天気予報がかなり悪かったのだが、今日は、予報以上に天気が持ちこたえてくれた。完全な快晴とはいかなかったけど、雨が降らなかっただけでも大助かりであった。

途中で停車したパノラマスポットでは、タクシー運転手さんが、何枚も何枚も写真を撮ってくれた。

カランバカのタクシー運転手さんは、観光客によく慣れていて親切で、メテオラを回る手順も的確であった。

運転手さんが回るスポットは、やや、観光客用にルート化されている感じもあり、いかにも観光という感じにはなってしまうが、レンタカーなどで、自分で回ると、見逃してしまうビュースポットもあるのではないかという感じだった。

アテネでは、観光客から、ほんの細かいお金でもぼったくってやろう、と構えているタクシー運転手に時に遭遇するのだが、メテオラ・カランバカのタクシーは評判がよい。実際に利用してみると、評判通りに安心して使うことができた。

カストラキのホテル

最後は、ホテルの前まで送ってもらって、タクシーチャーター3時間のメテオラツアーは終了した。

今日はタクシーを使ったが、明日からはガンガン歩く(つもりだった)ぞ!

メテオラの奇岩が迫って見える、カストラキの町も想像していたより雰囲気がよい。カストラキの町も、明日、明後日と、たくさん歩きたい(と思っていた)!