メテオラ旅行記4 シャワーは「ぽっぽっ」と言うだけさ…

メテオラ一日目は、タクシーで3つの修道院を周り、メテオラの麓町カストラキのホテルに戻ってきた。

カストラキのホテル

こちらが今回宿泊したホテル。聖地メテオラには宿泊施設はないため、メテオラに宿泊観光する人は、ふもとの小さな村カストラキか、ちょっと離れた鉄道駅のあるカランバカにホテルを取る。

カストラキには宿泊するだけと思っていたが、カストラキは、背後にメテオラの奇岩が迫っていて、思った以上に雰囲気のよい村であった。

カストラキの奇岩

本当に不思議な光景だなあ。はげ山というわけではなくて、奇岩なのだ。メテオラの奇岩は、形だけでなく、石自体に、縦・横・斜めの線模様が入っているのが面白い。

奇岩は、森林と違って簡単に伐採したり切り取ったりできるものではないので、昔からの風景が、残されていることが多い。そのため、変わりにくい光景として、信仰・崇拝の対象になりやすいのだろう。

人間と比べると、永遠性が高い岩石だが、岩石も時間には克つことができない。中島みゆきの「永久欠番」という歌では、「どんな記念碑も雨風に削られて崩れ…」と歌われる。私はどちらかというと、こういう奇岩を見て、「永遠性っていいなあ」と思うより、「こんな岩石もいつかは崩れていくんだよなあ」と思ってしまう。

日本の昔からの考えで言えば「諸行無常」、現代科学風に言えば「エントロピーの増大」。人間がこれらを克服するのは、どんなに文明が進んでも無理なのではないかという気がする。だとすると、「諸行無常」は、乗り越えようとするのでなく、うまくお付き合いするのが上手な対処法、ということになる。

つまり、アンチエイジングではなく、上手に歳を取れ!ってことね!素敵なおばちゃん、素敵なおばあちゃんになれますように!

…そのような、長期的な願い事をする前に、今の私は、まずは今引いている風邪を治さなければならない。カストラキの町をあちこち歩き回りたかったのだが、大事を取って、さっさと夕ご飯を食べて、今日は早めに休むことにした。

カストラキの村は小さい上に、観光のシーズンオフとあって、ほとんどのお店が開いていない。ホテルのフロントで開いているレストランを教えてもらって、出かけることにした。

レストランまで歩く途中で見えた奇岩。姉いわく、真ん中の印象的な細い岩が、カストラキを象徴する風景らしい。

カストラキ

この真ん中の細い岩。自然にできたとは思えない、人工的な雰囲気の漂う岩だ。でも、よく考えれば、人間も自然の一部なので、「人工的」も「自然」の一部なのかもしれない。

まあ、でも、あの岩のてっぺんは、いかにも空から舞い降りてきた何かが、降り立ちそうな感じだよなー。「人間ども、よーく聞け!」みたいな。

カストラキのレストラン

入ったのは「Taverna Gardenia(タヴェルナ・ガルデニア)」という、ギリシャ料理のお店。というか、他のお店はほとんど開いていなくて、ここ一択であった。

シーズンオフとは言え、カストラキにはぽつぽつと観光客がいて、そのほとんどがこのお店に集結していた。カストラキはメテオラ観光に来る観光客で成り立っている村ということもあり、ホテルもレストランも、スタッフが英語が堪能で、穏やかで優しい対応が多い。

メニューも英語が併記してあり、選びやすかった。

カストラキのレストラン

バルサミコ酢がけのサラダ。風邪ひきだから、野菜をいっぱい食べてビタミンを摂らないと!

カストラキのレストラン

こちらは「本日のスープ」。野菜がいっぱい入っていて滋養たっぷり。ちょっとスパイシーな味がした。スパイスが身体を温めてくれて、風邪に効くといいなあ。

カストラキのレストラン

代表的なギリシャ料理「スブラキ」の、鶏肉バージョン、「チキン・スブラキ」。レモンをたっぷりかけて、ビタミンCを摂って、風邪を治さないと(そればっかりだな…)!

付け合わせはフライド・ポテトだが、ギリシャのフライド・ポテトは、ファーストフードの味ではなく、脂っこくなく挙げてあり、ハーブで味つけされているので、さっぱりしていて食べやすい。

ちなみにギリシャのハンバーガーも、ファーストフードではなく、しっかり作られているので、美味しいことが多い。ギリシャ・ハンバーガーは、現代のギリシャ料理の代表として、ギリシャ料理店でおすすめされることもある。

カストラキのレストラン

食後にエスプレッソを頼むと、サービスで小さなケーキがついてきた。ギリシャのレストランは、デザートがサービスで出てくることが多い。

これだけ食べて、トータルは€22。やっぱりギリシャのレストランは安いなあ。カストラキのレストランは、ここしか開いていないので、明日もここに入るしかないのだけど、値段も安く、味も美味しかったのでヨカッタ!

さて、ホテルに帰ったら、さっさとお風呂に入って、グーグー寝るぞ!さっさと風邪を治すぞ!

カストラキのホテル

今回は、バスタブのある部屋を選んだ。旅行中に風邪を引く予定ではなかったけど、結果的にバスタブがあって、身体を温められるのでヨカッタ!と、喜ぶのはまだ早かった。

姉が「先に入って早く寝ていいよ」と言うので、私が先に入った。バスタブがあるといっても、ユニットバス方式なので、まずはお湯をためて、身体を温めた。ここまではヨカッタ。

それから、シャワーで身体を流そうとすると、バスタブへの給湯と、シャワーを切り替えるレバーの調子が悪い。シャワーに切り替えても、シャワーは「ぽっぽっ」という音がするだけで、ほとんどお湯が出てこない。えー。

部屋にいる姉を呼んで、見てもらうけど、やっぱりシャワーは出てこない。風邪だからといって、喜んでバスタブで温まった私の身体は、冷えていくだけだよ…。

シャワーはほとんど出てこないので、バスタブにためたお湯で、髪を洗って(もう濡らしてしまっていたため)、身体を洗って…お風呂に膨大な時間がかかってしまった!そして、もちろんだが、こんな入り方が風邪を引いている身に良いわけがない。

とりあえず私が上がってから、姉がフロントに連絡して、お風呂を見てもらった。家族経営している小さなホテルなのだが、シニア世代のパパがやってきて、お風呂を見て「アイムソーリー、イッツブロークン」と言う。

このホテルには3泊予定である。ブロークンであるからには、当然部屋は替えてもらえるのだが、今日はもう部屋のメイキングができる人がいないので(パパはできないらしい)、部屋を移動するのは明日になってしまうらしい。姉は、今夜は顔だけあらって、シャワーは明日、部屋を移ってからしっかり浴びることにした。

それにしても、ヨーロッパのバスタブ付きのお風呂は、こういうトラブルが多い。バスタブへの給湯とシャワーを切り替えるのは、ムズカシイことなのだね…。シャワーしかついていないシンプルなシャワーボックスでは、こういうトラブルはあまりない。

姉も私もバスタブ大好きなので、よくバスタブ付きの部屋を選ぶけど、これからは、よほどいい設備を持っているホテルでない限りは、バスタブ付きの部屋は、むしろ選ばない方がいいのかもしれないなあ。

そんな教訓をくれた「ぽっぽっ」シャワーだが、できればそんな教訓は、私が五体満足の時に垂れてほしかったよ。この風邪に確実によくないお風呂の入り方をしたツケは、明日の私の身体にずっしりとのしかかってくることになるのだぜ…。