ミコノス島旅行記3 風激しく吹けど、風車回らず

ミコノス島の風車

2017年3月2日
リトルヴェニス
6つの風車
アリ・ミノの丘の風車

オバケ教会(パラポルティアニ教会の異名。私が勝手につけた)を見た後は、リトルヴェニスと呼ばれるエリアを通った。

ちなみに、リトルヴェニスの「ヴェニス」は、英語で「ヴェネツィア」のことである。イタリア旅行マニアの私から見ると、リトルヴェニスのどこが「小さなヴェネツィア」なのか、わからなかった。海にざっぱーんと面したレストランなどがあるエリアである。

姉いわく、「シーズンオフでお店が閉まっているから雰囲気が出てないんだよ。夏場は華やかになるんじゃないの」とのこと。しかし、華やかになったからと言って、何がヴェネツィアなのだろうか。またもや姉いわく「海に面しているからだよ」。いや、ヴェネツィアは海じゃなくて運河に面してるんですよ、運河に。

と、リトルヴェニスに難癖をつけながら歩いて行くと、6つの風車が現れた。

ミコノス島6つの風車

写真には4つしか写ってないですけどね、6つあるんですよ!ミコノス島の象徴といわれる風車たちで、おりこうさんに並んで、海の方角を見ている。

しかし、オフシーズンのため、観光客もほとんどいない。6つの風車の周囲は駐車場になっていて、観光客が少ないせいか、妙にその駐車場の存在感が気になる。

しかも、駐車場は猫ちゃんだらけであった。駐車場に不法投棄されているのか、それとも猫のために置いてあるのか、でっかいベッドが転がっていて、そのベッドに、気持ちよさそうに多数の猫ちゃんが転がっていた。

猫好きの私が、なぜその写真を撮っていないのかというと、猫好きの私ですら、猫を見つけて歓声をあげなくなるほど、ミコノス島は猫が多かったのだ。そして、おそらくだが、自分が認識している以上に、無意識の領域で私はペトロス探しをしていたのだろう。私の五感が、猫ではなくペリカンを見つけるセンサーに切り替わっていたのだ。

ミコノス島の風車

おっ!ちょっと天気がよくなってきたね!地中海のリゾート地には、青空が本当によく似合う。

写真からは伝わらないと思うが、この辺も実に風が強かった。これだけ風が強いと、風車が回るのではないかと期待していたのだが、風車はやや身じろぎするだけで、ちっとも回転しない。

以前は、粉ひきに使われていたという風車だが、現在では全く使われず、観光のシンボルになっているようだ。せっかくの風車なんだから、せめて、カラカラと回ればいいのになあ。風で回るようにすると、保存が悪くなるのだろうか。

ミコノス島

6つの風車エリアから、リトルヴェニスがよく見える。しかし、この角度から見ても、やっぱり何がヴェネツィアなのかわからない。私はリトルヴェニスに厳しすぎるだろうか。

さて。6つの風車まで来たと言うことは、ミコノスタウンの海沿いを端まで来てしまった。これからどうするよ~?

6つの風車の近くには、スーパーマーケットがあるという情報を姉がゲットしていたので、とりあえず、水などを購入して、いったんホテルに戻ることにした。

ミコノス島スーパー

こちらがミコノスタウンにある、おそらく唯一の大きめのスーパー。その名も「Food Market」。直球勝負の名前がステキだよ!

ミコノス島は1泊なので、キッチン付きのホテルには宿泊していない。なので、とりあえず飲料水と、それから、市販のグリークヨーグルトに興味があったので、購入してみた。お願いしたら、使い捨てのスプーンもつけてくれた。

ホテルに帰って、さっそくヨーグルトを食べるぞっ!

ミコノス島ヨーグルト

ギリシャ語で「ヨーグルト」はΓΙΑΟΥΡΤΙ(ヤウルティ)である。こちらが、そのヤウルティであるのだが、ギリシャの市販のヨーグルトは、日本のヨーグルトと違って、縦長の容器ではなく、クリームチーズとかが入ってそうな、背が低い容器に入っている。

そのため、お店で、最初はどれがヨーグルトなのかわからなくて戸惑ったのだが、何とかΓΙΑΟΥΡΤΙの文字を見つけて、こちらを購入した。私の、中学1年生の最初の1週間程度の英語力に近いギリシャ語力(いや、今は小学生から英語を習うから、小学生英語以下のギリシャ語力だな)が、役に立った、世にも珍しい例である。

グリークヨーグルト

私は今まで、ホテルの朝食や、ヨーグルトバーでグリークヨーグルトを食べたことはあるが、市販のグリークヨーグルトは初めてである。さあ、記念すべきファーストバイトっ!

…まずっ!

思わず顔をしかめた瞬間を、姉に激写されてしまった。スゴイ写真が撮れたのだが、もちろん門外不出である。

ヨーグルト好きを公言している私にとって、このヨーグルトをまずいと感じるのは由々しき事態である。しかし、強がりではなく、食べているうちにこのヨーグルトの味に慣れてきた。

パッケージを見るにつけ、ちょっとナチュラルテイストな、自然の味が強く出ているヨーグルトを買ってしまったのかもしれない。そのため、最初は独特の味が強すぎて驚いたが、どんどん舌や胃が慣れていった感じだ。うん、美味しいじゃん。強がりじゃないよ(何に対して強がると言うのか)。

ヨーグルト休憩を挟んで、また、我々はミコノス・タウンをブラブラすることにした。とは言っても、セント・ニコラス教会も見たし、パラポルティアニ教会も見たし、6つの風車も見たし…あと、どこに行こうか?

ミコノス島の観光マップを見ると、「アノ・ミリの丘の風車」という風車がぽつねんとある。「ここ行ってみる価値あるかな?」と姉に聞いてみると、「いずれにせよ、他にやることもないし、行けばいいさ」というお答え。実に鼻息が穏やかな観光である。

ミコノス島

「アリ・ミノの丘の風車」は、丘の上だけあって、ぽちぽちと階段を上って行く。なんだか南イタリアのアマルフィを思い出す風景だなあ。やっぱり、エーゲ海の島々の町と、南イタリアの町は似ている町が多い。さすがマグナ・グラエキア(その昔、古代ギリシャ人は、南イタリアへ渡ったそうだよ)。

で、「アリ・ミノの丘の風車」が目の前に現れたのだが…

あいやー………。屋根部分が剥げちゃってるじゃないのよ…。しかも、もっと重要なこと!風車のハネ部分がナイ!もはや風車ではないよっ!

私は姉を見た。「これ、風車じゃないじゃん。アリ・ミノの丘の風車ってこれじゃないんじゃないの?」。姉は地図を見て、「いや、あり得ないね。コレだね」と言う。

ホテルでもらったミコノス島の観光マップに、このアリ・ミノの丘の風車は、藁葺きの屋根と風車のハネがついたイラストで描かれているが、それは現実を描いたものではないようだ。印象派の絵であった(いや、でも、コレを見て、屋根とハネの印象なんて持てないけど!)。

でもですね、剥げちまったこの風車を見に行く価値はないのか、というと、実はあるんですよ。まず、この風車がある一帯が、ノンビリとお花が咲いてて、いい感じ。

ミコノス島

こんな風に、のどかなお花の前を、猫ちゃんが闊歩している。そして、その向こうに海が見えていることからわかるように、このアリ・ミノの丘は、眺望がよいのである。

きらめく海に、さっき行ってきたばかりの6つの風車が映えている。こうやって見ると、6つの風車も、1つは屋根が欠けてるなあ。しかし、あっちの風車ズは、6人で固まっているのに、こちらの風車は孤独で、しかも屋根も風車部分も失っている。そう書くと、アリ・ミノの丘の風車は、「カモメのジョナサン」みたいでカッコイイじゃないのよ。風車のジョナサン。

さて。では、丘を下りながら、またミコノス・タウンを鼻息穏やかに練り歩こう。

ミコノス島

相変わらず白い家が続く中、黒いアヤシイ物体を発見。私「お姉ちゃん、あれ、犬かな?それともモップを干してるだけ?」。姉はよーく凝視してから「モップだね」と結論づけた。

もっと近くを通ったら、このモップが急に動いてビックリしたあ!要するに、犬だったのだ。ああ、ミコノス島は平和。

ミコノス島

丘を下っていく道は、やっぱりアマルフィを思い出す感じの道。ただし、生活感あふれていて、雑多な雰囲気がするアマルフィより、リゾート地だけあって清潔で洗練されている。歩きやすい。つまり犬の○○○がない。

テキトウに歩いていると、オバケ教会(パラポルティアニ教会)の前に出てきた。ふーむ。ミコノス・タウンは本当に小さいわね。こうなったら、道という道を歩き通してやろう、と、またタウン内の迷宮へと、地図も見ずにフラフラと入っていく我々。

ミコノス島

かわいらしい、赤屋根の教会。ミコノス島の教会は、青い丸屋根教会もあれば、赤い丸屋根教会もある。エーゲ海の教会といえば、青い丸屋根というイメージがあったので、赤いドームが新鮮である。

ミコノス島

このお店は、観光客の目を惹こうとしているのがミエミエ。だまされまいぞと思うが、ついついカメラを向けてしまう観光客。観光客の負け~。

ミコノス島

この道は、もともと狭い上に、サボテンが密集して暗がりを作っていて、少し怖かった。ミコノス島の肝試しスポット(というほどは怖くない)。

オフシーズンのミコノス島は、ほとんどのお店が閉まっていて、静かだ。リゾート地としては物足りなく感じる反面、静かにのんびり過ごせる利点もある。

ただし、気になるのは、まだペトロス(ペリカン)に会えてないんだぜ。我々が、ブラブラとミコノス・タウンを無為に歩き回ったのは、やはりどこかで、ペトロスに会おうという心理が働いていると分析されるだろう(誰に?)。