ギリシャ旅行記2017プロローグ アリタリア航空変身物語(と、その落とし穴)

アリタリア航空

2017年3月1日。2017年の旅行の始まりである。

今年は、まずはギリシャを周り、その後、イタリアへ移動するという、ギリシャ・イタリア旅行。同行者は姉である。

日本からギリシャへの直行便は、2017年現在、運航していないので、乗り継ぎ便を探さなければならない。

昨年の秋に、アリタリア航空のセール期間に、かなり安い航空券が見つかった。アリタリア航空は快適とは言い難い航空会社ではあるが、あまりにもお得な値段だったため、アリタリア航空を使い、ローマ経由でアテネに入ることとなった。

姉と私にとって、ギリシャは2回目、イタリアは8回目である。さらに、今年は、例年の反省から、旅行準備を早めに始めたので、余裕で旅立てるハズであった。

しかし、旅行が1ヶ月前に迫った2月、姉が不穏なことを言い出した。

「あのさ、デロス島に向かう船の時刻表がなくなってしまってるんだけど!」

デロス島は、今回のギリシャ旅行の目玉での一つである、古代遺跡の残る無人島である。無人島ということもあり、旅行オフシーズの冬季には、デロス島に向かう船の便数が少なくなる。しかし、少なくなるとはいえ、週に2便ほどは運行していることを、2016年の年末に、船会社の公式サイトで確認してあった。

しかし、年が明けてから、この時刻表が更新されず、2017年の1月からはこの船が運航しているか不明な状態となってしまった。しかも、トリップアドバイザーのデロス島のレビューは、2017年になってからピタっと投稿が止まっている。…まさか、デロス島へ行く船がなくなってしまってる…?

すったもんだの挙げ句、結局、我々の旅行期間中は、デロス島行きの船は運航されることが判明したのだが(1月は運休していたらしい)、それが判明したのが出発10日前くらい。ギリシャ観光局に問い合わせたり(返事はなかった)、デロス島ツアーを組んでいる旅行会社に問い合わせたりと、この件でバタバタしたのが姉であった。

そして、私はというと、私は「保険係」なので、出発1ヶ月を切ったあたりで、そろそろいつもの損保ジャパンの「off!」に、いつものプランで入るか…とオンライン手続きしようすると…えっ?何、この金額?何で、2年前にほとんど同じプランで入ったときの2倍の金額が提示されてるの???

何かの間違いだろうと調べたところ、1年ほど前に、海外旅行保険が大幅値上げされたことが、海外旅行者の間で話題になっていた。昨年は海外旅行に行かなかったから、このホットな話題に乗り遅れてたぜ…!

しかも、値上げといっても、少々のアップといったかわいいものではなく、ほとんど2倍の金額。いやいやいや、海外旅行でお金を大量紛失しないための保険なのに、保険に入るために高額なお金を使ってたら意味ないだろ!と、急いで他の海外旅行保険を練り直した。

他にもアリタリア航空のマイレージカード作り騒ぎなどもあり(後日レポートします)、余裕で構えていたはずのギリシャ・イタリア旅行2017であったのに、姉も私も、出発1ヶ月前は、毎日毎日毎日、旅行の準備で忙殺されることとなったのである。

そうやって迎えた旅行の出発日。何だか、姉も私も、既に旅行に出かける前からグッタリ疲れていた。よく、自分たちの準備不足で、出発日の前日に徹夜で準備してボロボロになっていることはあるのだが、今回に限っては、悪いのは我々ではナイ。デロス島と保険だよっ!

それでも成田空港には、フライトの2時間弱前には到着するという、優秀な我々であった(普通ですよ、普通)。

今回は、世の中の新しい流れに乗って、2日前にアリタリア航空の公式サイトで、Webチェックインとやらを済ませておいた。

このWebチェックインのシステムが導入されたことと関係あるのか、空港のカウンターはガラガラに空いていた。ここで荷物を預けて、搭乗券を受け取って、手続き完了。確かに、Webチェックインを済ませておくと、空港での手続きは早く済むかもしれない。

あとは時間がタップリあったので、両替をしたり、ドコモショップで海外での携帯電話の使い方を確認したりした(年に1回のことだからすぐ忘れる)。我々はいまだにケータイ族なのだよ!とはいっても、姉がタブレット様を持参してきているよ!カッコイイよ、姉!(普通です、普通)。

アリタリア航空の搭乗は、35分前から始まった。この搭乗時間が、年々早まっているような気がする。あー、今年もアリタリア航空だなー。また、もっさりした機内環境にコンニチワだな…と思いながら、機内に足を踏み入れてみると…。

何か、機内が明るくなっている!

アリタリア航空

赤を基調とした、モダンな感じに改装されているよ!

アリタリア航空

毛布も、赤色!黄緑色の縁取りが可愛いよ!ビニールから取り出してみると、手触りも格段に良くなっていた。

CAさんのユニフォームも、赤で統一されていて、赤色を着こなすのって難しいだろうけど、機体の新しさと相まって、なかなか良い具合に映えていた。

アリタリア航空

そして、何より、座席のモニターが、日本語対応している!

アリタリア航空の座席モニターというと、壊れていること日常茶飯事で、まずは「つくかつかないか、それが問題だ」であり、日本語対応など夢のまた夢だったわけだが、非常に美しくてモダンで、日本語で操作できるモニターへと変身していたのである。

しかも、画期的なことに、モニターを操作するためのリモコンがなくなっていた。

このリモコンが、座席の横についていたことで、ただでさえ狭いエコノミーの座席が、さらに狭くなってしまっていたのだが、リモコンがなくなったことで、快適に座れるようになった。座席のライトをつけるのも、CAさんを呼ぶのも、すべてタッチパネル式のモニターで操作できるようになっていた。

このように、これから訪問する町の、天気予報だって見ることができて便利!画像は、明日訪問するミコノス島の天気予報である。(ミコノス島…天気予報があんまりよろしくないのが気になるぜ…)

やればできるじゃん、アリタリア航空!アリタリア航空は、経営難のため、エディハド航空の傘下に入ったらしいのだが、そのエディハド航空がしっかり管理してくれているってことだろうか。

しかもしかも!2年前に利用したときは、味が落ちたなあ…と感じたアリタリア航空の機内食であったが、やや持ち直していたのであった!

アリタリア航空

こちらはイタリアンを選んだ私の機内食。

アリタリア航空

こちらは和食を選んだ姉の機内食。

野菜も増えているし、味もなかなか良かったし、何より、トレーに敷いてあるアリタリア航空のロゴ入りシートとか、見た目のイメージが良くなっている!いやー、見た目って大事なんですなあ。

そんなわけで、まさか、アリタリア航空が、こんなにモダーンな機内環境になっているなんて、みじんも期待していなかったため、姉も私もかなり上機嫌になった。予期せぬプレゼントというものは、人を幸福にするのである。

搭乗してからしばらくの間、姉と私に絶賛され続けたアリタリア航空だが、されどアリタリア、やはり落とし穴があった。

ふと気付くと、機内が異様に寒いのである!

姉が、CAさんに「毛布をもう一枚頂けませんか?」とお願いしてみたが、余っていた毛布は、既に他の乗客が使ってしまっているとのこと。見回すと、ほとんどの乗客が、毛布やコートにくるまって縮こまっている。我々が寒がりなのではなく、機内が絶対温度的に寒いのだ!

私は寒さ対策には余念のない温活女なので、ユニクロのポータブルダウンや、レッグウォーマーなど、持参した温活グッズフル装備で何とか乗り切った。今まで、機内が暑くて疲弊したことはあったが(2013年オランダ航空)、こんなに寒いのは初めてであった。

実は、この後、旅行中に姉も私も体調を崩してしまうのだが、この極寒の機内が、じわじわと我々の身体に負荷をかけていたのではないか、という疑念は拭えない。今後改善の見込みはあるだろうが、アリタリア航空を利用する方は、寒さ対策グッズは機内に持ち込んだ方がよいのではないかと思う。

アリタリア航空

こちらは、ローマ空港到着直前に出た「朝食」。ローマ空港到着は午後7時なのだが、何時に到着しようと、アリタリア航空の2度目に出てくる機内食は「朝食」なのである。なぜかって?そりゃ、イタリア人は朝食をたくさん食べない習慣があるから、朝食扱いにした方が、経費削減ってわけで…。

まあ、「朝食」でも何でも、それなりに美味しかったし、機内が極寒であることを除けば、快適な空の旅で、ローマに到着したときも、私はそれほど疲れていなかった。

さて、ローマ空港では、アテネ行きの飛行機に乗り換えなければならない。ローマでアテネ行きに乗り換えるとか、古代ギリシャ・ローマ好きの私にとっては、それだけで「萌え」な旅程である。

ローマ空港

乗り換えの場合は、「Transiti(イタリア語でトランジット)」の表示の方へと進む。まずは、ここでいったん荷物検査があった。

荷物検査の後は、ターミナルの移動である。途中に電光掲示板がいくつも見つかるので、その電光掲示板を見て、自分の次のフライトのためには、どのターミナルに移動しなければならないのかを確認する。

ローマ空港

我々が搭乗するアテネ行きの出発ゲートはC09なので、ターミナルCへと移動しなければならない。ちなみに、C09の前に描いてある数字は、この電光掲示板のある位置から、7分くらいで移動できるという意味である。

ローマ空港は、イタリアだから、さぞかし混沌としたわかりづらい空港だろうと思うかもしれないが、意外と乗り換えはしやすい空港である。

また、ローマ空港と言えば、「大きくて古くてもっさりした空港」というイメージだったのだが、このローマ空港も、生まれ変わっていた!

ローマ空港

明るくキレイになっている!ターミナル表示もわかりやすい!どうした、イタリア!?オリンピック誘致でも狙っているのだろうか!?キレイになったのはいいんだけど、以前と変わっているせいで、昔、乗り換えの際に必ず前を通っていた、ジェラート屋のVenchiが見つけられないようっ!

アテネ行きの飛行機への乗り換えには3時間近く時間があったため、エスカレーターで、2階の「Eat&drink」コーナーへ行き、一息つくことにした。

なかなかこぎれいで、落ち着くエリア。本当にローマ空港はきれいになったよ。このエリアには、ピアノがあり、演奏の音が響いてていて、良い雰囲気であった。最初はプロが弾いているのかと思ったが、誰でも好きに弾いていいらしく、若者グループが代わりばんこに弾いていた。

ローマ空港

スプレムータ(オレンジ生搾りジュース)で、きれいになったローマ空港に乾杯っ!しかし、姉は言った。「きれいになったというか、新しくなって、単に今、新しいからきれいなだけなんだよね。どうせまた時間が経てば、もとのもっさりに戻るんじゃないの」。…そ、そうかもしれないなあ。

スプレムータでリフレッシュした後、ターミナルCへと移動した。ターミナルCに入る直前に、入国検査があった。

入国検査では、パスポート以外に搭乗券も必要である。入国検査の列を整理している女性スタッフが、「チケット、チケット、チケット!!!」と、1分間に何回「チケット」と発しているだろうという感じで叫んでいた。でっかく書いて、掲げておけばいいのになと、日本人は思ったよ。

入国検査は、意外とどの窓口も、ひとりの人を通過させるのに時間がかかっていた。滞在期間とか、渡航理由などを、しっかり聞かれているようだった。やっぱり、世界情勢がそうさせるのだろうか。

しかしその中で、日本人女性は、格段に簡単に通過できていて、日本人女性が並んでいる窓口は列の進みが早い。姉も私も、パスポートをちら見されただけで、何も聞かれなかった。ただし、日本人の必需品・マスクをつけたまま入国検査を受けると、ややこしいことを聞かれるかもしれないので、マスクは早めに外しておいた方がよい。

さて、この入国検査を通過すると、ローマ空港の「こぎれいエリア」は終了し、昔のもっさりしたローマ空港が登場した。姉いわく「工事したエリアだけがキレイなんだね」。残念ながら、我々がアテネへと向かう便の出発ゲートが含まれるターミナルCは、リニューアル工事が行われなず、昔の顔のままであった。

というわけで、ローマ空港のリニューアルの恩恵に預かれるかどうかは、どのターミナルを利用するかで決まるということだね!

ローマ空港

さて。この便でアテネへと入る。出発が21:50なのに、搭乗開始時刻(Boarding Time)は40分前の21:10と、ずいぶん早い。本当に、フライトの搭乗開始時刻は、どんどん早まってきている傾向がある。

ローマからアテネまでは、ちょうど2時間のフライトである。アテネの方が、時差1時間分日本に近いのに、いったん日本からローマまで飛んで、そこからアテネに向かうのは、考えてみるとずいぶん無駄な動きである。トルコあたりで乗り換えた方が、効率がいいのかもなあ。

しかし、そんなこと飛行機に乗ってから考えても、どうすることもできないのである。航空券を購入するときに考えるべきね。だが、私の脳みそは、常に後からしか考えることができない。自分が未来推察型ではなく、過去省察型の人間であることに気付かされる、2017年の旅行っ!

アリタリア航空

かなり夜遅い便にもかかわらず、機内ではおやつとお茶がサービスされた。アリタリア航空のおやつ・スナック類は、美味しい。アリタリア航空の一番いいところを挙げてくれと言われたら、私は間違いなく「スナック」と答えるだろう。

おやつを食べたら、急にすさまじい眠気が襲ってきて、私はぐっすりと眠りに落ちた。夢も全然見なかった。なので、意識がなくなったと思ったら、あっという間に飛行機の着陸する振動で、目が覚めたのである。

姉も同じように、ぐっすりと寝込んだようで、着陸の音と共に、腕時計を見て、「えっ!?もう着いた!」と驚きの顔を私に向けた。この便は、アテネ深夜到着で、深夜0:50到着のはずが、姉の腕時計は、夜11時半を過ぎたくらいを差していたのである。

やったー!1時間も早く着いた~!と、私が愚かな考えを一瞬でも巡らせたとき、隣に座っていた男性が、我々が時計を見て驚いているのを見て、「ワンアワー」と言って指を振った。…あっ!時差かっ!

イタリアとギリシャは1時間の時差があるんだったよ!だから、ローマで時計あわせをした姉の時計は23時半過ぎだけど、今、アテネの現地時間は0時半過ぎなのだ。つまり、到着時間は定刻通りでありますね。1時間も早く着くわけがないでありますね。

さてさて。ようやく着いた、アテネ国際空港。まずは、旅行における最初の運試し「荷物が無事に届くか」のコーナーである。

姉も私も、ロストバゲージにはまだ一度も遭ったことがないが、そろそろ遭遇するんじゃないか、と、常に覚悟を決めている。覚悟の決めすぎで、ロストバゲージにあっても大丈夫なように、1~2泊分の荷物は、お互いに交換して相手のスーツケースに入れさせてもらっている。

今回こそ、そろそろだ…と、二人で言い合っていたのだが、我々のスーツケースは、無事に流れてきた。ロストバゲージってのは、油断して、何も対策を取ってないときにこそ起きるんだろうなあ。人生って、どうしてそうなんだろ。ま、人生がどうしてそうなのかは、実際にロストバゲージに遭ったときに考えれはいいことである。

アテネに深夜の1時に着いた我々。今日は、このまま、空港に隣接している「ソフィテル・アテネ・エアポート」に宿泊する。最初のギリシャ旅行の時にも利用したホテルである。二人で1泊1万5千円以上の高額出費ではあるが、空港を出ると、すぐ目の前にあるホテルなので、深夜着の場合は、値段を考えてもココの利用が便利なのだ。

ソフィテル・アテネ・エアポートは、一言で言うと、何の不安もストレスもなく泊まれるホテルである。対応もしっかりしているし、日本のホテル並みにアメニティも揃っている。

姉は、今後もこのホテルには宿泊する機会がありそうだ、ということで、ソフィテル・アテネ・エアポートを経営しているグループ「ACCOR HOTELS(アコーホテルズ)」の会員になっていた。フロントでは、「あなたが会員登録してくれたお礼に、今日のホテルの部屋は、特別に、本来エグゼクティブ専用の7階の部屋にアップグレードしています」と言われた。

イエイっ!アップグレードっ!…と、浮かれて7階に行ってみたのだが…

ソフィテル・アテネ・エアポート

3年前に宿泊した部屋と、ほとんど同じであるよ。というか、頼りない記憶をたぐり寄せてみたら、3年前も7階に宿泊した気がするよ。アップグレードって何のことだろう…。

ソフィテル・アテネ・エアポート

でもね、こんな風にアメニティがばっちり揃っているのはありがたいんだよ。ヨーロッパのホテルにしては珍しく、リンスもあるんだよ。わざわざスーツケースから出さなくてよくて嬉しいんだよ!

他にも、スリッパとか、身体を洗うためのヘチマとか、水のボトルとか、3年前にも備えてあったものは、今回もしっかり用意してあった。

しかし、3年前にはチョコレートが置いてあったのに、今回は無かった。アップグレードじゃなくて、ダウンしてますぜ、ソフィテルさんよ(チョコレートがそんなに欲しいかって?欲しいんだよ。だって美味しかったんだよ)。

とにもかくにも、もう、眠くてしょうがない。国際線の長時間フライトの後、こういう、何も考えなくていいホテルに宿泊できるのは本当にありがたいことである。

明日は、朝9:50分の飛行機で、ミコノス島へ飛ばなければならない。でも、空港はすぐそこ。ギリギリまで眠るよ!ソフィテルホテルのフカフカのベッドに滑り込んだ瞬間、私は心地よい眠りへと落ちていた。