3/12レッチェ旅行記8 先生、宿題が多すぎます!
レッチェ歩きは続くニャ!
フラフラ歩きで素敵な教会やお屋敷が、次々に現れるレッチェ!
レッチェは、バルコニー下の装飾が華麗なお屋敷が多いのだが、このお屋敷は三美女が2組に分かれて、バルコニーを支えているよ!しかも頭で!
この美女たちは、ふんわり美人だなあ。癒やされるような微笑みである。
美女たちは、よく見ると羽をお持ちなので、天使さんたちであった。天使だから、天使パワーで、頭の上のバルコニーが重くないのだなあ。ペッローニ通り(Via dei Perroni)にある、グラッシ館(Palazzo Grassi-Cattani)と呼ばれるお屋敷である。
それからどうしたニャ!
フラフラと歩きながら、B&Bのオーナーが、蛍光マーカーをつけてくれていたサンタ・キアーラ教会を何となく目指してみた。サンタ・キアーラ教会は、レッチェの路地を抜けた、開けた広場に面していた。
真っ直ぐな屋根が印象的な教会。レッチェのバロック教会にしては、曲線が少なく、珍しく男性的に見える教会。美人さんじゃなくてイケメン。
サンタ・キアーラ教会は、こんな開放的で、旧市街から抜けたかのような場所にある。そのため、私は、城壁を出たと勘違いしてしまい、この後の町歩きは方向感覚が狂ったままだった。
私の方向音痴のせいもあるが、それだけでなく、レッチェは狭い路地が続いて迷宮チックな上に、予想していたより広い。半日程度では、とても旧市街内を歩き尽くせない。
何だかどこを歩いているのかよくわからなくなった私に反して、姉はしっかり地図について行っていた。
姉「この路地のあたりから、ローマ劇場跡が見れるはずだよ」。
姉「ほれ、見えた」。
私「…えっ?ここ、サン・ロトンツォ広場の、う、裏手?えっ?」
姉「………アンタ、本当に大丈夫?どこをどう歩けばサン・ロトンツォ広場の裏に出たと思うわけ?これは、ローマ劇場跡。サン・ロトンツォ広場にあるのは、ローマ闘技場跡。だいたい、大きさが全然違うでしょ!」
さ、さいですか~。レッチェには、「ローマ闘技場跡」と「ローマ劇場跡」があるわけですね。まあ、闘技場跡と劇場跡の二つが残っているという町は多い。闘技場ではスポーツ観戦、劇場では音楽鑑賞と観劇と、ローマ人の娯楽は多様だったわけだ。体育祭と文化祭の原型ですねえ。
姉が必死で撮影した「ローマ劇場跡の木で爪研ぎをする猫ちゃんの図」。レッチェは猫ちゃんの多い町だが、このローマ劇場跡は、猫国だった。ちなみに、この劇場跡、夏場は入れそうな雰囲気だった。猫ちゃんと遊ぶために入りたいなあ(劇場跡を見なさいよ)。
ローマ劇場跡から、もうどこをどう歩いているのかよくわからなくなった私だが、姉はちゃきちゃきと歩いてドゥオモ広場近くまで出た。姉「まだルディエ門をしっかり見てないから、門まで行こうかな」。
ドゥオモ広場からルディエ門まで続くリベルティーニ通りは、華やかなお店が建ち並び、左右にバロック教会が次々に現れる通りとして、期待していたのだが、冬季でお店の多くは閉まっているし、教会はほとんどが修復中で、大きな覆いがかけられていた。
その中で、唯一見ることができた教会が、こちらサンタ・テレーザ教会。上の部分が、スパッと、刃物で切り取られてしまったような、不思議な外観をしている教会だ。上が真っ直ぐになっているせいか、あまりバロック的な感じがしないが、この教会もレッチェ・バロック式の教会とされている。
なぜ、上の部分がスパッと直線になっているかというと、教会の正面部分が未完成のためらしい。イタリアには未完成の教会は結構多いが、このサンタ・テレーザ教会は、見れば見るほど、未完成と言うより、この一風変わった形が、この教会のアイデンティティのように見えてくる。未完成の美である。
サンタ・テレーザ教会から、ルディエ門まで歩いた。ルディエ門の左右の道を飾っているはずの、バロック教会が工事中の足場に覆われていて悲しい。サンタ・クローチェ聖堂ともども、レッチェにはいつか出直して見なければならない風景が、いくつも忘れ物として残ってしまった。
こちらがレッチェのルディエ門。ドラえもんの友達のような名前だが、ルディエ門。本来なら、このエレガントな門をくぐったら、レッチェのバロックパラダイスが始まるはずなのだ。今回は、ロザリオ教会も、サンタ・アンナ教会も、全部全部工事中だったんだぜ!
ルディエ門は、真ん中の聖トロンツォを中心に、聖イレーネ、聖ドメニコの、3人のレッチェの守護聖人像が門に立って、レッチェの町を守っている。
こちらは美しい聖女イレーネ。隣のいたずらっ子のような天使たちもかわいらしい。
それにしても、本当にレッチェは、想像していたより広かった。ルディエ門、サン・ビアッジョ門、ナポリ門と、2つの城門をようやくコンプリートできたが、町の面積そのものは大きくなくても、バロック装飾がすばらしい教会やお屋敷が本当に多く、出会うたびに立ち止まってしまうため、町歩きはかなり時間がかかる。
最後にもう一度ドゥオモ広場に立ち寄った。夕焼けに照らされて、ピンク色に染まったドゥオモ。レッチェのはちみつ色の教会たちは、日の当たり具合によって、様々な色に変わる。恋心みたいでロマンチックね(言ってみたかっただけ)。要するに、レッチェはできれば丸一日滞在して、いろいろ変化する色を楽しみたい町だ。
姉と私が、しつこいくらいに何度も何度もドゥオモ広場に足を運んだのは、実は、セミナリオ(神学校)の中庭の井戸を見たかったからである。地球の歩き方によると、ドゥオモを背にして、左側の建物が神学校で、その中庭のバロック様式の井戸は見事なのだという。
井戸見たさに、3日間、いろんな時間帯にドゥオモ広場に来てみたが、セミナリオは一度も開いていなかった。もしかしたら、夏季にしか入れないのかもしれない。井戸見たかったよ~。これも、次回の宿題かなー
レッチェ滞在中、この日は一番温かく、私の風邪は少し回復したが、日が陰ると寒くなってきた。そこで、サントロンツォ広場のカフェ「Alvino」に行き、またもやレッチェ銘菓・パスティチョットを食べた。レッチェ滞在3日間で、5つは食べたよ。ピスタチオ味がおすすめよ!
よく考えると、「寒いからパスティチョット(=カスタードクリーム入りのクッキーケーキ)」というのもおかしな話だな、と思い、サントロンツォ広場から少し西にある、有名バール「Avio Bar」まで行った。
このバールは、地元の人たちで大混雑していた。レッチェ名物のアーモンドコーヒー「Caffe inghiaccio con latte di mandola」が美味しいことで知られているバールだが、お店の人に聞いてみると、このアーモンドコーヒーはアイスなので、今日みたいな寒い日にはおすすめしないとのこと。
うむ。風邪気味の身で、お店の人がおすすめしないというものを飲むのも愚の骨頂であろう。姉も、寒いからやめとこうかな、と謙虚で、我々は謙虚にホットチョコレートを頼んだ。
いやー、温まりますなあ。ホットチョコレートにして正解であった。しかし、このバールは、カップの受け皿がオシャレですね!最終日にちょっと入っただけだったけど、地元民にこんなに人気のバールなら、レッチェ滞在中にもう少し使えば良かったなあ。ま、アーモンドコーヒーも次回の宿題に…(宿題多すぎレッチェ)。
夕刻になるにつれ、どこからともなく人が出てきて、レッチェの町は賑わいを見せるようになる。昨日もそうだった。レッチェ人は夜行性なのねえ。
人通りの増えてきたサントロンツォ広場には、大道芸人も出ていた。私は訪問前は、レッチェは静かで小さな田舎町だと思っていたが、大道芸人がいるほど、人口も多く、都会的な町であった。同じプーリア州でも、イトリアの谷周辺の小さな町とは、全く雰囲気が違った。
そんなわけで、レッチェ歩きはこれにして終了である。寒かったのと、いくつかの大物教会が修復中だったのが誤算ではあったが、それでもじゅうぶん楽しめるくらい見どころの多い町であった。明日は、アドリア海沿いにそって、少しだけ北上する。目指すは未踏の州、アブルッツォ州!