3/12ミラノ旅行記4 ロマネスク教会の真骨頂!

ナヴィリオ運河から、宿泊している、ミラノ中央駅近くのレジデンスまで帰る途中に、サンタンブロージョ聖堂という教会に立ち寄ることにした。

ナヴィリオ運河からサンタンブロージョ教会までは、歩いて行けないこともない距離なのだが、この日は地下鉄・トラム一日乗り放題券を購入しているため、地下鉄で行くよっ!乗り放題券を使いこなすコツは、とにかくたくさん乗ってモトを取ることである(当たり前)。

ポルタ・ジェノヴァ駅から、地下鉄M2線でたったの2駅でサンタンブロージョ駅である。サンタンブロージョ聖堂は、地下鉄の駅名になっているくらいだから、ミラノではかなり重要な教会である。何が重要って、ミラノの守護聖人であるアンブロージョさんを祀っている、かなり古い教会なのだそうだ。

ちなみに守護聖人というのは、各町にゆかりの深いキリスト教の聖人が、その町を守ってくれる、という信仰である。一神教のキリスト教の考え方とはちょっと違う気もするが、こういう柔軟で庶民的な信仰って、私は結構好きだったりする。

イタリアの主要な町の守護聖人を下に挙げてみる。
ミラノ…アンブロージョ
ヴェネツィア…マルコ
フィレンツェ…洗礼者ヨハネ
ローマ…ペテロ、パウロ

さすがにローマはぜいたくだなあ。十二使徒のキャプテン的なペテロと、異教徒布教のリーダー・パウロの二人も守護聖人として掲げるなんて。

フィレンツェの洗礼者ヨハネ(十二使徒ヨハネとは別人)はイエス・キリストに洗礼を施した有名人、ヴェネツィアのマルコは福音書記者なので、知名度という点で言えば、ミラノの守護聖人はややインパクトに欠ける。ア

ンブロージョさんって誰なんだろう、と調べてみると、実際にミラノの司教さんだった人らしい。なるほど。知名度はなくても、ミラノに対する愛はありそうですな!(ヴェネツィアのマルコさんなんか、町の格を上げるために、盗んできたものと言われてるしな)

地下鉄の駅から出て、サンタンブロージョ聖堂はすぐであった。周りに、ジェラートを食べている人たちがたくさんいたため、どこかに美味しいジェラート屋があるのかな?とキョロキョロする我々母娘3人。アナタガタ、教会を見に来たんですよ、教会を。

サンタンブロージョ聖堂は、ロマネスク式教会として有名で、イタリアのロマネスク教会を紹介するような本で、よく取り上げられる。カラー版 イタリア・ロマネスクへの旅 (中公新書)イタリア古寺巡礼―ミラノ→ヴェネツィア (とんぼの本)などで、読んだことがあった。

それで、このサンタンブロージョ聖堂は、ロマネスク教会特有の、ユーモラスな彫像がたくさんあることは知っていたのだが、そ、想像以上であった…。

まず、教会に入る前に、有名な赤レンガの美しい回廊があるのだが、そこからして既に、口をあんぐり開けたくなるようなロマネスク彫像のオンパレード。

サンタンブロージョ聖堂

姉が、「あっ!あれ見て…!」と最初に見つけた半人半馬野郎。まー窮屈そうに、四角い枠の中にぎちっとハマっちゃって、目もうつろ。何より髪型に注目。コレ、確実に自分でカットしてるね。

サンタンブロージョ聖堂

左右にライオンを従え、「どうだ!」と言っている感じの聖人。聖人さん、来てる服、ちょっとサイズ合ってないよねえ…。

サンタンブロージョ聖堂

…2匹の龍…ですかね?まー、からまって、からまって。2匹ともだいぶ目つきがイッちゃってますね。

サンタンブロージョ聖堂

この柱にしがみついている牛さん2匹については、もう、どうコメントしてよいのやら…。なぜ牛?という以前に、なぜ柱にしがみつく?

サンタンブロージョ聖堂

柱に「しがみつく」ものもいれば、「へばりつく」ものもあり。柱の右の方に、何だかへばりついている生き物がいるので、近づいて見てみた。

サンタンブロージョ聖堂

へばりついているのはコイツだった。…ええと、コレは何ですか?私の乏しい知識では、コレが何なのか全くわからないよ!

…ロマネスク彫像に圧倒され過ぎて、結構素敵な回廊だったのに、回廊全体の写真を撮ってくるのを忘れた…。まあ、いろんな本に載っていますので、そちらを見てくださいませ!(←丸投げ)

そして、聖堂内部に入った。ロマネスク教会らしく、薄暗くて、古くさくていい雰囲気なのだが、中もロマネスク彫像のオンパレードっ!

サンタンブロージョ聖堂

左の方、鷲の翼に、カモノハシみたいな顔をした鳥?が噛みついているのがおわかりだろうか。ロマネスク装飾は、なぜだか、「噛みつかれている図」ってのをよく目にする。ヴェローナのドゥオーモにも、犬にお尻を噛まれているライオンの像があったよなあ。なぜ噛みつく?なぜ噛みつかれる?

サンタンブロージョ聖堂

…ええと。コノヒトは、柱を肩で背負ってるのですね。何か、児童絵画の世界って感じがするね。つまりね、頭の位置が、そんな場所にはないだろって位置なんですね。でも、がんばってる感は伝わってきますよね。

教会奥の右手を曲がった、その奥の方には、古いモザイクが残る礼拝堂があった。礼拝堂の前の方に、点灯マシンがあったので、コインを入れて点灯すると、モザイクがはっきり見えた。天井部分のモザイクを見上げると、こんな感じ。

サンタンブロージョ聖堂 モザイク

天井の四隅のモザイクは、人相が悪く、悪者っぽく見えた。

サンタンブロージョ聖堂 モザイク

悪者その1。悪者の親玉っぽい。強そう。

サンタンブロージョ聖堂 モザイク

悪者その2。へらへらっとした感じの、親玉の腰ぎんちゃくっぽい。

サンタンブロージョ聖堂 モザイク

悪者その3。頭がキレそう。悪者グループの頭脳班っぽい。

サンタンブロージョ聖堂 モザイク

四隅のうち一か所だけは、天使だなあ…。いったい何だろうと思っていたら…

コレ、悪者グループじゃなくて、福音記者を表すモザイクじゃん!新約聖書を書いた人は4人いて、それぞれが、翼を持つ動物を象徴としてを持っている。

一番最初の親玉っぽいのは翼を持つ牛で福書記者ルカ、二番目が翼を持つライオン(見えないけど。今一瞬サルって書きそうになったよ)で福音記者マルコ、三番目の鷲は福音記者ヨハネ、最後は天使ではなく「有翼の人間」と言われて福音記者マタイを、それぞれ指している。それにしても、どうしてこんなにワルって感じの顔にしちゃったんだろうねえ。

悪者グループ改め四福音記者のモザイクが取り囲む真ん中は、イエス・キリストのモザイクである。

サンタンブロージョ教会モザイク

イエスっていつも面長に描かれるよなあ。

この礼拝堂の壁部分には、この聖堂が祀っている、聖アンブロージョの肖像のモザイクがある。「地球の歩き方」いわく、聖アンブロージョの確かな肖像としては、唯一のものらしい。ロマネスク彫像に圧倒されて、この聖堂が聖アンブロージョさんを祀ってるってことを、すっかり忘れてたよ!

サンタンブロージョ教会モザイク

おそらく、この方が聖アンブロージョさんだと思われる。まちがっていたらゴメンネ☆

サンタンブロージョ聖堂 モザイク

お顔の部分をアップにしてみた。やさしそうなお顔!ミラノをしっかり守るのが彼のお役目である。

このモザイクの礼拝堂、気にいったよ!もう一度、誰かが点灯してくれたら、また鑑賞したいなあと思ってたのだが、この礼拝堂に入ってくる観光客さん、誰も点灯マシンにコインを入れない!点灯マシンが、モザイクの礼拝堂よりずいぶん前の方にあるので、皆気付いていないのだろうか。

私は何度か点灯マシンの周りをうろうろするデモンストレーションをしてみたが、それでも誰も点灯してくれなかった…。全く同じことを、フィレンツェのミケランジェロ広場近くの、サン・ミニアート・アル・モンテ教会でやったなあ…デジャブだ…。

仕方がないので、もう一度自分たちでコインを入れて、ライトをつけて鑑賞した。いいさ、いいさ、我々だけの礼拝堂っ!

モザイクの礼拝堂を出ると、聖堂内をもう一回りして、ロマネスク彫像を探した。いやー、目を凝らして探すと、次々に出てくるよ、変なロマネスクが…。

サンタンブロージョ聖堂 

右の方の羊さん…。太りすぎですよ、明らかに。幸せそうだね、羊さん。のん気だね、羊さん。

サンタンブロージョ聖堂 

出口近くにいた3人組。「へっへっへ~、また来てね~、へっへっへっへ~」て感じのチンピラ3人組に見えるのですが…。

というわけで、サンタンブロージョ聖堂は、評判通りの、ロマネスク的にレヴェルの高い聖堂であった。ミラノの教会といえば、ドゥオーモと、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会が有名だが、ここサンタンブロージョ聖堂も、かなりおすすめの教会である。

ちなみに、この日の夜までに、私は三夜続けて、ローマの夢を見た。1日目はローマに宿泊したが、そのホテルがあまりにもひどいホテルでへこむ夢、2日目はローマでトラムに乗れない夢(これは確実にミラノのトラウマの影響だな)、3日目は自分はまだ中学生で、学校の修学旅行でローマに行く夢であった(実際は私は貧乏公立組なので、修学旅行で海外に行ったことなどない)。

…これは、もう、来年ローマに行け、という意味ですな。今年、マテーラの後にローマをすっ飛ばしてフィレンツェに行っちゃったことを、私がローマに罪悪感を持ってるのかもしれん。来年は、ローマのラファエロの絵が残ってる美術館に行きたいな。

…とか、旅行の終盤に差し掛かってきたら、すぐ次の旅行のことを考え始めるのは、本当に私の悪い癖である!今を楽しめ、今をっ!(←本当にこればっかり言ってるな)

3/13コモ旅行記 カエルの肢を探せ!へ続く