3/15パレルモ旅行記2 パレルモ、パレルモ?

パレルモ初日。

パレルモは6泊するし、それほど遠出の遠足もない予定なので、このシチリア旅行で最もゆったりできる(ハズの)滞在である。そのため、この日は、目覚ましもつけずに、ぐっすり眠りたいだけ眠った。それでも、朝7時くらいには、カモメなんだか野犬なんだか、よくわからない生き物の声で目が覚めた。

昨日はパレルモビギナーだったので、謙虚に、夜遅い時間の買い物は避けたので、今日の朝ごはんがない。宿泊したのは完全にアパートメントで、朝食もつかないのだが、親切なオーナーたちが、ラスクやクッキーなど、かなりたくさんの軽食をプレゼントで置いてくれていた。いやー、助かるなー。立ち上がって準備するエネルギーを、これらのお菓子で補給してから、ゆっくり準備して、近くの、ローマ通りにあるバールに朝ごはんを食べに出た。

パレルモ

とりあえず、カンノーリを食べなきゃね!朝からおやつ。イタリア人は、朝ごはんに甘いものを食べるらしいのだが、朝に甘いものを食べるのって、結構私は好きである。だって、「あっ!甘いもの食べちゃった!よし!今日は、それを消費するくらい動こうっ!」と、朝から気合が入るのである。夜食べてしまうと、そのあと寝るだけなので、食べてしまったカロリーは、自らに蓄えるしかないのである(それでも夜おやつはやめられない…)。

パレルモ

バールのお向かいに、大きなサン・ドメニコ教会があった。アパートのオーナー夫妻が、「パレルモでは重要な教会」と紹介していたので、ちょっとだけ立ち寄ってみた。教会の前は、大きな広場になっている。

パレルモ

教会内部は、立派なオルガンがあり、荘厳な雰囲気である。日曜の朝ということで、いまにもミサが始まりそうな感じであった。

そう、パレルモ初日のこの日は、日曜日であった。イタリアでは、日曜は教会や美術館が閉まることもあるので、観光の仕方が限られてくる。市場も休みなので、食料品の大量買い出しもできない。

そこで、この日は、スーパーマーケットに行って、日用品やスーパーで買う食料品を調達して、その後、開いている教会などに入ることにした。とにもかくにもパレルモ初日。慎重に動くよ!

ヴィットリオ・エマヌエーレ大通りが、パレルモの中心となる通りである。よく言われるのは、この大通りから北、新市街の方に向かってパレルモの治安は良くなり、逆に、大通りから南、駅に近づくにつれて、治安は悪くなるということである。

大通りの南側は、確かに、ちょっと一見恐く感じるような、黒く汚れた、古い建物が並んでいる。

パレルモ

パレルモ

町のメインストリートだというのに、その大通りに面した方に、洗濯物などが干されて、生活感が漂っている。こういう感じが、イタリアの、いかにも「大都市の中の旧市街」の雰囲気だと感じる。

この大通りから南の方に入るのは、ちょっと最初はこわごわであった。だが、とりあえず、観光名所があるのだし、足を踏み入れてはいけないゾーンとまではガイドブックにも書いていない。そこで、明るい小道を選びながら、西南の方へ入ったところにあるサン・フランチェスコ・ダッシジ教会にまず行ってみたのだが、日曜の午前中ということもあってミサ中で、観光のためには入れなかった。

そこで、そのままヴィットリオ・エマヌエーレ大通りに戻り、大通りの北側に面しているサンタ・マリア・デッラ・カテーナ教会へ行ってみた。

パレルモ

こちらの教会。ちょっと階段を上った先に、なかなか特徴的な姿で佇んでいる。

パレルモ

教会正面に、ギリシア風の柱が並ぶ小さな回廊があり、その回廊の左手の方には、すぐ港が見えている。この、回廊から見た港の雰囲気が非常に良かった。

内部は写真撮影禁止であったが、この回廊と同じようなギリシア風の柱が並び、内部もなかなか素敵な教会であった。小さな教会だが、ぜひ訪問をおすすめしたい教会だ。

教会の前で、3人くらい乗れるバイク(何と言うんでしょうか。車オンチの私にはワカラナイ)を運転している男性が、「パレルモ、パレルモ?」と言いながら、話しかけてきた。は?パレルモと言われて、疑問形っぽく語尾を上げられても、いや、ココはパレルモ、当たり前でしょ?何を聞かれているんだか。

彼はおもむろにパンフレットを取り出し、パレルモの観光地をいろいろ見せてくる。どうも、パレルモ市内ツアーをこのバイクに乗っけて回るから、どうか?と勧誘されているのだ。いやいや、パレルモって、歩ける大きさの町だし、健脚自慢(健脚だけど鈍足)の我々には不要だよ。結構しつこかったが、「歩きたいので」と答えると、去って行った。

彼が去ると、すぐ次のバイクがやってきて、「パレルモ、パレルモ?」が始まる。へー。結構観光熱心な町なんだ。イタリアで、こういうタイプのツアー勧誘を受けたことって、初めてだなあ。マジな話、ヴィットリオ・エマヌエーレ大通りを歩いていると、20メートル歩くごとに、この「パレルモ、パレルモ?」がやってきた。しかし、何で「パレルモ、パレルモ?」なのか。「パレルモ?」とか聞かれても意味不明すぎる。

大通りをまた南の方へ渡ると、目の前にはマリーナ広場があった。アパートのオーナーが、散歩にいい場所、と言っていた広場だ。
ここでは、日曜だからか、蚤の市が開かれていた。

パレルモ

私は、骨董品には・←これっぽっちも興味がない。しかし、姉は、そんなに重症ではないが、骨董好きだ。彼女が、見ている数少ないテレビ番組が、何でも鑑定団である。

そんなわけで、姉は大喜びで、市を見て回っていた。こういう蚤の市に熱心な客って、なぜだか高齢の男性が多い。そんな中、場違いに喜んでいる東洋人女性が私の姉であった。ほとんど英語の通じない売り手のおっちゃんに、どういう手段を用いてかはわからないが、値切って買い物をしていた。

パレルモ

私はむしろ、この広場の中にある、ガリバルディ庭園のこの大きな南国の木の方が気になったねえ。「がじゅまる」っぽい木だ。本当に「がじゅまる」かもしれない。「がじゅまる」には、キムジナーと呼ばれる妖怪が住んでいるのだ(沖縄の妖怪)。私が最高にクールだと思う妖怪は一反もめんだが、最高にキュートだと思う妖怪はキムジナーである。妖怪の話終わり。

サン・フランチェスコ・ダッシジ教会のミサは、そろそろ終わったかなーと戻ってみたが、まだ続いていた。

パレルモ

ちなみに、こちらがサン・フランチェスコ・ダッシジ教会の外観。

そこで、まだほとんど午前中は活動していないのに、妙にお腹が減ってきたので、サン・フランチェスコ・ダッシジ教会のすぐ前にある、有名なフォカッチャ屋さん「Antica Focacceria San Francesco」に入ることにした。

パレルモ

このお店。モツ入りフォカッチャが有名な老舗である。お店の外装が歴史を感じる作りでステキ!

パレルモ

お店のすぐ近くには、おそらく厨房だと思われる建物があり、だまし絵のように入り口と、人物の絵が描かれていて、とってもオシャレである。

まだお昼には微妙に早い時間だったので、店内はそれほど混んではいなかった。お店に入って、メニューを見上げていると、ウェイターさんに、「イートインですか?それなら2階にどうぞ」と案内された。この時、何も考えずにウェイターさんについて行ってしまったのだが、2階席へ行くと、実は席代が取られるシステムであった。

2階席では、メニューが配られ、きちんとした制服をきたウェイターさんが、注文を取る。有名なモツバーガー「Focaccia maritata」を一つずつと、ミネラルウォーターを頼んだ。

パレルモ

こちらが、「Focaccia maritata」。モツバーガーなのに、あっさりしていて美味しいっ!フィレンツェの、市場にあるNelboneの名物モツ入りパニーノと比べると、こちらの方が上品な味付けである。ただし、庶民的なフィレンツェのパニーノも非常に美味しい。甲乙つけがたい。というか、甲乙つける必要なし!

2階席には、観光客が多く、ミラノから来たという女性が、「このお店、雰囲気良いわよねー」と話しかけてきた。シチリアは、ドイツ人観光客と、北イタリアからの観光客が多い。イタリア人にとっても、シチリアは、ちょっとした異文化の地なのであろう。

パレルモ

こちらが、2階席から見下ろした1階。…雰囲気の良いお店、なのだが、1階を見ていると、2階との違いに気付いた。1階席のお客さんが飲んでいるミネラルウォーターは、我々に運ばれてきたビン入りのものではなく、ペットボトル。しかも、1階席のお客さんは、トレーに食事を載せて、自分で運んでいる…。

そう!後から判明したのだが、1階席と2階席では、値段が違うのだ!

基本的に地元のお客さんは、セルフサービス式に、まずレジで注文してお金を払い、レシートを持って行って注文品を自分で受け取る。そして、1階席のテーブルに自分で運ぶ。

観光客がお店に入ってきて、勝手が分からずにウロウロしていると、ウェイターさんに2階席に案内される。そして、2階席ではウェイターさんが注文を取り、食事も運んでくるので、サービス代が取られる…。そのため、1階席と2階席では、同じものを食べても、値段が異なるのだ!

ううむ…。バールで、立ち食いとテーブル席の差があるのはわかるが、1階席で座って食べるのと、2階席で座って食べるのに値段の差をつけるって…コレ、やっぱり観光客をターゲットにした、しぶとい商売だよなあ…。

ちなみに、後日、この日のメニューと同じメニューを、1階席で食べたら、料金が倍近く違った。2階席で食べたら11.5ユーロで、1階席で食べたらなんと6ユーロ。観光客としてはプンプンしたくなるところだが、このお店、雰囲気がよく、美味しいのは事実なのである。

観光客でも、1階席で食べてはいけないということはないので、別に水はペットボトルでいいし、セルフサービスで運ぶよ、という人は、すぐにレジに並ぶべしである。2階席に案内されそうになったら、1階で食べます、と答えればOKである。

というわけで、パレルモ観光の洗礼をちょっとだけ浴びたランチとなったが、とりあえず美味しかった!ランチ後のパレルモ歩きは、ページを改めるよっ!