3/16パレルモ旅行記6 B級グルメが探せない!

ノルマン王宮を堪能した後は、王宮近くにあるサン・ジョヴァンニ・デッリ・エレミティ教会に足を伸ばすことにした。

サン・ジョヴァンニ・デッリ・エレミティ教会は、パレルモ独特の、「ピコーン教会」の一つである。「ピコーン教会」とは、およそキリスト教建築とは思えない、赤い帽子みたいな丸屋根が並んでいる教会のことで、クイズ番組で、正解がわかったときに押すボタンに見えるので、「ピコーン教会」と、私が勝手に呼んでいる。何と風情のないネーミングであることよ。

パレルモ

王宮から、さらに南の方、何となくパレルモの、町はずれの方、町の裏の方、って感じの、観光地っぽくない方向へ歩いていくと、ヤシの木の向こうに、見えてきた!ピコーンが!

王宮からすぐ近くだと言うのに、あまり観光客はこちらまでこないのだろうか。目の前の道路は、車がびゅんびゅん通っていて、観光地って雰囲気がない。

パレルモの教会は、有料教会が多いのだが、この教会は6ユーロであった。6ユーロって結構高い。比べるものでもないかもしれないけど、フィレンツェのウッフィツィ美術館が6ユーロだ。印象として、パレルモの教会は、入場料が高いと感じた。

この教会と、モンレアーレの大聖堂の回廊との共通券が9ユーロであった。モンレアーレには行く予定で、しかもこの共通券は、3日間有効だったので、共通券を購入した。ちなみに、パレルモの教会は、共通券を形成しているグループのグループ分けが、非常に複雑でわかりにくかった。ローマパスみたいに、パレルモ全体の共通券があればよいのに、そこは、いろいろと派閥があるのだろう。

パレルモ

教会の入り口のところでくぐるアーチ。この辺からして雰囲気が良い。観光客も少なく、静かである。

パレルモ

柑橘類のフルーツが、幽玄な雰囲気を醸し出している。すぐ外では、車がびゅんびゅん走っていることを、ふと忘れてしまう。

パレルモ

ピコーンの中身は、このように、何にもナイっ!私の頭の中のようだ。同じピコーン教会の、サン・カタルド教会のように、床にノルマンモザイクが残っているわけでもない。

パレルモ

本当に、泣けなしのフレスコ画の残骸が、かろうじて見れるくらいで、内部は本当に空っぽなのだ。これで6ユーロはあんまりだろう、と思うかもしれないが、この教会の一番の見所は、回廊である。

パレルモ

じゃーんっ!これが、ノルマン式の回廊っ!シチリアで見られる、ノルマン時代の回廊は、回廊を支える柱が、小さな二本の柱なのが特徴だ。古代ギリシアの、あのどっしりした柱と比べて、軽やかでリズミカルだ。そして、日本人の私が言うのもおかしなことなのだが、どことなくエキゾチックなのだ。

パレルモ

そして、この回廊から、赤い丸屋根(要するにピコーン)が見えるのだ!実は、すぐに大きな道路に面しているサン・ジョヴァンニ・デッリ・エレミティ教会は、外側からこのピコーン屋根を見ることが出来ず(もしかしたら、どこかから見えるポイントがあるかもしれないけど)、この回廊からならピコーン屋根がはっきり見えるのだ。

パレルモ

ピコーン、ピコーン、ピコーン!その前には、サボテンが見えちゃって、ああ、本当に南国シチリア。これで、天気までよければ、100%の南国シチリア!

同じピコーン教会である、サン・カタルド教会との違いは、

1.サン・カタルド教会は外からピコーン(丸屋根)が見える。
2.サン・カタルド教会には床モザイクがある。
3.サン・ジョヴァンニ・デッリ・エレミティ教会には、ピコーンの見える回廊がある。

…という感じだ。結構、2つのピコーン教会は、味わいが違うので、「ピコーン教会はどちらか一方だけでいいや」ではなく、どちらも訪問してみて面白いのではないか、と思う。

教会を出た後は、王宮の後ろ側をぐるっと回る感じで、中心街へと戻った。

パレルモ

途中で、カテドラルの前を通った。カテドラルの、西側の通りは、非常に絵になる通りである。工事中さえなければ…!あと、もう少し天気がよければ!

今日は、昼からバゲーリアの、ヴィッラ・パラゴニアへ行く予定である。ヴィッラ・パラゴニアとは、以前、このブログで紹介した、ゲーテのイタリア紀行 中 (岩波文庫 赤 406-0)の中で、ゲーテを憤らせた、悪趣味なお屋敷のことである。

このヴィッラ・パラゴニアは、個人所有の邸宅なので、突然の閉館があるため、訪問前に、電話などで入館できるか確認したほうがよい、とガイドブックに書いてあった。私のイタリア語力では、電話には不安があるため、パレルモの観光インフォメーションで確認してもらうことにした。

ベッリーニ広場近くのインフォメーションで、黒髪の女性スタッフにお願いして、ヴィッラ・パラゴニアに確認してもらうと、本日は5時半まで入館できるとのことだった。現在の我々の目標は、イタリアで、自分たちでイタリア語、もしくは英語で、こういうお問い合わせができるようになることである。目標のある人生ってスバラシイ(目標は持つだけじゃダメってことを、あまりまだわかっていない私)。

さて。今日のお昼ご飯は、ブッチリアで食べることにした。ブッチリアとは、ドメニコ広場あたりから、東西に通りに沿って伸びている市場のことで、生鮮食品が中心で、B級グルメを味わえる市場だと聞いている。

昨日、ドメニコ広場から、南の方に伸びている通りを通ってみたが、特別賑わってもいなかったので、今日は、ローマ通りから、西の方へ伸びている通りを歩いてみた。

歩いてみた。が。

なぜだか、洋服とか、日用品の市しか並んでいない(このブログでは「イチ↓」と呼ばれている市)。歩いているうちに、イチ↓は終わるだろう、と、どんどん先に進んでみたのだが、マジでもって洋服しか売ってない。どーゆーこと!?

誰?ブッチリアは、食品中心とか言ったのは!誰?ブッチリアに行けばB級グルメ食べ放題とか書いたのは!ダマされたっ!しかも、ダマすことに、何の意味があるのか!(我々が陥った「ブッチリアの罠」については後述しますぜ)

だんだんお腹も空いてきて、姉も私も無口になってきた。しかし、こういう時のディレンマなのだが、歩けば歩くほど、その営みを途中で止めるのが難しくなるのである。「ここまで歩いたんだから、何か収穫が欲しい」という気持ちが、歩けば歩くほど沸いてくるのだ。そして、それに比例するようにお腹は空いてくる。カモーン!B級グルメ!もはやC級グルメでもいいよ!(それ、もうグルメって呼べないんじゃ…)

…歩くこと10分ほど。ようやく、イチ↓が途切れ、野菜市が広がり始めた。お肉屋さんなどもあり、お肉屋さんが併設しているパニーノ店が、地元の人たちで混んでいたので、そこで食べることにした。ていうか、もうお腹がすいたのと、選択肢がほとんどなかったのだ。

パレルモ

このお肉屋さん。左手の方が、ハムなどを売っているお店で、そこでパニーノも作っている。

行列に並んで、我々より前に買っているお客さんを観察していると、パン生地、ハム、チーズ、野菜などを、全部選んで、量り売りの値段になるシステムであった。うむむ。どの組み合わせにしようかな。前のお客さんのウォッチを続けてみると、生ハム、モッツァレラチーズ、野菜の組み合わせが人気だったので、真似っこすることにした。

パレルモ

作ってもらったのがコチラ。最初は、一人一個食べようと思ったが、大きかったので、半分こにした。3ユーロ前後であった。

味は美味しかった!やはり、地元民で賑わっているお店にハズレはない。作り置きではなく、その場で作ってもらうパニーノは、やっぱり味が違う。

しかし、最終的に美味しいお店を見つけられたからよかったものの、いったい、B級グルメ天国と言われるブッチリアとは何だったのか。

後から判明したのだが、ブッチリアの最もブッチリアらしい界隈は、サン・ドメニコ広場から、ヴィットリア・エマヌエーレ通りに向けて、南東に伸びている路地なのだそうだ。

パレルモ

この、いかにも日本の地方の商店街って感じの、安っぽいけどどこか風情のある、「ブッチリア」のネオンが目印の通り。ちなみに、我々の滞在中は、このネオン、最初のVが電池切れしていて、「ウッチリア」になっていた。

この界隈ものぞいてみたんだけどなあ。ちょうど雨が降ったりしていて、屋台が出ていなかった時間帯だったのかもしれない。観光地図では、この界隈だけでなく、今回我々が歩いた、ローマ通りから西の方へ伸びていく通りも、ブッチリアの市場だと書いてあるが、その辺りは、ブッチリアに便乗した、衣類市って感じなので、ブッチリアを楽しみたい方は、ブッチリアネオンのある通りに行くべしである。

というわけで、 我々は、ブッチリアのブッチリアたる部分を、しっかり堪能することは、今回叶わなかった。まあ、いいさ。それでも、美味しいお昼ご飯は食べられたからさあ!

パニーノ食べた後、今度はデザートが食べたくなったので、途中でバールに立ち寄った。アパートの近くの、手さばきが尋常でないプロのバリスタさんがいる「Bar Touring」である。

パレルモ

バリスタさんは、ちょっとお客さんが少なくて余裕があったのか、観光客にこんなコーヒーアートのサービスをしてくれた。プロの仕事ってスバラシイ。

というわけで、一服した後は、いよいよバゲーリアの化け物屋敷に行くよっ!