3/17パレルモ旅行記7 熱を持たぬ石の躍動感

パレルモ3日目。

今日は、まず、日曜日に閉まっていたマルトラーナ教会に行くことにした。パレルモは、必見教会が多いが、その中でも、必見中の必見だと、我々が踏んでいるマルトラーナ教会である。

パレルモ

こちらは、2日前に撮影した写真だが、こういう風に、ピコーン教会(赤い丸屋根)であるサン・カタルド教会に、隣り合っている、鐘楼が印象的な教会が、マルトラーナ教会である。

パレルモ

これも2日前に撮影した写真だが、この教会だよ。よくよく写真を見てみると、マルトラーナ教会にもピコーン(赤い丸屋根)があったんだね。ひそかなるピコーン教会だね。

このマルトラーナ教会、外観もなかなか素敵なのだが、真骨頂は、内部である。そう。ここは、モザイク教会なのだ。

パレルモの多くの教会と同じように、ここも有料であった。まあ、2ユーロなので、良心的な入場料。この入場切符で、隣のサン・カタルド教会の入場が割引になると説明を受けたのだが、もうサン・カタルド教会は入場済みである。逆に、サン・カタルド教会の入場切符で、マルトラーナ教会の割引にはならないらしい。なぜだらう。

パレルモの有料教会は、複雑なグループ分けになっていて、その全容を解明することはできなかった。しかも、今回みたいに、入る順番によっては割引が効かないとか、いったい誰のための、そして何のための複雑さなのか。ああ、世界とは、確かに複雑系だな…。

まあ、そんなパレルモの複雑な割引制度に心を惑わされるな!目の前のマルトラーナ教会を楽しもうっ!

パレルモ

こちらがマルトラーナ教会内部。あらやだ、素敵…。

パレルモ

パレルモ

非常に荘厳なるモザイクの世界…。しかも、何だか、きらびやかというより、きんきらきんなのに静かな風情がある。何でだろう。パレルモで見たモザイクの中で、全体的な印象としては、このマルトラーナ教会のモザイクが一番しっくりきた。一つ一つのモザイクの出来が、素晴らしいのかもしれない。

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「受胎告知」で、マリアに懐胎を告げに来たガブリエル。躍動感があり、いかにも天からの使者という感じだ。こんなに動きを感じさせるモザイクは珍しい。

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こちらは、謹んで告知を受け取るマリア。毅然とした、決意に満ちた表情がよい。

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この天使なども、細部の陰影や、衣服の模様が細かい作業で仕上げられて、存在感がある。表情もよい。

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聖母マリアの臨終を、使徒たちが悲しんでいる図。おそらく、イエスが迎えに来て、マリアの魂を抱えているのだと思うのだが、この解釈で合ってるかな?このモザイクも、天から降りてきている天使たちが動的で、見ごたえのあるモザイクだ。うーん。マルトラーナ教会のモザイクは素晴らしい。

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盆踊り踊ってるようにしか見えない天使たちもいたけど、それでもマルトラーナ教会のモザイクは素晴らしい。

パレルモ

よーいよい。

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左側にある小さな礼拝堂には、海軍提督が、聖母マリアの足元に、カメみたいにひざまずく有名なモザイク。カメの提督カワイイ。

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こうやってアップで見るとわかるように、聖母マリアの顔は、細かく陰影がつけられて、深みのある表情になっている。このモザイク、ずーっと見ていても飽きないのは、人物の表情に深みを感じるからかもしれない。

パレルモ

1.イエスの足が、微妙な高さで浮いているため、心霊写真みたいに見える
2.王様の手が、「何でやねん」と突っ込んでいるように見える

…等々の、ツッコミどころはあるが、こちらも出来が素晴らしい、「ルッジェーロ2世がキリストから王冠を授かる」の図である。ルッジェーロ2世は、ノルマン支配時代の王様である。

王様が、神の子イエスから冠をかぶせてもらうことで、権威ある者が、さらに上の権威を必要としている、という、何だか哲学的な図である。権威って本当に何なのだろう。少なくとも、人間が集まって形成する社会で、上に立つ者には必要なものなのだろう。しかし、権威と呼ばれるものを、一つずつ疑い、剥がしていく先に、最後に自由が残っている気がするのだ。自分で書いてて、何書いているのか意味わからないのでこの話終わり。

そんなわけでマルトラーナ教会のモザイクは、ちょっと最高だったわよ!パレルモで行くべき観光地よ!マストよマスト!

パレルモ

「ちょっと。モザイクばっかり見てないで、オレにも注目しろよー」…とでも言ってそうな、微妙な朝日を、礼拝堂の中で発見してしまったけどさ。

パレルモ

これは月だと思うが、こちらもかなり微妙な表情。目がイッちゃってるよ。こちらの方は「何じろじろ見てんのよ!」って感じだなあ。

パレルモ

さらに、明らかに、お前天使じゃないだろ!と言いたくなるような表情の天使。勉強にも部活にもやる気が出ない中学生の顔しちゃってるよ。イヤ、最後にこんなもの紹介しちゃったけどさ、本当にマルトラーナ教会は最高だからねっ!

マルトラーナ教会を出ると、かなり雨が強くなってきた。読者の方から「雨!?マルトラーナ教会の外観写真では、外は晴れてるように見えるんだけど!」というツッコミが入りそうだが、あれは2日前に撮影した写真ですから!(詐欺じゃないよ!ちゃんと申告してるんだから詐欺じゃないよ!)この日は、本当に雨が強かったのだ。外での撮影は、ほとんどしていない。

雨の中、2日前は閉まっていて入れなかったジェズ教会に向かった。マクエダ通りから西の方に入る、ちょっと恐さも感じる、狭い路地の先にある教会だ。

パレルモ

こちらがジェズ教会の外観。これもまた2日前に撮った写真だよ!だから、雨が強くて、この日は外で写真を撮れなかったんだってば!(誰も責めてないのに逆ギレしないで下さい)

ジェズ教会も有料教会である。姉に、「何でジェズ教会に入りたいのー(パレルモ係は姉)?」と聞いてみると、「内部のバロック装飾が素晴らしいらしいんだよ」とのお答え。バロックは人によって好き嫌いがあると思うが、我々は、バロックは嫌いではない。

中に入ってみると、白くて、細かい装飾が施された柱が、ずらーっと並んでいる。教会の入り口のところから、全体像を見渡すだけであれば無料で入れるが、教会内をぐるっと回って鑑賞するには、5ユーロであった。付属博物館や、クリプタ(地下礼拝堂)、土曜日の礼拝堂なども含まれるチケットだ。

迷ったが、雨が強いので、教会内部でゆっくり過ごしてもいいし、せっかく来たしで、チケットを購入することにした。ちなみに、写真撮影は、全ての場所で禁止されていたので、写真は無いよ!

で、どうだったか、というと、正直、姉も私も、あまり好みではなかった。内部は、確かに豪華絢爛な装飾なのだけど、何だろうなあー。何でか、心に響かない。一つは、20世紀に入ってから再建された部分も多いらしいので、ちょっと新しい雰囲気すぎるのかもしれない。

博物館もそこそこ展示物が多く、かなり大きな教会で、順路に従ってぼーっと回った。順路順路に係員がいて、しっかり誘導してくれる。土曜日の祈?堂と呼ばれる、教会からちょっと離れた、上の方にある小さな礼拝堂は興味深かったが、あとは、それほど見どころを感じなかったかなあ。あと、落ち着いて入れるトイレがあった。トイレ大事。

ジェズ教会の豪華絢爛さは、教会の扉を入ってすぐ、切符を買う前に入れる場所から、全体像を見渡すことはできるので、よっぽど興味のある人以外は、わざわざ5ユーロ払って、長い時間かけて鑑賞しなくてもいいかな、というのが個人的な感想だった。

それにしても、パレルモの有料教会は、このジェズ教会もそうだけど、他の町の教会に比べて、入場料が高いと感じることが多かった。ローマなんて無料教会だらけだし、フィレンツェの有料教会は、お金取る分中身が充実しまくっている。パレルモ観光は、予想以上に、小金がかかるよ。小金とはいえども、貧乏人には重要な情報なんだよ。