3/15フェラーラ旅行記1 聖と俗は隣り合わせ

アドリア海北上の旅も、終点フェラーラにたどり着いた。

アドリア海北上の終点がフェラーラ!?ヴェネツィアは?その先のウーディネ、トリエステは?とお思いになるかもしれない。私も思う。どうして私はこんなにゆっくりしか動けないのだ?しかし、どうしてかはわからないが、ゆっくりしか動けないものは仕方がないのである。ヴェネツィア再訪も、その先のフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州は、また今度である。

(フェラーラは、イタリア語の発音だと「フェッラーラ」が正しく、地球の歩き方も「フェッラーラ」と表記している。だが、日本では「フェラーラ」と書くことの方が多いので、この旅行記でも「フェラーラ」と表記する。)

さて、フェラーラは、鉄道駅と旧市街が2㎞ほど離れている。歩けない距離ではないが、スーツケースがあるため、バスで旧市街方向へ向かうことにした。

バスの切符を購入するため、駅構内のバールへ行くと、バールではなく、端の方のエディコラ(新聞屋)で購入するようにと言われた。

フェラーラ

駅の端にあるこのエディコラ。イタリア語に翻訳されている日本のコミックが置いてあった。後で知るのだが、フェラーラは学生さんの多い町だった。そのため、コミック本が売れるのかもしれない。

フェラーラの駅前

フェラーラの駅前には、タクシーもたくさん待機していて、北部に来たなあと感じる。また、東京の郊外の駅のように、たくさんの自転車が置かれているのも特徴だ。フェラーラは、旧市街内の車の乗り入れが制限されているため、自転車ユーザーが多いらしい。

路線バスはすぐにやってきた。予約しているアパートメントホテルは、エステンセ城のすぐ近くだが、バス停はエステンセ城の次で降りるように言われている。エステンセ城を通り過ぎたところで降りて、そこから旧市街内に入り、予約しているホテルはすぐに見つかった。

その時、予約しているホテル前に車が止まり、スーツ姿の男性と女性がスッと降りてきた。特に男性は何だかものすごく急いでいる感じで、我々も入館しようとしていたのだが、我々をチラッと見た後、「スクージ(すみません)」もなしに、強引に脇を追い抜いて先に入っていった。

普通、イタリアではレディファーストで、逆に道を空けてもらえることが多い。何だか感じ悪いなあと思ったが、彼の余裕のない急ぎっぷりに、ハッと思い当たることがあった。この時期ちょうど、近隣のボローニャで、見本市が開催されているのだ。ビジネスで今から見本市にかけつけなければならなくて、焦っているのではなかろうか。

実は、我々は、はじめは今回の旅程でボローニャ泊を考えていた。ボローニャに宿泊して、ボローニャからフェラーラ、パルマ、モデナなどを回ろうと。しかし、この時期のボローニャのホテルを探すと、口コミが「リーズナブルなお値段」と言われているホテルでさえ、1泊€250以上することにおったまげた!

4年ほど前にボローニャに宿泊した時は、そんなことなかったよなあ…いつのまにかボローニャが異様な人気観光地となって宿泊費が跳ね上がったのだろうか?と首をひねったが、調べているうちに解決した。この時期に、ちょうどボローニャで見本市が行われるのである。

見本市会場を持っているイタリアの町は、見本市の時期にはホテルが3~4倍以上の価格に跳ね上がる。ボローニャ以外では、ミラノやリミニが知られている。

そこで、今回はフェラーラ泊にして、パルマ・モデナは諦めて、アドリア海側のパドヴァに行こうということになったのだが、フェラーラのホテルは値上げはなかったが、予約が埋まるのが異様に早く、第一希望のホテルは満室で泊まれなかった。

おそらく、ボローニャのホテルが取れなかったり、ボローニャのホテルが高すぎるため、近隣の町に宿泊する見本市のビジネス客が多いからなのだろう。

家族経営のホテルなので、受付するオーナーは一人しかいない。男性オーナーは我々が続いて入ってきたのを見て、「ちょうど時間が重なってしまいましたね」と言って笑ったが、スーツ姿の客の方はニコリともしなかった。

我々は急いでいるわけではないので、チェックイン手続きは「先にどうぞ」と譲った。スーツ客は徹頭徹尾、何の挨拶もなかったが、何か本当に余裕がなさそうだったので、あまり頭にもこなかった。スーツ客さんは、チェックインが済むと、またバタバタと出て行って、ホテル前に停めてあった車で走り去っていった。やっぱり見本市っぽいなあ。

さて、我々のチェックインの番が来て、一つ建物を挟んだ先のアパートメントホテルまで案内してもらう。

フェラーラのホテル

こちらが今回宿泊するアパートホテル。

フェラーラのホテル

広いキッチンが備えてある。…のだが、そのキッチンをチェックしている姉の表情が冴えない。

姉「全然キッチン用品がそろってない。これ、料理しない人が用意したものとしか思えないよ。それからコーヒーメーカーもないし、湯沸かしケトルもないじゃん。おまけにやかんもない。どうやって温かい飲み物を飲めっていうの?」

姉はこういう時に黙っていない性格なので、オーナーの男性に「飲むためのお湯を沸かすものがないんですけど、湯沸かしケトルを借りることはできますか?」と言う。オーナーの男性は困惑したように「え?お湯は鍋で沸かせばいいんじゃないですか?」と来た。あ。本当に料理しない人だな、これは。

アパートは離れのような場所にあるので、オーナーは一度、本館のような、おそらく自分も一緒に住んでいる建物に戻っていったが、すぐに、オーナーのママだと思われる女性から電話があった。「湯沸かしケトルがなかったのですか?置いてたはずなんですけど。すぐに持って行かせますから」。そうよね。ママなら必要だってわかってくれますよね?

しばらくすると「いやー、今まで誰も使わなかったものだから…」とか言いながらオーナーがケトルを持ってきてくれた。やはり、本来なら置いてあったものだったらしい。

このケトルだけでなく、このアパートは、椅子の脚が壊れていて危なかったり、備え付けのドライヤーが弱い冷風しか出なかったり、箪笥が臭くて使えなかったりと、いろいろ問題があった。一泊二人で€100にしては、ちょっとコスパが悪かったなあ。エステンセ城のすぐ近くという立地はよいから仕方ないかなあ。

ホテルマニアの姉は、予約したホテルがはるかに想像以下だと機嫌が悪くなる。テンションの低い姉と、とりあえずフェラーラの町に繰り出した。

フェラーラのカテドラーレ

そんな我々のテンションをさらに下げるような、修復中で全景が見れないカテドラーレ(大聖堂)。しかし、フェラーラのカテドラーレが修復中であることは実は知っていたので、落ち込まない。正面は、ゴシック式の非常に独特な形ですっごく見たいのだが、落ち込まないっ!

フェラーラ

フェラーラの大聖堂は、正面部だけでなく、側面部がおもしろいことで知られている。カテドラーレの建物を利用する形で柱が並んだ回廊が建てられ、お店が入っているのである。イタリアでも、こんな形をしたアーケードは珍しく、聖の領域である大聖堂が、市民の俗生活と切り離されていないのが興味深い。

大聖堂は内部も修復中ではあったが、中に入ることはできた。

フェラーラの大聖堂

工事の足場の向こうに見えているカッコいいライオン君。大聖堂の外の柱を支えている。こういうライオンはカッコいいというよりコミカルなことも多いのだが、彼はカッコいい。

フェラーラの大聖堂

フェラーラの大聖堂は、大聖堂に入るとまず回廊があり、さらにその向こうのドアをくぐり、大聖堂内に入る形をしている。その内部の扉の方を守っているライオン君。つまり、ライオン君が二重で大聖堂を守っているわけだ。

ライオン君の上には、さらに人が乗っていて、柱を支えている、面白いような意味のないような作りになっている。ライオン君「この人が降りてくれたらもうちょっと軽くなるのにねえ」。

フェラーラの大聖堂

このライオン君はカッコいいというよりはカワイイ。何かこっち見て鳴いているみたいだなあ。

フェラーラ大聖堂

内部は非常に美しい。天井が高くて荘厳な雰囲気だ。ところどころが修復中でシートに覆われてしまっているが、完全な姿で見れば、もっとキレイだろうなあ。

フェラーラ大聖堂

このフェラーラ大聖堂は、龍退治のエピソードで知られる、サン・ジョルジョ(聖ゲオルギウス)に捧げられたものである。龍退治をしているサン・ジョルジョの銅像があったが、何故だか(普通に下手だからだろ)上手に撮影できなかった。ブレたせいで、かえって神聖な感じになったからヨシとしよう。

フェラーラ大聖堂

大聖堂の入り口の回廊には「大聖堂博物館(MUSEO DELLA CAREDORALE)」と書かれた扉があるが、大聖堂付属博物館は、現在、大聖堂から離れた場所にある。フェラーラで見たいもののひとつが、その博物館にあるはずなのだ。では、大聖堂を出て、博物館の方へ行ってみよう!

3/15フェラーラ旅行記2 受胎告知は音楽の扉へ続く

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA