メテオラ旅行記8 ルサヌ修道院の女子力

2017年3月7日
ルサヌ修道院

今日はメテオラ3日目。

昨日、雨の中を歩いたのがたたって、私の風邪はがぜん悪化した。今日の夕方には、宿泊しているメテオラの隣町カストラキのホテルを発ち、バスを乗り継いでイグメニッツァまで行かなければならない。そのイグメニッツァから深夜フェリーに乗って、イタリアまでの船旅になる。

要するに、移動がハードな日なのだ。

カストラキ

昨日降り続いていた冷たい雨は、今朝になったらやんでいた。メテオラの6つの空中修道院のうち、ルサヌ修道院と、メガロ・メテオロン修道院に、今日は行く予定だ。しかし、この風邪ひきの身体で、メテオラの山道を歩き回ると、風邪が悪化することは間違いないだろう。

私は姉に言った。「残念だけど、今日は私はホテルで休んでおこうかな。昨日も強行して出かけたせいで風邪が悪くなったし、今日は謙虚にお休みの日にするよ」。

すると姉から提案があった。

「実はさ、私も結構疲れてるから、今日は歩き回るのはどうしようかと思ってるのよね。どうせバスに乗るためにカストラキからカランバカまで行かなきゃいけないし、その移動はタクシーになるんだよね。タクシーを時間チャーターして、ホテルをチェックアウトしてから、スーツケースを積んだ状態でタクシーで2つの修道院に行ってもらって、その後、カランバカのバス乗り場まで送ってもらうってのはどう?」。

ナイスアイディア!冴えてるね、姉さん!その旅程なら、今日の体調でも行けるかも!メテオラの山を歩き回るという計画はおじゃんになってしまったけど、最後のメテオラの日をぐだぐだとホテルで過ごすよりは、ずっと素敵な計画だ。

ギリシャののど飴

そんなわけで、このビタミンC入りの、ギリシャのハーブ商品メーカー「APVITA」ののど飴が、本日のお供である。この青い缶入りののど飴は、味はいかにもお薬って感じで美味しくない。だが、美味しくないのど飴ってのは、妙にのどに効く気がするのだ。

ホテルのフロントにお願いして、チェックアウトの時間に合わせてタクシーを手配してもらった。

メテオラのタクシーは銀色で、観光客にも慣れている。いい意味で慣れているという感じで、タクシー運転手さんは優しくて丁寧で、しかも、いろいろと的確な提案をしてくれる。料金も一律で、2時間で€40。安心して利用できる。

本日の運転手さんは、若い男性で、穏やかな雰囲気だった。我々が日本人だと答えると、おもむろにタクシーの収納ケースから、折り紙で折った手裏剣を取り出し、日本人観光客からもらったものだと言った。

「そうです、そうです。これは手裏剣といって、忍者が戦うときに使うんです」とか答えてしまったが、現在のフィクションで描かれる忍者像ってのは、実像とはかけ離れているらしいから、本当のことかどうかは不明である。海外に行くと、日本のことをよく聞かれるので、やっぱり日本についてもう少し知っておけば、話も深まるよなあ。

それに加えて、私は折り紙で折れるもののレパートリーも極めて少ない。折り鶴と、エリマキトカゲくらいしか折れない。鶴はともかく、なぜ折り紙に疎い自分が、エリマキトカゲのようなレアなものを折れるのかイマイチわからない。今度、自分の人生をじっくり振り返って、自分とエリマキトカゲの接点を探りたいものだ。自分探しのキーワードはエリマキトカゲ。

さて、本日最初に訪問するのはルサヌ修道院。昨日、階段の登り口まで(雨の中無謀にも)歩いた修道院だ。ルサヌ修道院は、真下までタクシーで行けるが、そこからはオノレの足で上って行かなければならない。

ルサヌ修道院

ルサヌ修道院を目指して、コツコツと上まで上る。とはいえ、上まで上るのは、それほどきつくなかった。

ルサヌ修道院

こちらがルサヌ修道院。あらやだカワイイ。こじんまりとして、すっきりしていて、とってもカワイイ!ルサヌ修道院は、尼修道院だからか、どことなく女性っぽいというか、女の子っぽいかわいさがある。

ルサヌ修道院

修道院に入るためには、細い階段の橋を渡っていく。聖地にこんなことを思うのは少し不謹慎かもしれないけど、ディズニーランドのアトラクションに入るような、ちょっとウキウキするような感じがする。

ルサヌ修道院

こちらは修道院側から橋を振り返った景色。うーん、素敵!今までのメテオラの修道院の中で一番好きかも!今日は、どこにも行かないかなーとまで思っていたが、タクシーで出てきてよかったよ!

メテオラの他の修道院と同じように、ルサヌ修道院も内部撮影は禁止である。しかし、今まで入った修道院の中で、内部も一番かわいらしかった。尼僧院ということで、女性の手が入っていることがよくわかり、観光客に貸し出す腰巻きも、他の修道院は無造作に置かれているのに対し、綺麗に管理されている。

しかし、こういうインテリアの細やかさ、衣類の管理のよさを「女性らしさ」と感じるならば、実に私自身という人間は、女子力が低いものだとつくづく思う。だが、私の場合、女子力がどこかから急に自分に降ってくるならば受け止める用意があるが、たゆまぬ努力で手に入れたいとまでは思わない。そのような心意気では、女子力とはつかないものなのだ。

ルサヌ修道院

女子力の話題がホットな場面で、女子力の高いルサヌ修道院の中庭をドウゾ。本当にかわいい。

ルサヌ修道院

ルサヌ修道院のテラスには、猫ちゃんのかわいらしい花瓶が置いてある。

ルサヌ修道院

そして、本物の猫ちゃんもいる。メテオラでは、各修道院に猫ちゃんがいる。皆、修道僧や観光客にかわいがられているため、人なつこい。

ルサヌ修道院は、あまり広くない修道院なので、ぐるっと回って30分もいらないくらいの所要時間だったが、こじんまりとしながらも、どこかかわいらしい佇まいが、一番気に入った修道院だった。

私は、ややもすれば今日は観光をお休みして、ルサヌ修道院に行かずにメテオラを後にしてしまうところだったが、本当にルサヌ修道院まで観光してヨカッタ!ナイスな旅程のアイディアを出してくれた姉に感謝である。

ルサヌ修道院は、カストラキの村からなら、1時間弱あれば歩けるくらいの距離にある。ルサヌ修道院の本当の魅力を味わいたければ、タクシーではなく歩いて行くことをおすすめする。

メテオラ ルサヌ修道院

これは、前日に雨の中メテオラを歩き回った時に撮影した写真だが、このように、ルサヌ修道院の断崖絶壁っぷりを、外観でしっかり味わうことができる。また、ルサヌ修道院は、見る角度によって、全然違う表情を見せるので、くねくね道を上りながら、いろんな角度からルサヌ修道院の姿を楽しむことをおすすめしたい。

さて、これで残る修道院は、メガロ・メテオロン修道院だけとなった。図らずも、メテオラ最大の修道院、ボス的修道院が、最後に待ち構える旅程となったのである。