ミコノス島旅行記5　ペトロス都市伝説疑惑

3/3ミコノス島
パラポルティアニ教会の裏手
ミコノス空港

デロス島からミコノス島へ帰ってくると、すぐに、お昼寝中の猫ちゃんが出迎えてくれた。

「お帰りニャー」。そんなに海の近くで眠ったら、海に落っこちちゃうよ！

昨日より天気がよいせいか、ミコノス島の海の色が、ひっじょーに美しい。エーゲ海の青は、どうしてこんなに青いんだろうか。

本日の夕方には、アテネへ向けて、ミコノス島を発つ。いったんホテルに戻り、チェックアウトを済ませて、フライトの時間まで荷物を預かってもらうことにした。

とりあえず、時間は1時過ぎ。お昼ご飯を食べて、デロス島を走り回って消費したカロリーを取り戻さなければならない。ていうか、ダイエットには、動いた後の食事はNGで、動く前に食べなければならないんだそうな。ま、当たり前であるな。でも、今からランチする我々の意志には変わりは無い。

新しいお店を探してもよかったのだが、何せ我々は、お腹も空いていたし、デロス島をおのれらの限界を超えて走り回ったため、疲弊していた。そこで、昨夜のディナー、今朝のブレックファストに利用した、「Captain’s（キャプテン）」に、みたび入った。いいんだ。キャプテン美味しいから。

キャプテンの豆スープ。何も考えたくない身体に、すーっとしみこむ豆スープ。

キャプテンのグリークサラダ。グリークサラダは美味しいときと美味しくないときがあるが、キャプテンはさすが美味しかった。最近気付いたのだが、グリークサラダとの相性は、ひとえに乗っかってるチーズの味との相性が鍵を握っている気がする。

キャプテンの鶏肉煮込み。胸肉の、甘辛煮であった。私はローカロリーかつローコストの胸肉ラブなので美味しかったが、姉は「これはイマイチ」と言っていた。全体的に、昨日オーダーした料理の方が美味しかったが、それでもキャプテンは美味しかった。安定のキャプテン。さすがキャプテン。

さて、ランチを済ませた後は、最後のミコノス島ブラブラ歩きである。しかし、昨日の段階で、ミコノス・タウンは、既に3周くらいしてしまっているんだな。ミコノス・タウンは小さいんだな。

では、ミコノス島でやり残したことは何か。

まあ、ほら、あれだ。ペトロスに会うことだ。

姉も私も、別に身もだえするほどペリカンが好きなわけじゃない。でも、やっぱりミコノス島に来たからには、ペトロスに会っておきたいわけだ。ディズニーランドに行ったら、ミッキー（着ぐるみ）に何となく遭遇したいのと同じである。

そこで、ペトロス多発地帯と「地球の歩き方」に書いてある、オバケ教会（パラポルティアニ教会のことだよ）の方へ、ぶらぶらと足を運んだ。

「ペトロスはいねえが～」

昨日までは、何の気も無しに、ぼんやりと目の端でペトロスを探していた我々だが、ついに、目を皿のようにして探し始めた。だって、もう今日の夕方にはミコノス島を発たねばならない。今がペトロスに遭遇する、最後のチャンスなのである。

ペトロスを探しながら、オバケ教会の、左側の海が見えている小道を進んでみた。

すると、6つの風車が、厳然と（いや、漫然と、だな）海と対面している絵が見える、眺めのよいスポットが現われた！ほー！こりゃ、いい眺めだ！ペトロスを隅々まで探さないと来ない場所だったよ！まだ見ぬペトロス、ありがとう！

ちなみに、このパラポルティアニ教会裏の絶景スポットは、あまり足場がよくない岩場なので、海に落ちないように注意が必要である。風が強いときや、ちょっと暗くなったときには、あまり行かない方がよいかもしれない。

それにしてもペトロスはいないなあ。本当は、どこか一点にとどまった方が、遭遇できる可能性は高まるのかもしれない。しかし、こんなに天気もよいのに、ペトロス会いたさに、どこかにボーッととどまるのも馬鹿である。そこで、我々はあてもなくミコノス・タウンをオロオロと歩き続けることにした。

天気はよいし、白壁の教会が美しく映えてる。ぽかーんとした面持ちで、ただただぼんやりと歩き続ける我々。何だか、ペトロスってUMAか何かで、目撃例は都市伝説の類ではないかと思えてきた。

昨日、私が「どこがヴェネツィア？」と酷評したリトル・ヴェニス。天気がよい日にこうやって見ると、確かに海から立ち上がっている建物が、ヴェネツィアっぽい気がしてくる。そしてペリカンの気配は皆無。

何かちょっと良いことが書いてある階段。しかし、今の我々は、このような「人生を変える素敵な言葉」みたいなものではなく、ペトロスを探すヒントとなるワードが欲しいのだ。それとも、こういう、一見ペトロスと無関係に見える文言の中に、実はペトロス探しの暗号が隠されているのであろうか。

ペトロスは見つからないし、ついにミコノス・タウンでやることがなくなってしまった。もうホテルの部屋はチェックアウトしているので、我々はまたもやキャプテンに入って、エスプレッソを飲んだ。たった1泊のミコノス島滞在で、4回もキャプテンに入った我々！キャプテンばんざい！

キャプテンでうだうだしているうち、私の脳内には「ペトロスなんて無いさ、ペトロスなんて嘘さ。寝ぼけた人が見間違えたのさ」という歌が流れ始めた。そう、すっきり諦められたのだ。そして、我々はすっきり立ち上がって、ミコノス空港へと向かうことにした。

ホテルに預かってもらっていたスーツケースを受け取りに行くと、ホテルを経営している家族のパパが、ミコノス・タウンの車が通るエリアまで、スーツケースを運んでくれた。ありがとうございましたっ！ミコノス島は、成熟したリゾート地が持つ安心感がある、過ごしやすい島であった。

ミコノス空港は、ミコノス・タウンとそれほど離れていないのだが、冬季は空港とタウンを結ぶバスがいない。ホテルにお願いしてタクシーを手配してもらった。タクシー代は€10で、所要時間は5分もかからなかった。

冬季は観光客が減るとはいえ、飛行機がガラガラということはない。そう考えると、冬季もミコノス・タウンと空港を結ぶ公共交通機関を走らせれば、安定して儲かりそうなのに、なぜ誰もその仕事をしないのだろうか。ペトロスと並ぶミコノス島の謎であった。

ミコノス空港はちっちゃい。入ってすぐ左手にあるのが航空会社のカウンターである。カウンターでチェックインを済ませ、預ける荷物の点検を受ける。その後、点検終了を意味するタグを付けられた荷物を、左側の警察が待っているカウンターへ持っていってX線検査に通す。問題がなければ、そのまま荷物は、荷物預けのベルトコンベアーに流れていく。

ミコノス島では、何と空港の中にまで猫ちゃんがいる。まさしく猫島である。ミコノス島の猫の特徴は、潮風に吹かれているためか、結構薄汚れていて、潮の匂いがしそうな猫ちゃんが多い。

まじめな旅人を自称する姉と私は、フライトの1時間前にはミコノス空港に到着したのだが、何と、保安検査場は閉まっていて、開いたのはフライトの40分前であった。それまでは、この小さな空港で、本当にやることがなかった。遅刻は厳禁だが、観光客が少ない時期のミコノス島の空港には、あまり早く来すぎないほうがよいかもしれない。