3/14ペスカーラ旅行記2 海辺の町の海の幸
姉と一緒に、真面目に明るい時間のうちに、山間の村スカンノから、海辺のペスカーラまで戻ってきた。まだ、日没前だったので、少しでも明るいうちに、ペスカーラの海くらいは見ておこう!と、鉄道駅すぐ近くのB&Bに戻らずに、駅から真っ直ぐ海岸を目指した。
駅から続く、歩行者天国っぽい大きな通りをまっすぐ行けば、5分程度で海岸に出られるはずだ。ペスカーラの町は、新しい建物が建ち並び、本当に日本とあまり変わらない。歩いている人たちも、どこか都会的に見える。ヒマオヤジたちがいない。
ペスカーラにはいくつか駅があり、一番大きな駅が、我々が宿泊しているB&Bのすぐ近く、ペスカーラ中央駅である。
このペスカーラ中央駅より南側に、ペスカーラ・ポルタ・ヌオヴァ駅という駅があり、その周辺に、少しだけ歴史的な地区が残っているそうで、もしかしたらそこまで行けばペスカーラオヤジがいるのかもしれない。イタリアのオヤジ軍団は、大抵の場合、旧市街とセットなのである。
あっという間にペスカーラの砂浜に出た。何人か地元の人たちが散歩しているが、オフシーズンということもあり、静かな海である。
遠くには観覧車も見えていて、本当に都会的だ。ちなみに、観覧車の前に見えているものは、カーブした高架線の道路である。あの向こう側がペスカーラの旧市街が少しだけ残る地区である。
ペスカーラの海岸でもトラボッキが見れるという情報もあったのだが、少なくとも、こちら新市街地域の、軽く歩ける範囲にはトラボッキは見当たらなかった。
海から市街を振り返った景色。日本と変わらないような風景に、どこかホッとするものがある。
このあとB&Bに戻ると、そういえば明日の朝食券がないことに気づいた。このB&Bの朝食は、近くのバールで取る形だが、朝食券を持って行くのである。今朝持って行った券は、バールで回収されてしまい、部屋にはもう朝食券が残っていない。明日はどうすればよいのだろうか。
B&Bのオーナーの若い男性にメールを打ってみると、「すみません!僕、1日分しか置いてませんでした。たった今(Right now)持って行きます!」と、即、返事が返ってきた。
さあ、イタリア人の「Right now」は何分だろうな?と待っていると、15分であった。
「ご、ごめんなさ~い…」と、恐縮している真面目な彼に、「昨日アナタが言っていたレジーナ・マルゲリータというレストランなんて存在しなかったよー。かなりの時間をかけて探しちゃったよー」なんてことを言うと、さらに恐縮しそうだったので、自重した。
しかし、彼が次のお客さんに、また間違えた情報を伝えないように、教えてあげた方がよかったかもしれない。我々としては、おかげで面白い日本食レストラン体験ができたので、雨降って地固まるに近かったが。
さて、今日は火曜日なので、ペスカーラのレストランは昨日の月曜と違って、だいたいどこでも開いている。いくつか美味しいお店は調べてあるが、何となく姉も私も上品なものを食べたい気持ちだったので、トラットリアやピッツェリアではなく、リストランテに入ることにした。
昨日は閉まっていた、リストランテ・レジーナ・エレナ(たぶんB&Bのオーナーが「レジーナ・マルゲリータ」と間違えて覚えていたレストラン)。近代的なペスカーラに似合う、まるでホテルのレストランのような外観である。
店内は、落ち着いたたたずまいでエレガントである。ターナー風の絵が飾られている。上品な店内だが、大きなテレビではサッカーの試合が流されていて、ものすごくフォーマルということもなく、ドレスコードも厳しくなかった。
姉も私もあまりお酒を飲まないので、水をオーダー…とは言っても、こういう高級レストランで出てくるのは、トスカーナの高級ミネラルウォーター「アクアパンナ」!。「アクアパンナ」なら乾杯するのに不足なし!と、アクアパンナで乾杯していると、「サービスです」と言って、食前酒が出てきた。
そして、やはりアクアパンナは水の最上級形態とはいえ、H2Oの域を出ることはできないわけだ。食前酒で乾杯すると、ずいぶん雰囲気が違った。この食前酒は非常にさっぱりしていておいしかった。
姉と私がイタリアでお酒を飲まないのは、顔が赤くなってタコになってしまうのが嫌だというのも理由の一つだ。姉は、最近では、「イタリアでワインが飲みたい」と言い、脱タコ現象のために、少しずつワインを飲む練習を始めた。それが脱タコに結びつくのかは未知数である。
食前酒と一緒に出てきた、手作りのパンも非常に美味。これは期待できるな…と思っていると、ここから出てくるお料理は圧巻だった!
こちらもオーダーしていないのに、「ウェルカムスープ」がやってきた。エビがブロッコリースープに浸かっているよ!フレンチみたいな盛り付け方だよ!そして、あっさりとしていておいしいよ!
ここからは前菜でオーダーした「Tiepido」。Tiepidoはイタリア語で「ぬるい」という意味で、キンキンに冷えていない前菜のセットである。
こちらはイカなんだけど、生なんだか少し調理してるんだかわからなかったが、とにかくハーブが効いていておいしいのである。ザクロの実っぽいものが添えてあり、このほのかな甘さが、またマッチしているのである。
そして海の幸前菜のオンパレード!海辺の町ペスカーラらしく、海の食材をふんだんに使うお店である。ひとつひとつが手が込んでいておいしい!私はあまり海の幸って好きじゃなかったりするのだが、ここのお店のものは何を食べてもおいしかったよ!うーむ、調理法を教えてもらいたいくらいだよ!
イカっぽい何か?をキャロットソースにつけて頂く。イカっぽい何かがたとえ何であっても、とにかくこのキャロットソースがおいしかったのだ。見た目も色とりどりで綺麗だし、本当に当たりのお店だった!
こちらは「Primo(=第一の皿)」でオーダーした、かぼちゃクリーム風味のラビオリ。もうね、見た目通りおいしかったですよ!私のグルメレポは、「おいしい」以外の語彙が貧弱で申し訳ないっ!しかし、おいしいものはおいしいんだっ!
このかぼちゃラビオリには、たぶんウナギっぽいものが入っていたと思う。そういえば、ウナギはイタリアでも食べるのだ。ちなみに、イタリアでウナギ料理で有名な町はコマッキオという町である。ヴェネツィアにちょっと似た運河の町で、一度行ってみたいなあと思う町である。
こちらはセコンドのお魚。シンプルな焼き方に、カリカリしたアーモンドがかかっていておいしいっ!
お魚料理には、なんとサービスで、ちいさなソース添えのお魚も一緒に出てきた!
食前酒やスープのプレゼントはたまにあるけど、こういうお料理のプレゼントが出てくるのは珍しい!全体的に、凝っているのにしつこくない味付けなので、どれだけお皿が運ばれてきても、どんどん食べられる!
我々のテーブルに料理を運んでくるのは、背筋がピッと伸びた女性で、びっくりするほどきびきびした動きであった。イタリアでこんなにきびきび動く人を見るのは非常に珍しい。手際もよいし、丁寧なのにかつ素早い。さらに口元に微笑を忘れないという、要するにプロなのであった。
デザートに出てきたのはティラミス。チョコレートソースで、このレストラン「レジーナ・エレナ(Regina Elena)」のロゴが描いてあるのがオシャレである。さっぱりしたお魚のコース料理の後に、スッとなじむ甘すぎないティラミスであった。
そして、最後には「コーヒーと一緒にどうぞ」と、これまたサービスでビスコッティとクッキーが出てきた。サービス良すぎである。
きびきびウェイトレスさんは、最後は出口のところまでお見送りしてくれた。今まで、このレストランと同じくらいおいしかったお店はあるけれど、何せこの「レジーナ・エレナ」は、これだけ食べて二人で€60という値段から考えると格段においしく、サービスも良すぎであった。ペスカーラに行く方には、ぜひおすすめしたいリストランテである。
夜9時を過ぎたペスカーラのメインストリート。人通りは多くはないが、ぽちぽちと歩いている人もいて、何せ明るくて広い道なので、まったく不安がない。街灯に照らされると、銀座の通りみたいにも見えてくる。
こちらは店のシャッターに描かれた、非常に上手な落書きである。躍動感があってうますぎる。しかも、ペスカーラとサッカーへの愛を感じる落書きだ。
ペスカーラ泊は今夜までである。非常に過ごしやすい町であった。アブルッツォ州は、今回は様子見と言う感じで、海と山をちょっとだけのぞいたけど、予想していた以上に面白かった。きっとまた来るよ!おやすみ、ペスカーラ!