3/9サン・マリノ旅行記3 絵葉書は海を越えるか

観光地サン・マリノの、観光オフシーズンの日曜日。まともなランチにありつけるか心配しつつ、食事処を求めてさまよう母娘3人!

調べてあるレストランは、トリップアドバイザーで評価が高かった、城壁外の「Smaller」というお店。

イタリアには観光地と呼ばれる町は数あれど、その中でもサン・マリノは本当に観光色が強い。どういう意味かと言うと、住民の数に対する、観光客の数が多いということである。つまりは、現地の住民向けではなく、観光客向けのお店が多いので、慎重に選ばないと、観光客向けの、「高くてマズイ」お店を引き当ててしまう可能性が、高いような気がするのだ。

で、いろいろ調べてみたが、評判がよくて、そこそこのお値段で食べられそうなお店は、サン・フランチェスコ門から出て、パオロ3世通り(Via Paolo Ⅲ)にある「Smaller」。このお店を探すべく、城壁を出て、パオロ3世通りという表示板がある通りまで下ってみたのだが、そのパオロ3世通りには、なーんにもお店らしきものがナイ。どーしたことか。

サン・マリノのサン・フランチェスコ門を出た城壁外は、くねくねと下りのS字カーブが続いている。パオロ3世通りという表示板付近のS字カーブをウロウロしているうちに気づいた。日本人の感覚では、「通り」というと、ある程度真っ直ぐな道で、曲がってしまうと通りの名前は変わってしまうという感覚なのだが、パオロ3世通りって、数字の3をひっくり返したような形をした通りで、曲がった後も、ずっとパオロ3世通りという名前の通りは続いているんじゃ…?

つまり、我々は、パオロ3世通りの下の通りまで行くと、「あー、もうここはパオロ3世通りじゃないね」と、また上に戻って店を探す、ということを繰り返していたのだが、パオロ3世通りは、ぐるぐると下の方まで続いているのではないか。というわけで、下の方まで行ってみると、見つかったよ、「Smaller」。でも、ドアが閉まっているよ…。

あー観光オフシーズンの日曜だし、やっぱり閉まってるのかーと、空腹を抱えながら元来た道を戻ろうとすると、閉ざされたガラス張りの建物の中にいる男性が、コチラに向かって、隣の建物を指さしている。何だろう、と、のぞいてみると、隣の建物が「Smaller」で、ちゃんと営業してた!ヨカッタ~!

どうやら、最初にのぞいた、閉まっている建物も「Smaller」の店舗内で、おそらく、もっと観光客の多い夏場には、そちらのスペースも開けて、2倍のスペースで営業しているのだろう。オフシーズンは、半分のスペースで営業しているのだ。イタリアのような夏がメインの観光地では、時々あることだ(サン・マリノはイタリアではありませんっ!)。

サン・マリノ

このお店…なのだが、コレ、激しくわかりづらい写真ですね。えへへ。私は本当に写真がヘタ。しかも、精進しようという気もあまりナイ。つまり、そこにあるのは絶望である。

中には、既にお客さんもいて、なかなかの人気店であるようだ。やさしそうな、おじさまウェイターが、席に案内してくれた。豪華な前菜ミックスが有名なお店なのだが、結構量が多そうなので、前菜ミックスはやめて、いくつか単品を注文することにした。

このレストランで、父宛てのポストカードを書くことにした。我々の旅行は3週間と長いので、旅程の途中で父に手紙を書こうと思ったのだ。サン・マリノは、変わった切手を発行することで有名だし、どうせ手紙を出すなら、サン・マリノから送るのがよいだろう。

しかし、城壁内に、星の数ほどあるお土産屋さんで、ポストカードを買ってくるのを忘れてしまった。そこで、どこか近くに、ポストカードを売っているお土産屋さんくらいあるだろうと(サン・マリノは本当にお土産屋さん多い)、料理が来る前に、私がレストランの外に出て、ポストカードを買いに行った。予想通り、坂を少し下ったところにあるお店で、ポストカードをゲットできた。

レストランに戻ると、姉と母の目の前に、食前酒が置いてある。姉いわく、サービスで出てきたらしい。お酒の飲めない母は残念だが、形だけ、3人で乾杯っ!3本のグラスが、サン・マリノの3本の塔を象徴しているようだね(こじつけ)!すっきりして美味しい、白のスパークリングワインであった。

さて、お料理が運ばれてきた。

サン・マリノ

温野菜サラダ。ヘルシーで上品な味わい。

サン・マリノ

こちらはトリュフクリームソースのパスタ。これは美味しかった!

サン・マリノ

これは、確かお肉料理だったハズ…。詳細は忘れちまったが、美味しかった!

このお店のお料理は、フランス料理みたいにソースがお皿の周縁部に、ぽちぽちと飾ってあったりして、カジュアルフレンチのような上品さがあった。面白かったのは、揚げたパスタみたいな長いものが、料理に飾りとしてついてくること。カリカリしていて、美味しかった。

我々のテーブルの近くには、大家族がいて、すさまじいボリュームの前菜ミックスをオーダーしていた。お皿の数もすごいのだが、家族の人数もすごくて圧巻であった。でも、あの前菜ミックス美味しそうだな…。お腹が空いている時には、挑戦してみてもいいかもしれない。(おそらくだがAntipasto misto dello “Smaller”というメニュー。2人前からオーダーできるようだ)

お店のサイトはこちら→Smaller。城壁外ではあるが、サン・マリノで美味しいお店で食べたい人にはおすすめ。ランチの値段だが、前菜やパスタでだいたい10ユーロ以下、メイン料理で15ユーロ前後なので、それほどは高くはない。

食後に、コーヒーを飲みながら、父への絵葉書を完成させた。うろ覚えだが、確か、海外から出す手紙は、日本と逆で、番地→町名→市町村名→県名→国、と、ミクロからマクロへの順番で住所を書くんだったよなー(自信なし)。まっ、大きく「JAPAN」と書いておけば届く、と、海外生活経験のある友人が言ってたから、大丈夫だろ…。(ちゃんと書きなさい!郵便局の人に迷惑ですよ!)

さーて。ウルビーノから迎えに来る、あのおしゃべり運転手さんとの約束まであと1時間くらいある。サン・マリノの市街地に戻って、切手を買って、葉書を投函しようっ!

サン・マリノ

市街地に戻る途中に見えた、市街地を取り囲んでいる岩の一部。おっきな穴が開いちゃってるよー。その上を、普通に人が歩いているが、ついつい日本人は、地震とかがあったら大丈夫かなー…と思ってしまう。

市街地に入り、インフォメーションでもらった日本語地図のサン・フランチェスコ教会近くに、「切手貨幣公社」というものが載っていたので、ここで切手が買えるだろーと思って行って見ると、何と日曜日のため閉まっていた。あーれー。

よく見回してみると、日曜日のためか、閉まっているお店も多い。ウロウロしながらタバッキを探してみた。タバッキは見つかったが、「切手」って、イタリア語で何て言うんだったっけ…。必死で脳内検索してみると、むかーし聞いたNHKのイタリア語講座で、切手が出てきたストーリーを思い出したよ!そう、「フランコボッリ」だ!何かフランケンシュタインの子どもみたいな単語だったから覚えてたよ!

で、タバッキに入って、「フランコボッリはありますか?」と聞いてみると、扱ってなかった。しかし、親切にも売っているお店を教えてくれた。「イル マッジョリーノ」と正面に書いてあるお店で売っているらしい。

サン・マリノ

ちゃんとした場所は忘れてしまったが、サン・フランチェスコ門から、政庁舎に向かう間にあるこのお店…。明らかに、おもちゃ屋さんなのだが…本当に切手など売っているのだろうか!?

半信半疑…いや、2割信8割疑くらいの気持ちで、店内にいたおばあさんに、「あのー…ここで切手を買えると聞いたのですが…」と言ってみると、「ええ、売っているわよ。どこまで送るの?」とのお返事だった。おおっ!売ってたっ!なぜタバッキでなくおもちゃ屋さんで切手が買えるのかはわからないが、これで切手をゲットできるぞーっ!

日本まで送る葉書の切手代は、2ユーロ。国際郵便などほとんど送ったことはないから相場はわからないが、2ユーロって、結構安いなーと思った。しかも、出してくれたのはACミランの切手。なぜサン・マリノで、イタリア・ミラノのサッカーチームの切手?とは思ったが、ミラン好きの母は喜んで、同じくミラン好きの母の姉(つまり私にとっては伯母)へのお土産用にも、一枚購入した。

サン・マリノ

ミランの10-11シーズンの優勝を記念した切手だと思われる。サン・マリノの文字がしっかり入っているが、ミランとサン・マリノのコラボがちょっと不思議。

お店がのりを貸してくれたので、切手を貼って、イザ、ポストに投函っ!

サン・マリノ

サン・マリノのポストは白色。手紙を投函する観光客が多いのか、結構町中に多く見かける。このポストにぽいっと入れて、あとは葉書が無事に着くことを祈るのみっ!

さあ、葉書を出すというミッションも無事に遂行したので、最後に、サン・マリノの政庁舎プッブリコ宮を見に行こう。プッブリコ宮のあるリベルタ広場は、サン・マリノの中心である。広場名の「リベルタ」は、イタリア語で「自由」。世界最古の共和国であることの自負であろうか。

サン・マリノ

こちらが政庁のプッブリコ宮。青い空にキレイに映えている。それにしても天気がいいなー。高台の町…間違った、国に行くのは、やはり天気の良い日に限る。

サン・マリノ

リベルタ広場の周りには、お店が立ち並び、いかにも観光地という雰囲気が出ている。それにしても、日曜といえども、サン・マリノは、予想以上の観光客の数であった。日本での観光地としての知名度に比べて、欧米で人気なのかもしれない。欧米系の観光客が多かった。

ちなみに、絵葉書の余談だが、通常だと、国際郵便は1週間くらいで届くらしいので、父から葉書が届いたというメールが来るのをイタリアで待っていた。

しかし、待てども待てどもメールは来ない。父の性格を考えると、葉書を受け取ったというメールを送らないだなんて可能性は、限りなくゼロに近い…というかゼロである。サン・マリノで投函した葉書は、日本までの遠い道のりのどこかで、迷子になってしまったのかもしれない。サン・マリノと言えども、イタリアの中にある国。無事に葉書がはるばると海を越えていくなんて望みは、はじめから薄かったのだ、と半ば諦めていた。

誰もが葉書のことを忘れた頃の、帰国してからの数日後。実家に、ようやく葉書が届いたとの知らせのメールが母から来た。投函した日から1か月ほどが経過していたが、とにもかくにも葉書くんはジャパンにたどりついたのだ。頑張ったね。

それにしても、1か月もの間、葉書くんは、どういう運命をたどってきたのだろうか。まさかとは思うが、船に乗って、船便で運ばれてきたのではあるまいね。そういえば、葉書に「Air Mail」と書くのを忘れたよなあ。そのせいで、船の方に回されちまったのだろうか。まあ、船でも、最終的に届くなら別にいいけど、こんなグローバルな時代に1か月はナイよ!とお思いの方は、きっちり葉書の宛名のところに、「Air Mail」と書いておいた方がよいと思われる。